◇ 財政の急膨張は大丈夫なのか = 政府の財政支出が、異常に膨らんでいる。20年度の当初予算は102兆6500億円だった。しかし3回にわたって補正予算を組んだ結果、財政支出の総額は175兆6900億円に膨れ上がっている。この大きさは10年前の予算規模の2倍に近い。新型コレラ・ウイルスの出現に見舞われたとはいえ、想定外の異常な事態に陥ったと言えるだろう。
異常な事態は21年度も続くと覚悟しなければならない。政府は21日の閣議で21年度予算案を決定したが、その総額は106兆6097億円。20年度の当初予算より4兆円近くも増えている。社会保障費や防衛費、さらにコロナ対策費の支出が増大した。コロナが早期に終息する可能性は小さいから、21年度も複数回の補正予算が必要になり、最終的な支出総額が20年度並みに近づくことは必至とみられている。
問題は財源。コロナ不況で税収も減っているから、国債の発行に頼らざるをえない。20年度は3回の補正予算を含め、国債の新規発行総額は112兆5540億円にのぼった。さらに21年度の国債発行額は45兆5970億円を予定している。これだけ多くの国債が発行されると、国債の価格が下がって金利が上昇するはず。しかし日銀がその大半を引き受けてしまうから、金利は上がらない。だが、こういう状態は長続きするのか。大問題は生じないのか。
アメリカでは、以前からMMT(現代貨幣理論)という学説が広く流布されている。簡単に言ってしまえば、政府がいくら国債を発行しても中央銀行が買い取れば問題はないという学説だ。もちろん、この学説には反対論も多い。だが先進諸国の現状をみると、いまのところはこの学説が正しいようにみえないこともない。経済学者としては、興味津々のテーマに違いない。だが日本の経済学者からは、ほとんど意見が聞こえてこない。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 下げ -278.03円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
異常な事態は21年度も続くと覚悟しなければならない。政府は21日の閣議で21年度予算案を決定したが、その総額は106兆6097億円。20年度の当初予算より4兆円近くも増えている。社会保障費や防衛費、さらにコロナ対策費の支出が増大した。コロナが早期に終息する可能性は小さいから、21年度も複数回の補正予算が必要になり、最終的な支出総額が20年度並みに近づくことは必至とみられている。
問題は財源。コロナ不況で税収も減っているから、国債の発行に頼らざるをえない。20年度は3回の補正予算を含め、国債の新規発行総額は112兆5540億円にのぼった。さらに21年度の国債発行額は45兆5970億円を予定している。これだけ多くの国債が発行されると、国債の価格が下がって金利が上昇するはず。しかし日銀がその大半を引き受けてしまうから、金利は上がらない。だが、こういう状態は長続きするのか。大問題は生じないのか。
アメリカでは、以前からMMT(現代貨幣理論)という学説が広く流布されている。簡単に言ってしまえば、政府がいくら国債を発行しても中央銀行が買い取れば問題はないという学説だ。もちろん、この学説には反対論も多い。だが先進諸国の現状をみると、いまのところはこの学説が正しいようにみえないこともない。経済学者としては、興味津々のテーマに違いない。だが日本の経済学者からは、ほとんど意見が聞こえてこない。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 下げ -278.03円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫