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経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

ついに大規模停電の 恐怖 (下)

2022-06-29 07:37:34 | エネルギー
◇ 料金は急騰、供給力は低下 = 大停電の危険があろうとなかろうと関係なく、電気料金の高騰が続いている。たとえば東京電力の場合、標準家庭の月額料金は8月に9120円となる見込み。昨年1月の料金と比べると2804円の値上げ、率にすると4割を超える。これは原油や天然ガスの価格高騰を反映した結果だ。だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、消費者は高い料金を払いながら停電も心配しなければならない。

政府は6月7日、電力確保に向けた総合対策を決定した。その内容は、企業や家庭に節電を呼びかけること。電力会社に対して、休止中の旧式な火力発電所を稼働させること。また政府部内では、節電した家庭に対してポイントを付与する案も検討されているらしい。とにかく総合対策と言うには、あまりにもお粗末。開いた口が塞がらない内容だった。

実効性のある対策を打ち出せないのは、政府に明確なエネルギー計画がないためである。たとえば原発をとってみても「安全性を重視し、出来るだけ活用する」と言うだけ。それ以上は踏み込めない。だから原発の再稼働も、遅々として進まない。この際、政府は思い切って「原発の新設や建て替えはしない」方針を打ち出したらどうだろう。

そのうえで、現在の非常事態を乗り切るために、原発の再稼働を促進する。地震対策としては、国が二重三重の電源を確保する。テロ対策には、自衛隊を駐屯させる。こうすれば国民の理解や地元民の同意も得やすくなるのではないか。その結果、10基の原発を動かすことが出来れば、電力の供給力不足は完全に解消する。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +178.20円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

ついに大規模停電の 恐怖 (上)

2022-06-28 07:30:06 | エネルギー
◇ 注意報は序の口、警報や制限令も = カラ梅雨だった。日本列島は連日、各地で最高気温が35度を超える猛暑日に襲われている。特に関東地方の気温は異常に高く、東京都心でも観測史上最高の暑さが続く。このため冷房はフル回転する。政府は27‐28日、東京電力の管内1都8県に対して、電力需給ひっ迫注意報を初めて発令。午後3-6時の電力使用を出来るだけ少なくするよう要請した。

電力は需要量が供給量を上回ると、広域の大停電を起こしやすい。通常は供給量が需要量を上回っている必要があり、この余裕分を予備率と呼んでいる。予備率が5%を下回る見通しになると、注意報が。また3%を下回る見通しになると、警報が発令される仕組み。27日は5%を割る見込みとなったため、注意報が発令された。

でも注意報は、まだ序の口。関東地方の天気予報をみると、この先ずっと猛暑の予想が続いている。経済産業省もこの夏の電力予備率は「東北・東京・中部電力の管内では3.1%にまで下がる」という予測を発表した。こうなると、さらに厳しい要請を盛り込んだ電力需給ひっ迫警報が発令される。それでも危ないと、業界ごとに使用量を規制する電力使用制限令。そこまで行くと、計画停電の一歩前だ。

脱炭素を目指して、電力各社は旧式の火力発電所を次々と廃棄した。加えて3月の東北地震で、新鋭の大型火力発電所が運転不能になった。さらに原発も思うように動かない。そこへウクライナ戦争で、原油や天然ガスの価格が急騰。いま日本のエネルギー事情は滅茶苦茶になっている。こんな状態で、もし1-2か所の火力発電所が故障したら、大規模停電は免れない。綱渡りの状況なのである。

                      (続きは明日)

        ≪27日の日経平均  = 上げ +379.30円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

動く原発 ・ 動かぬ原発 (下)

2022-06-09 08:35:26 | エネルギー
◇ 経済産業省の責任は重い = 三権分立の趣旨から言っても、政府が札幌地裁に圧力をかけることは出来ない。しかし北海道電力に対して、もっとしっかりした対策を作り、説得力のある資料の提出をうながすことは可能だった。だが所管官庁である経済産業省が、そうしなかったことは明かだ。原発に対する政府の基本的な方針が定まっていないために、そう出来なかったのだろう。

たとえば岸田首相は、しばしば「原発は安全性を第一に、出来る限り活用して行く」と述べている。だが具体論は、全くなし。だから出先官庁としても、北海道電力を強力に指導するための指針がなかったのではないか。たとえば「原発は40年までに全廃する。したがって新規の建設や建て替えもしない」ことを基本方針として確定。ただし現在は非常事態だから「出来るだけ多くの原発を動かす」と宣言したら、どうだろう。

こうすれば国民も納得し、地元民の同意も得やすくなるに違いない。これまで政府はこの問題をタブー視して、避けてきた。このため最近は原油や天然ガスなどの燃料輸入費が急増し、貿易収支も赤字基調になっている。電気料金やガソリン代も急増、家計や企業の負担は大きい。その分だけ購買力が海外に流出し、景気を押し下げる一因ともなっている。

欧米諸国は、すでに原発に対する方針を明確にしている。アメリカ・イギリス・フランスは原発の新増設に踏み切った。ドイツ・スペインは原発ゼロを目指しているが、その計画をいったん中断した。だが日本政府は、具体的な方針を作成しない。エネルギーを所管する経済産業省の責任は、きわめて重い。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +290.34円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

動く原発 ・ 動かぬ原発 (上)

2022-06-08 08:00:35 | エネルギー
◇ 北海道電力と中国電力の落差 = 原子力発電所の再稼働をめぐる重要な決定が、相次いで発表された。札幌地裁による北海道電力・泊原発に対する運転差し止め命令と、島根県知事による中国電力・島根原発の再稼働に対する同意の表明である。これによって島根原発2号機は来年にも動き出すが、泊原発1-3号機の再稼働は難しくなった。この夏や冬の電力不足が真剣に心配されている状況で、泊原発が動けなくなったことは非常に痛い。

札幌地裁は5月31日、泊原発の運転差し止めを命令した。理由は「津波に対する安全性の基準を満たしていない」こと。この裁判は10年も続いてきたが、北海道電力は裁判所が求めた説得力のある資料を提出しなかったようだ。判決文をみると、地裁側はかなり憤慨している様子がうかがえる。一方、島根原発の方は、中国電力が松江市や島根県など地元の説得に成功したらしい。

日本の原発は、東日本大震災の前には54基あった。それがいま、規制委員会の審査に合格したのは17基。地元の同意も得て再稼働できるのは、わずか10基にすぎない。合計した発電量は584㌔㍗、日本の電力消費量の6%にも満たない。しかも定期検査中の原発を除くと、実際に再稼働しているのは4基のみ。あとは東北電力の女川原発2号機が審査に合格、地元の同意も得て24年春の再稼働に向けて準備中だ。

泊原発1-3号機の出力は合計210㌔㍗。もし動けば、北海道の電力需要の約4割を賄うことができる。全国の電力需給は非常に逼迫しており、たとえば冬の電力不足は350万㌔㍗、110万世帯分にのぼるという予測もある。こうしたなかで泊原発が稼働できなくなったことは、大きな打撃と言えるだろう。その原因は、北海道電力の努力不足だけではない。根底には、政府の原発に対する方針の欠如がある。

                        (続きは明日)

        ≪7日の日経平均 = 上げ +28.06円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

新高値を目指す勢い : 原油の国際価格

2022-06-02 08:09:28 | エネルギー
◇ 上昇する要因が集中してきた = 原油の国際価格が、また上昇軌道に乗ってきた。ニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)先物相場をみると、今週は1バレル=120ドルに迫る勢い。ことし1月の安値83ドルから、上下動を繰り返しながらも着実に上向いている。特に最近は価格を押し上げる要因が重なり合ってきたため、専門家の間では08年の最高値145ドルまで行くのではないかという観測さえ出始めた。

価格を上昇させる供給サイドの要因は3つ。アメリカやEUが、ロシア産の原油や天然ガスの禁輸方針を打ち出したこと。またOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国が、大幅な増産には応じないこと。さらにアメリカのシェール生産が、環境規制などの影響で急激には伸びないこと。こうした結果、アメリカの原油在庫は、最近8年ぶりの低水準に落ち込んだ。

需要サイドの要因は4つ。まずコロナ規制の解除で、各国の経済活動が正常化しつつあること。特に中国の規制解除で、燃料の消費が急拡大する。また北半球では、夏のドライブ需要が増加する。さらにウクライナ戦争が長期化しそうなこと。そこへ投機資金が、原油市場に流入している。株式や債券市場が頭打ちの状態で、資金が商品市場に移動しやすい。

こうした需給両面からの圧力で、原油価格は上がりやすくなっている。どこまで上がるか正確には予測しがたいが、当分は上昇し続けるだろう。日本の輸入価格も上昇し、それだけ購買力が産油国に流出する。物価は上がり、景気にとっては重しになる。政府は補助金で、ガソリンの高騰を抑えるだけ。日銀も打つ手がない。やっぱり、この際は原発の再稼働に頼るしかないのではないか。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +178.09円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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