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行ってみませんか... こんな 素敵な世界へ

好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

プロヴァンスを巡ろう 5 <古代ローマ時代のニームの街に清らかな清水を供給した水道橋 ポン・デュ・ガール>

2020-10-28 00:17:31 | 素晴らしき世界/フランス/ホテル
下流側からの『ポン・デュ・ガール』

 
 
前回までご紹介した
ニームの街の飲料水を供給した水道橋
『ポン・デュ・ガール(ガール川の橋)』は
現存する
もっとも完全な形で残る古代ローマの水道橋の中で
最大のもの
に挙げられている
 
上流側からの全景
 
 
実は
遠景ではわからないが
橋は二重構造に成っている
 
 
二千年前にローマ人が架けた橋は
右のアーチの部分
幅にして5mくらい
 
その水道橋に張り付けるように
19世紀に
通行用の橋を下流側に新たに付け足したのです
最下段のアーチの高さに
 
以前は両岸に駐車場があったので
この「新橋」は
車で渡れた
 
20年ほど前に
サイトのアクセスを遮断して
入場料をとるようになってしまった
 
そのために
左岸からきた人は左岸側の駐車場
右岸から来た人は右岸側
車を置いて見学に行くようになってしまった
 
 
左岸側の河岸の道路から
新橋に曲がって入るところ
 
 
 
 
この写真は
上流側の右岸の方から撮った
通行用新橋のない側
 
 
ところで
各所に凸凹と石が飛び出している
 
これは19世紀の終わりの大修理の際
足場を組むための突起
 
ローマ人たちも
同じようにして建設した
 
街中の建造物であれば
この種の突起は削り取って見た目をきれいにしていたが
この様な
山の中の実用的建造物は
そのような化粧直しはやらなかった
 
19世紀にもそれに習った
 
組み合わせた切石は
1個6〜8トン!
 
 
 

 
 
この二葉の写真は
中段のアーチを見上げている
 
真下からなので見えないが
この上に最上層三段目のアーチが並んでいるのです
 
水道橋自体も
最下層アーチの上は歩いて渡れるが
中段アーチの橋脚の幅が4mほどあり
その両側の歩けるはみ出しは
それぞれ50cmくらいの幅しか残っていない
25m下は川

結構怖いです



最下段のアーチは6個
中段は11個
最上段は35個
残った
 
最上段の全長
275m
 
これが
川を渡っている水道橋として
最大なのです
 
その
最上段の小さなアーチ(と言っても高さ6m)
で支える上部に
水を流した暗渠がそのままの形で残っています
 
 そこを通ってみる
 
右岸の側から
崖を登り少し藪を分け入ると
入り口が見える
 
水を流す導管の部分は
幅1m程
高さは1,9m程
 
上を
厚さ20cm幅3mほどの一枚石の石板を
被せるように並べて
蓋をして『暗渠』にしてある
 
蓋の板石は
3mほどの感覚でつないである
 
 
中に入ると
ずっと先まで続いているのがわかる
 
ところどころ
蓋石がなくなっている
あるいは最初から無い(内部清掃用の入口)ために
所どころ明るく見える
 
 
左側の壁の下部の
少し厚みが不規則な出っ張りに
気がつかれただろうか
 
 
この辺りは両側の壁が
膨らんで
間隔が狭くなっているでしょう
 
これらは
7世紀に使われなくなるまで
700年の間水が流れていく際に付着した
水垢(石灰)の層なのです!
 
蓋の無い所から
上部の蓋の上に出られる
 
 
こうなる!
 
これは怖い、
石は石灰岩だが
硬い部分が大理石化していて滑るのです
 
歩いて最後まで渡ったけれど
腰が抜けそうだった
 
水面まで何と50m!
 
 
 
この水道橋は
ニームの街から北東に25kmほど
 
ちなみに
橋から山中の水源まで23kmほど
 
なるべくカーブは避けるとはいえ
曲がりくねることも考慮すると
60km近く
 
勾配が一定で
4パーミル
 
パーセントが1/100です
パーミルは1/1000なのです
 
つまり1kmで4m下る
たったの
 
何という建築技術だろう
 
ちなみに
実際の建設に当たったのは
奴隷ではありません
こんな精巧な物は奴隷の作業ではできない
 
ローマ正規軍の技術工兵隊
プロの手になる
古代ローマ人の建築工学の技術の粋なのです
 
 
そして
ここにも樹齢千年のオリーブの木が
 
 
 
四捨五入
ならぬ
九百九十九捨千入
するならば
 
 
2歳の橋
1歳の木
そして
0歳児の人間たち
 
 
所で
世界遺産などの発想など無い戦後間もない頃から
県が
サイトを壁で囲って見物は有料にしよう
という意見が何度も出た
 
何しろ財政難なもので
 
その度に
地域住民が大反対
 
「ポン・デュ・ガールは俺たちが生まれた時にはもうそこにあった」
「父さんが生まれた時にもそこにあった」
「爺さまが生まれた時にもそこにあった」
「ご先祖さまの誰もが生まれた時からそこにあった」
「あの橋は文化財とか史跡とか人間が勝手に指定するべきもんじゃない」
「この俺たちの生まれ育った大地そのものなんだ」
「入場料とるなんて考えらんねえ」
 
拒否を繰り返してきたそうです
(日本とは違うなあ...と)
 
ところが
世界遺産登録とともに
管理がうるさくなり財源が厳しく
それに
強風にあおられて落下する事故が相次いだ
 
それを契機に
無制限な接近をやめて
入場管理をすることにしたのだそうです
 
それで
導管の中も通れなくなった
 
夕景で河原に陰を落とすポン・デュ・ガール
 
この写真左前方の白い建物は
古の水車小屋を利用した
小さなホテルでした
 
アーチ型の3つの窓が並ぶ3階の部屋が
ベッドから寝たまま水道橋が見える
という
誰にも教えたくない最高のホテルだったのですが
 
世界遺産登録
入場管理導入
廃業になってしまった
 
悲しい
 
 
なお
水道自体は
橋を架ける必要があった窪みを渡るのは
ここだけ
 
あとは
およそ60kmの地上の部分を
4パーミルを得るため作られていた水道の残骸が
各所に残っています
 
 
 
 
 
 
 
いずれも
導管部は既になくなっている
 
この水道橋の名前『ポン・デュ・ガール』
「ガール川の橋」
 
単純な名前です
 
Le Gard (ガール川)は
上流のこの辺りでは
Le Gardon(ガルドン川)
呼び名が変わります。
 
名詞の末尾に on をつけると
「小さい」「可愛い」
という意味の名詞になる
 
例えば
Chat(猫)を Chatton とすれば
仔猫
 
まあ
そんな感じですが
橋の名前は本来の川の名前
 
ちなみに
この辺りに県は『ガール県』と言います
 
では
今回はここまで
 
次回は
近くの素敵なホテルと
さらに
その近くの別の町を
ご紹介します
 
= = = = = = = = = = = =
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皆様方の「Gぽい件」「ご感想」「お気付きの点」などをお待ちしております
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コメント欄に露出をしたくない方は
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プロヴァンスを巡ろう 4 <ニームの一押しホテルは アウグストウスにちなんで アンペラトール>

2020-10-26 01:13:13 | 素晴らしき世界/フランス/ホテル
ニーム市内の『アウグストウスの門』遺跡
 
 

前述した
ネマウスス水源地の水上公園から
運河と呼ぶ水路が掘ってある
 
 
その運河『キャナル・ド・ラ・フォンテーヌ』に沿って
5分も行けば
 
『Hôteml Imperator (オテル・アンペラトール)』
 
 
ラテン語で「インペラトール(皇帝)」
 
 
かねてより
ニーム市内で一番
のホテルだった
 
近年
大手資本が入ったらしく
総リニューアルされて
以前のプロヴァンスらしさがなくなり
なんとなく
どこかで見たことのあるような「高級ホテル」
っぽくなってしまった
 
少し残念だが...
 
少なくとも
外観は昔のまま
 
 
 
昔と同じで玄関は狭い
しかし
エントランスホールは
両側の鏡のおかげで
広々とした玄関に感じる
 
 
ロビーの中央階段
 
そこにあるエレベーターは
変わらず
「鉄の蛇腹扉」のままで
安心した
 
 
 
 
 
 
奥に
内庭に沿って
バーとカジュアル・レストランがある
 
 
バー
 
 
カジュアル・レストラン『L'Impe (ランペ)』でも
雰囲気は良い
 
 
 
メイン・ダイニングは
外からは
別に玄関がある
 
 
メインのレストラン
『Duende (デュアンド)』
 
 
 
客室は
今はやりのモダン
 
まず
スタンダードな部屋
 
 
 
ジュニアスイートも
雰囲気は同じだが
 
 
 
右隣に見えるバスルームは
 
 
普通の部屋より広いかもしれない
 
 
 
 
スパのプール
 
 
最上階のテラスは
プール・デッキになっている
 
 
 
 
 
一応
ニームでは一番のホテルであることは
今でも確か
しかも
以前よりずっと「高そう」な雰囲気になっている
 
だが
 
全面的改修され
周辺の建物も吸収して拡大され
内装が国籍不明な雰囲気になって
 
やっぱり
残念としか言いようがない
 
もう
次回からは
ニームは昼間訪れるだけで
他の場所に泊まることにしようかと
思い始めている
 
= = = = = = = = = = = = =
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『サンティヤーゴの巡礼路』 4 いよいよピレネー越え 最後のフランス側の村<サン・ジャン・ピエ・ド・ポー>

2020-10-16 00:33:09 | 素晴らしき世界/フランス/ホテル
『サン・ジャン・ピエ・ド・ポー』上の門



4乃至5か所のフランスの町に集った全欧の巡礼者達が
延々を南西部ピレネー山脈を目指し
いよいよ
600mの高度差での峠越えという
路巡一番の難所をとってスペインに入る

その
最後のフランスの宿泊地が
『サン・ジャン・ピエ・ド・ポー』

ニーヴ川をお堀のように
城門をくぐると上り坂で上の門まで坂道の両側に
巡礼宿や土産物店が並ぶ

ニーヴ川

高い塔が街に入る城門(下の門)


では
いよいよ門をくぐって村に入ろう


入ると
直ぐ右に教会が



城門の外の区域も含めて
1500人くらいしか住んでないはずの
特に
城門の中の旧市街は
!00人ほど住んでいれば出来過ぎ
みたいな村の教会にしては

内部にとても広い二階席と三階席があった




さすがに
巡礼の時期は毎日大勢の巡礼者が
泊まっているのだろう


一本道の上り坂




巡礼宿
巡礼用民泊施設
の間に
わずかのレストランとお土産屋が混じっている



「巡礼宿」の看板

こんなのも





坂道を半分も登ると結構急勾配になる

振り返ると


村の外の山野が見晴らせる

そして


こんなに可愛い巡礼者を発見!



お供を連れて
いざ出発


そして
一番上までくると
静かになる






坂道の一番上まできたら
上の門を出ると村外




上の門を出た外側の右側の壁に
写真でも見える
銘板がはめてあった




『サンティアーゴ・デ・コンポステーラの巡礼路 フランス側』
のユネスコ「世界遺産」登録の銘板でした

出発地点は銘板を飾るのが難しいので
「ここが終点」
ということで


そして
上の門の外側には
かつての要塞の跡が残っている





さて
またここから『おまけ』


下の門の外に一軒
食事が美味しいことでで有名なホテルがあります

『レ・ピレネー』

なんと
ここ40年間に渡って
祖父息子孫と
三世代のシェフが一度も評価を下げられる事なく
一つ星を守ってきたという
特筆に値する名店なのです




外見は極めて田舎風

お部屋も
快適だけど平凡










それでレストランですが
表通りに面して明るい席と


奥には間接照明の
静かな席も



そして
ミシュランが40年間星を贈り続けてきた料理
ですが

まず
これまでの様に『シェフのおすすめコース』

オマールを使った前菜


手長海老の天ぷら風



ホタテ


子羊のコートレット


鴨のオレンジソース


デザート
その1



その2



そして
この店の名物デザートが


手焼きのマドレーヌ
これは40年間変わらない定番デザート


その他
ア・ラ・カルトで何品か

編笠茸の前菜
もちろん季節限定です



手長海老の一品


そして
別ヴァージョンのマドレーヌ
イチジクのジャムを添えて



さらに
30年前の同じデザート
これはいちごジャムと共に




パリからここまで
1000km

いよいよ
このサン・ジャンからスペインの道を800km

早い人で35日
遅ければ65日かかってサンティアーゴまで歩きます

その為にも
ここでおいしい料理で英気を満たすのは
決して「バチあたり」ではないと
思います...

思いたい


ちなみに
巡礼者は一年中います

7月下旬の聖ヤコブの大祭に向けて
の時期が
当然人数はうんと増えますが

大祭とは関係なく

自分が来れる時期に来て
歩くことが大切なのです

= = = = = = = = = = = = = 

【お願い】
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