もう20年以上も当院に通院されている患者さんがいます。
年齢が90才を超え体のあちこちが悲鳴をあげていますが、しっかり自分の足で歩いて来院されます
2週間に1度当院を受診するのと、その行き帰りの車の中で筑波山を見るのを楽しみにしているそうです。
その患者さんが、最近よく言われる言葉があります。
「先生、私はそろそろですね、、。何となくそんな感じがします。」
腰が痛くなったり、腕が痛くなったり、認知症の症状が進行したりとつらいことが続いているので、弱気になったのかもしれません。
しかし、そうではない気もします。本当にそう感じているのかもしれないと、、、、、。
私の倍以上の人生を歩んで来られたのです。人生を達観しているとしても不思議ではありません。
「そうですか、、、。」
と微笑みながら返答するのが精いっぱいです。「そんな弱音を言ったらダメです」とか「もっと長生きしてください」とか「頑張ってください」なんて言葉は心に響かないと思うのです。
そんな事を言ったら、「もう十分頑張って長生きしてきたのに、、、まだ頑張れと言うのですか、、、先生、私のことを分かっていないようですね、、、」とがっかりされそうです。
返答に窮している私を見てふびんに思われたのか、「まあ、もう少し面倒をみてください。」と言って診察室を後にされました。
「分かりました。お大事にして下さい。」としか今日も言えませんでした。