ひつじのさんぽ

気の向くままゆっくりのんびり。出会ったひと・もの・ことを書きとめてみます。by ポポ

『阪急電車』

2011-02-12 16:13:19 | ひつじ文庫

『阪急電車』(有川浩著)を読みました。


電車の中で、乗り合わせた人と人との出会いが、
その人の人生に交わったり、並行したり、分岐点になったり。
まるで電車の線路のように。


阪急電車には乗ったことはないので、その様子や
駅の距離感ははかれないのだけど、

高校生の頃に通学のために乗っていた江ノ電を思い出した。


ある日の学校帰り。
夏の頃だったかなぁ。


海沿いを走る江ノ電に乗っていると、目の前にカップルが座っていて。

でも二人は一言も話さないまま、まっすぐ前を向いている、というより
必要以上にお互いを見ようとしないようにしている感じで。


男の人は忘れてしまったけれど、ちょっと怒った顔をしていて。
女の人は、ちょっと悲しげな、落ち着いた大人のきれいな人で。

そのままやっぱり何も話さないまま、鎌倉駅に着いて。


みんなが席を立って降りていく中、
男の人は立ち上がって人ごみにまぎれて降りていくのに、女の人は座ったまま。


席を立った私が女の人の前を通り過ぎて降りようとしたとき、
女の人が、ぽとりと、涙をこぼしたんです。


私はそのまま女の人を残して電車を降りて、あわてて人ごみにまぎれたけど。

どきどきした。
私、恋が終わる瞬間を見てしまったのかもって。


そんなことを思い出しました。