facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

見たぞ!金星通過

2012年06月06日 | pocknの気まぐれダイアリー
6月6日(水)

天文ゴールデンイヤーと言われている今年、先月の金環日食に続いて、おととい見えるはずだった部分月食はいまいましい雲に阻まれて見えず仕舞い。そして今日は、これを逃すと地球上では105年後まで起こらないという、金星の太陽面通過の日だ。

この稀有の天体ショーは世界中で見られるというが、例えばドイツでは日の出直後に金星が太陽を通り過ぎてしまうのに比べて、日本では通過の一部始終を6時間以上に渡って観測できるという好条件に恵まれている。だがしかし・・・ 絶対に譲れない天気という条件では、前の日に発表された東京の予報は「雨時々止む」という最悪のもの。でも名古屋の方は晴れの予報が出ている。

日食の時は用意周到、東京の天気が悪ければ見えるところまで行くつもりで休みを取っておいたが、今回はそこまでは考えていなかった。けれど、天気予報で名古屋の晴れマークを見ているうちに「いや、やっぱり絶対に見たい!運は待つんじゃなく自ら追いかけねば!」と前の晩になって思い直し、6時半に目覚ましをセットして寝た。

今朝の天気は残念ながら予報通りの雨模様。。すぐに天気予報をチェック。名古屋まで行かなくても静岡あたりで晴れそう。仕事は午前休を取ることにして(理由は言えない)、朝飯も食べずに東京駅に直行した。天気を見ながら降りる駅を決められるように各停の「こだま」に乗った。

暗い空から雨が落ちていたのが小田原あたりまで来ると雨は降ってなく、空も明るくなってきた。一瞬小田原で降りる気になったが、「いや待て、太陽は見えてないし、天気は西へ行くほどいいはず」と思い直し、乗車を続ける。そして、熱海が近づいた頃、雲が切れて待望の太陽が姿を現した!すかさず車窓から日食グラスで太陽を見ると、最初はよくわからなかったが、少しして太陽の左上に黒い点を発見!「よっしゃ!熱海で降りよう!」

ホームに降りて、ホームから改めて太陽を観察した。見える見える!黄色い太陽の上に小さく丸くて黒い金星が!いつもは暮れ方の西の空に輝く金星が、明るい空に太陽をバックに真っ黒く浮かぶ姿を捉えた!


熱海駅のホームから観た太陽と金星をスケッチで再現(9時15分)

1時間後には金星が通過コースのちょうど中間地点に到達するのに備えて場所選びだ。改札を出ると駅前の広場に足湯がある。足湯につかりながら金星ウォッチ、いいね!ズボンを巻くってお湯に足を入れる。う~ん、いい湯加減。さあ、太陽は… と空を見上げると、さっきは青空が広がってきていた空は一面雲に覆われ、太陽も隠れてしまっていた。しばらく足湯につかりながら雲が切れるのを待っていたがどうもイカン。「天気は西へ行くほどいいはず… よし、もっと西へ行こう!」と、再び新幹線に乗り込み西へ向かった。

三島、新富士と過ぎ、静岡まで差しかかったが太陽は見えない。追いかけていた運もここまでか… 静岡で引き返すことにしたが、帰りの新幹線でもあきらめはしない。窓側の席は空いていなかったので、デッキのドアの窓から空を見つめた。するとまた熱海に近づいた頃、太陽が姿を現した。すかさず日食グラス。「見えた!」 中間地点を少し過ぎたあたりに黒いポッチがあった。でも3秒ぐらいでトンネルに入ってしまい、それっきり太陽は見えなくなった。

熱海で、太陽がある窓側の席が空いたので、今度は腰を据えて空を見続けた。しばらくするとまた太陽が姿を現した。太陽はずっと高い位置に上がっていて、新幹線の小さめの窓から見上げるのはタイヘン。

体を思いっきり反り返らせ、イナバウアみたいな格好でめんたまを窓に押し付け、日食グラスで必死に太陽を拝む。見えてもすぐトンネルに入ってしまう。一瞬のチャンスでも逃さないために、トンネル内でもこのイナバウア体勢を保ち続ける。恥ずかしい格好だが人目なんて気にしていられない。

太陽は見えども肝心の金星の点が見つからない。老眼鏡を出して見てみたがぼやけてしまう。遥か遠くのものが老眼鏡で見えるわけはない。こんな当たり前のことに気づかないのは気持ちが焦ってるせいか… それと、太陽が窓枠の上ぎりぎりにしか見えず、右側の席に座っている状態では窓に近い右目で見るのが精いっぱい。ぼくの利き目は左なので左目も視界に入れたくて悪戦苦闘したが駄目だった。利き目でないと点までは見えないようだ。

後になって、体ごと反対に向けばたやすく左目で見れたと気づいた。焦っていたとはいえ、自分のオツムの悪さに悲しくなった。後悔は後の祭り。新幹線はまた雨降りエリアに戻ってきてしまい、それからは二度と太陽を拝むことはかなわなかった。

それでも運を追いかけようと意を決して遠くまで出かけた甲斐はあった。ちっぽけな黒い点だったが、243年にたった4回だけ太陽、金星、地球が一直線に並び、地球から太陽と金星の出逢いをリアルタイムでこの目で確かめられたのは感動ものだった。独りで来てしまったが家族にも見せたかった。出がけに娘から「私の分まで見てきてね」と声をかけられたが、その責任は果たせたかな…



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