10月18日(金)神尾真由子(Vn)/ホーヴァル・ギムセ(Pf)
リリア・音楽ホール
【曲目】
1.ラフマニノフ/ヴォカリーズ
2. プロコフィエフ/バレエ音楽「シンデレラ」~5つの小品
3. メトネル/2つのおとぎ話 Op.20~第1番変ロ短調
4. メトネル/ヴァイオリン・ソナタ第1番ロ短調 Op.21
5. プロコフィエフ/5つのメロディ Op.35bis
6. プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調 Op.49bis
【アンコール】
1.ショスタコーヴィチ/「馬あぶ」~ロマンス
2. R.コルサコフ/熊蜂の飛行
3. チャイコフスキー/メロディ
約1年ぶりの神尾真由子のリサイタル。プログラムを眺めると有名なのはラフマニノフのヴォカリースぐらいだが、ホールは超満員で相変わらずの人気。神尾が今回用意した曲目は、どれも20世紀に活躍した作曲家の作品だが、ラフマニノフとメトネルの作品は思いっきりロマンチックな音楽で、神尾のとろけるような美音と柔らかな歌が聴き手の心を掴んだ。
2011年に初めて神尾さんのバイオリンを聴いて、ムンムンした芳香の漂う色っぽい音色にたちまち惚れてしまったとき、ここから更に進歩や変化があるとすれば、これとはまた違った道を進むしかないのでは、と思ったほどその時すでに「今が旬」と感じたが、今でもその香り高い美音にはいささかの翳りもなく、魔法のようなパワーで聴く者の心を虜にしていった。バイオリンの音が弦と弓の摩擦で鳴っているということが信じられないような柔らかなレガートで奏でられる甘い美音の調べには心がとろける。
メトネルのソナタはあまりにロマンチック指向でちょっと食傷気味になったところで、後半のプロコフィエフではピリッとした薬味を効かせてくれた。その薬味は、叙情豊かなフレーズでは艶やかさを一層引き立て、シニカルなところでは冷たく突き放すのではなく、心をくすぐって誘惑してくるよう。
プログラム最後のソナタでは、テンションが熱を帯びるほどに高まり、活き活きとしたエネルギーが充溢した演奏を繰り広げた。曲が進むに連れて燃焼度を更にアップして、最終楽章での緊迫した高揚感へと突き進む。そんな時でも音の美しさや豊かさが後退することはなく、音楽全体が優美に飛翔する姿に「女神」を見た思いがした。
1年半前の東響の定期でコルンゴルトのコンチェルトを聴いた感想を読み返したら、そこでも神尾を「女神と呼びたくなった」なんて書いていたが、聴くほどに「女神度」を上げて行く神尾真由子には、この路線をずっと突き進んでいってほしい。次に聴けるときが今から楽しみ!
ピアノのギムセは、端正なセンスのいい表情で神尾をうまくエスコートしていたが、最後のプロコのソナタなどではバイオリンとのバトルをもっと熱く仕掛けて来てもよかったかな、と思った。
アンコールでの溢れる歌心にも酔しれた。
リリア・音楽ホール
【曲目】
1.ラフマニノフ/ヴォカリーズ
2. プロコフィエフ/バレエ音楽「シンデレラ」~5つの小品
3. メトネル/2つのおとぎ話 Op.20~第1番変ロ短調
4. メトネル/ヴァイオリン・ソナタ第1番ロ短調 Op.21
5. プロコフィエフ/5つのメロディ Op.35bis
6. プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調 Op.49bis
【アンコール】
1.ショスタコーヴィチ/「馬あぶ」~ロマンス
2. R.コルサコフ/熊蜂の飛行
3. チャイコフスキー/メロディ
約1年ぶりの神尾真由子のリサイタル。プログラムを眺めると有名なのはラフマニノフのヴォカリースぐらいだが、ホールは超満員で相変わらずの人気。神尾が今回用意した曲目は、どれも20世紀に活躍した作曲家の作品だが、ラフマニノフとメトネルの作品は思いっきりロマンチックな音楽で、神尾のとろけるような美音と柔らかな歌が聴き手の心を掴んだ。
2011年に初めて神尾さんのバイオリンを聴いて、ムンムンした芳香の漂う色っぽい音色にたちまち惚れてしまったとき、ここから更に進歩や変化があるとすれば、これとはまた違った道を進むしかないのでは、と思ったほどその時すでに「今が旬」と感じたが、今でもその香り高い美音にはいささかの翳りもなく、魔法のようなパワーで聴く者の心を虜にしていった。バイオリンの音が弦と弓の摩擦で鳴っているということが信じられないような柔らかなレガートで奏でられる甘い美音の調べには心がとろける。
メトネルのソナタはあまりにロマンチック指向でちょっと食傷気味になったところで、後半のプロコフィエフではピリッとした薬味を効かせてくれた。その薬味は、叙情豊かなフレーズでは艶やかさを一層引き立て、シニカルなところでは冷たく突き放すのではなく、心をくすぐって誘惑してくるよう。
プログラム最後のソナタでは、テンションが熱を帯びるほどに高まり、活き活きとしたエネルギーが充溢した演奏を繰り広げた。曲が進むに連れて燃焼度を更にアップして、最終楽章での緊迫した高揚感へと突き進む。そんな時でも音の美しさや豊かさが後退することはなく、音楽全体が優美に飛翔する姿に「女神」を見た思いがした。
1年半前の東響の定期でコルンゴルトのコンチェルトを聴いた感想を読み返したら、そこでも神尾を「女神と呼びたくなった」なんて書いていたが、聴くほどに「女神度」を上げて行く神尾真由子には、この路線をずっと突き進んでいってほしい。次に聴けるときが今から楽しみ!
ピアノのギムセは、端正なセンスのいい表情で神尾をうまくエスコートしていたが、最後のプロコのソナタなどではバイオリンとのバトルをもっと熱く仕掛けて来てもよかったかな、と思った。
アンコールでの溢れる歌心にも酔しれた。