10月10日(水)上岡敏之指揮(Pf) ヴッパータール交響楽団
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」Op.20![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
2.モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op.67![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
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【アンコール】
J.シュトラウスⅡ/「こうもり」序曲![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_heart.gif)
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我らが日本の上岡敏之が音楽監督を務めるドイツ、ノルトライウェストファーレン州の中都市のオケ、ヴッパータール交響楽団を率いての来日公演、曲目はドイツ音楽一色のうえに、モーツァルトのコンチェルトは上岡自身が弾くというとても興味深いプログラムに引かれて出かけた。
開演前、オペラシティビルのカフェでコーヒーを飲んでいたら、隣でドイツ語をしゃべってた人が今夜の演奏会の話をしていたので話しかけてみたところ、その人はヴッパータールオケのチェリストの友人で、いっしょに日本にやってきたとのこと。ヴッパータール交響楽団はパーフェクトじゃあないけどとても良いオケで、上岡との相性も前任者に比べてインスピレーションを与え合う良い関係だ、ということを話してくれて期待も増す。その人、「ドイツに来たら是非ヴッパータールに寄って下さい」とメールアドレスをメモしてくれた。
1曲目の「ドン・ファン」。艶やかな音がボリュームたっぷりに鳴り響いた。上岡は前へ前へと音を引っ張り、オケからとても能動的な高いテンションの音楽を引き出す。終盤に向けての密度の高い一丸となった緊張感の高まりがとりわけ素晴らしかった。
続くモーツァルトは、ピアノは通常の位置にふたも付けたまま置かれ、上岡は前奏では通常の指揮者の位置に立ってオケを指揮。ピアノが始まるぎりぎりにやおらピアノの前に座りソロを弾き始めるという早業。
前奏からして1曲目の「ドン・ファン」のアクティヴな表現を継続したような濃い演奏。弦は思いっきり歌い、深く呼吸し、メリハリをつける。そしてピアノの導入。オケと全く同質のピアノ。思いっきりピアニシモでささやくような場面でもオケとピアノのバランスや表情付けはまるで室内楽を聴いているように親密で、まさに弾き振りのメリットを完全にものにしている。
個人的な好みで言えば、控えめな中にエレガントな歌が溢れるような幸福感を持って演奏されるようなモーツァルトが好きだが、今夜のような能動的で明るいモーツァルトにも魅力を感じた。
そして「運命」。前半のプログラムから予想していたのよりはずっと遅いオーソドックスなテンポの第1楽章は、運命の動機の後は殆ど息をつかずに進んで行くので、やはり前進力が強い。第2楽章のチェロの歌も素敵だが、前半に比べるとちょっと平凡な印象。やっぱりこういう古典の名曲は難しいのかな… と思っていたら、第3楽章ではにわかにオケが息を吹き返したように充実した深い響きを聴かせ、それはフィナーレまで衰えることはなかった。
前半の曲目では満ち溢れるアクティヴなエネルギーをガンガンと出してくる演奏だったが、ここではそれに奥行きと柔らかさが加わり、がっちりとしたフォルムに支えられた安定感が、演奏をよりスケールの大きなものにしていた。聴いていてズシリとその快い重みが伝わって来た。
ドイツのオケを前に、ドイツ音楽の権化のようなこの曲をこのように正攻法で取り組んで、こんな充実した演奏を聴かせてくれた上岡敏之の実力が十分に発揮された快演だ。そして、今まで名前も殆ど聴いたことがなかったヴッパータール交響楽団が、深くて磨きのかかった響きを持ち、オケとしての呼吸が伝わってくる素晴らしいオーケストラであることを知った。
アンコールの「こうもり」!これはもしかして今夜の最大ヒットかも。溢れんばかりのたっぷりとした表情と、その場その場に最適のテンポと呼吸で、思いっきり歌い、踊り、跳びはね、まさにオペラの楽しいシーンを見ているよう。ウィーン訛りのワルツのリズムもそれらしく聞こえ、「こんな「こうもり」が聴きたかった!!」というような抜群の演奏だった。
終演後、開演前にカフェで話したドイツ人にまたロビーで会った。感想を話していたら「西ドイツ新聞(Westdeutsche Zeitung?)の記者がオケに付き添って来ているので、インタビューに答えてもらえないか?」と言われてインタビューを受けた。記事が出来たら送ってくれるそうなので、送られてきたらその内容をまたこのページで紹介します。
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」Op.20
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2.モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
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3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op.67
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【アンコール】
J.シュトラウスⅡ/「こうもり」序曲
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我らが日本の上岡敏之が音楽監督を務めるドイツ、ノルトライウェストファーレン州の中都市のオケ、ヴッパータール交響楽団を率いての来日公演、曲目はドイツ音楽一色のうえに、モーツァルトのコンチェルトは上岡自身が弾くというとても興味深いプログラムに引かれて出かけた。
開演前、オペラシティビルのカフェでコーヒーを飲んでいたら、隣でドイツ語をしゃべってた人が今夜の演奏会の話をしていたので話しかけてみたところ、その人はヴッパータールオケのチェリストの友人で、いっしょに日本にやってきたとのこと。ヴッパータール交響楽団はパーフェクトじゃあないけどとても良いオケで、上岡との相性も前任者に比べてインスピレーションを与え合う良い関係だ、ということを話してくれて期待も増す。その人、「ドイツに来たら是非ヴッパータールに寄って下さい」とメールアドレスをメモしてくれた。
1曲目の「ドン・ファン」。艶やかな音がボリュームたっぷりに鳴り響いた。上岡は前へ前へと音を引っ張り、オケからとても能動的な高いテンションの音楽を引き出す。終盤に向けての密度の高い一丸となった緊張感の高まりがとりわけ素晴らしかった。
続くモーツァルトは、ピアノは通常の位置にふたも付けたまま置かれ、上岡は前奏では通常の指揮者の位置に立ってオケを指揮。ピアノが始まるぎりぎりにやおらピアノの前に座りソロを弾き始めるという早業。
前奏からして1曲目の「ドン・ファン」のアクティヴな表現を継続したような濃い演奏。弦は思いっきり歌い、深く呼吸し、メリハリをつける。そしてピアノの導入。オケと全く同質のピアノ。思いっきりピアニシモでささやくような場面でもオケとピアノのバランスや表情付けはまるで室内楽を聴いているように親密で、まさに弾き振りのメリットを完全にものにしている。
個人的な好みで言えば、控えめな中にエレガントな歌が溢れるような幸福感を持って演奏されるようなモーツァルトが好きだが、今夜のような能動的で明るいモーツァルトにも魅力を感じた。
そして「運命」。前半のプログラムから予想していたのよりはずっと遅いオーソドックスなテンポの第1楽章は、運命の動機の後は殆ど息をつかずに進んで行くので、やはり前進力が強い。第2楽章のチェロの歌も素敵だが、前半に比べるとちょっと平凡な印象。やっぱりこういう古典の名曲は難しいのかな… と思っていたら、第3楽章ではにわかにオケが息を吹き返したように充実した深い響きを聴かせ、それはフィナーレまで衰えることはなかった。
前半の曲目では満ち溢れるアクティヴなエネルギーをガンガンと出してくる演奏だったが、ここではそれに奥行きと柔らかさが加わり、がっちりとしたフォルムに支えられた安定感が、演奏をよりスケールの大きなものにしていた。聴いていてズシリとその快い重みが伝わって来た。
ドイツのオケを前に、ドイツ音楽の権化のようなこの曲をこのように正攻法で取り組んで、こんな充実した演奏を聴かせてくれた上岡敏之の実力が十分に発揮された快演だ。そして、今まで名前も殆ど聴いたことがなかったヴッパータール交響楽団が、深くて磨きのかかった響きを持ち、オケとしての呼吸が伝わってくる素晴らしいオーケストラであることを知った。
アンコールの「こうもり」!これはもしかして今夜の最大ヒットかも。溢れんばかりのたっぷりとした表情と、その場その場に最適のテンポと呼吸で、思いっきり歌い、踊り、跳びはね、まさにオペラの楽しいシーンを見ているよう。ウィーン訛りのワルツのリズムもそれらしく聞こえ、「こんな「こうもり」が聴きたかった!!」というような抜群の演奏だった。
終演後、開演前にカフェで話したドイツ人にまたロビーで会った。感想を話していたら「西ドイツ新聞(Westdeutsche Zeitung?)の記者がオケに付き添って来ているので、インタビューに答えてもらえないか?」と言われてインタビューを受けた。記事が出来たら送ってくれるそうなので、送られてきたらその内容をまたこのページで紹介します。
ウッパータール交響楽団同行記者のインタビューに、われらが代表pocknさんがお答えくださり有難うございました