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バッハ・コレギウム・ジャパン 第156回定期演奏会

2023年07月21日 | pocknのコンサート感想録2023
7月16日(日)バッハ・コレギウム・ジャパン 第156回定期演奏会
~トーマス・カントル就任300年記念~
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル

【曲目】
♪ バッハ/前奏曲とフーガ ホ短調 BWV533
♪ バッハ/「神の業こそ、麗しい」BWV Anh. Ⅱ 67
♪ ♪ ♪

1.バッハ/カンタータ第75番《貧しい者たちは食べて》BWV75
2.バッハ/カンタータ第23番《汝 まことの神にしてダビデの子よ》BWV23
3. バッハ/カンタータ第147番《心と口と行いと生活が》BWV147

【演 奏】
S松井亜希/A:アレクサンダー・チャンス(カウンターT)/T:櫻田亮/クリスティアン・イムラー
鈴木優人(指揮&org)/バッハ・コレギウム・ジャパン


バッハがライプツィヒ聖トーマス教会のカントルに就任した1723年から300年を迎えた年に因んだBCJの定期演奏会。カントル就任時に書かれたカンタータが取り上げられた。オープニングではカンタータ第75番で使われているコラールも演奏された。

オルガン演奏では本調子でないように聴こえた鈴木優人が指揮を担ったBCJによるカンタータは、確信をもち、温かなハートを伴って福音が伝えられる演奏だった。なかでも感銘深かったのは147番。全体が高貴な香りに包まれ、穏やかに摂理を説くように進んで行った。

冒頭合唱の懐の深い表現は、押しつけがましくなく信仰の尊さを同じ目線に立って伝えてきた。4人のソリスト達も皆素晴らしく、言葉が生きたメッセージとして迫ってきた。なかでもカウンター・テナーのアレクサンダー・チャンスとソプラノの松井亜希の歌が感銘深かった。チャンスは清澄な美しい声とゆったりとした息遣いで切々と魂に呼びかけた。オーボエ・ダモーレのオブリガートも落ち着いた叙情を醸し出していた。松井が歌ったアリアは彫りが深く研ぎ澄まされ、表情には潤いがあり気品に満ちていた。歌の背後に柔らかな後光が射しているようで、松井さんが女神に見えた。ヴァイオリンの滑らかで深い情感を湛えたオブリガートも絶品だった。

2度演奏されるコラールは、心の底から沸き上がるイエスへの揺らぐことのない愛と信頼がもたらす至福の思いがひしひしと伝わってきた。一言一言を噛みしめて歌われる言葉が聴き手を優しく包み、オケと合唱の響きが美しくブレンドされて生み出される極上の色彩と香りに心を委ねた。

素晴らしい演奏だった一方で、聴く環境としては残念な状況があった。近くに座っている方のワキガが治療を要するような深刻なレベルで吐き気を覚えるほど。隣の人はずっとハンカチで鼻を押さえていた。耐えかねて休憩時に、数少ない2席空いている場所に移ったら、後半の開始間際に隣の方から「ここは私が持っている席なんですが」と指摘されて座席難民状態に。スタッフに事情を伝えて席を用意してもらうことは出来たが、夫婦で離ればなれの席になって何だか落ち着かないままだった。奥さんは元の席の近くで、ニオイは大丈夫だったそうだが、ニオイの発生源の近くの人が途中で退場したとのこと。騒音や迷惑行動などと違って成す術はなく、運が悪かったと諦めるしかないのだろう。

(ブログ主の曲目解説)バッハのカンタータ第147番とコラール

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