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郷古 廉(Vn)&加藤洋之(Pf)+横坂源(Vc)

2023年04月14日 | pocknのコンサート感想録2023
4月11日(火)郷古廉 (Vn)/加藤洋之 (Pf)
~東京・・音楽祭 2023~

東京春祭〈Geist und Kunst〉室内楽シリーズ vol.3 ~鏡の中の春 ー 横坂源 (Vc)を迎えて~
東京文化会館(小)

【曲目】
1.ブロッホ/「バール・シェム」 ~ 第2曲「ニーグン」(ヴァイオリンとピアノ版)
2.ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン・ソナタ Op.134
3.シルヴェストロフ/ヴァイオリン・ソナタ「追伸」
4.ショスタコーヴィチ/ピアノ三重奏曲 第2番ホ短調 Op.67

【出演】
Vn:郷古廉/Vc:横坂源(4)/Pf:加藤洋之


昨年N響定期で聴いたブリテンのコンチェルトで強烈な印象を刻んだ郷古廉が主役の室内楽コンサートを聴いた。

ブロッホの「バール・シェム」では、郷古の濃厚で熱い歌がまっすぐに届いてきた。凝縮され、磨かれた美しい音には人間的な熱い血が通い、深い祈りが感じられた。加藤洋之のピアノは艶のある硬質な響きで音楽の美しい佇まいを表現した。

続いてショスタコのソナタ。何と言っても第2楽章が圧巻だった。郷古は全身で音楽を表現して極限とも云える緊張感を持続させ、大きな振幅とスピード感が大きな推進力を生んだ。ピアノは熱いヴァイオリンを冷静に受け止め、的確に芯のある音を響かせ、音楽の構造を明確に描いて行った。第2楽章の印象が強烈だったためか、両端楽章はあまり記憶に残っていない。

プログラム後半の最初はウクライナ出身の作曲家、シルヴェストロフの作品。暫くの沈黙のあとに静かに弾き始めたメロディーは歌謡性に富んでデリケート。これが続くと思いきや、そのあとはこのメロディーの断片を広い空間に散りばめていくような音楽。郷古と加藤はお互いに敏感に共鳴し合い、両者の音が淡い香りを漂わせながら浮遊した。音がこだまのように反響する効果はとりわけ印象的。通常のピッチカートから左手のピッチカート、弓で弦をはじくスピッカートへの推移が、微妙な音色の変化を伴いながら一つに繋がって柔らかな弧を描き、それにピアノが呼応して共鳴し、無限の広がりを表現した。

最後はチェロの横坂源が加わり、ショスタコのトリオ。チェロの透明な響きのハーモニクスが続いたあと、ヴァイオリンもハーモニクスで応えるデリケートな開始部から緊迫した演奏が続いた。3人は果敢にバトルを交わすなかでも、郷古が多くの場面でイニシアチブを取り、アンサンブルをグイグイと邁進させて行った。郷古は弓のその先まで使うほどに全身でダイナミックに音楽を表現し、それはそのまま音として迫って来た。終盤は弦楽器が弱音器を付けるが、高いテンションのまま、最後の弱音のつぶやきまで手に汗握る緊迫感で訴えかけてくる白熱の演奏となった。

ブリテン/ヴァイオリン協奏曲(Vn:郷古廉)~2022年6月N響B定期~
コルンゴルト/ヴァイオリン協奏曲(Vn:郷古廉)~日フィル・サントリーホール定期 21.11.5~
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最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)

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