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日経アニュアルリポート・アウォード

2005年07月30日 05時08分57秒 | ビジネス・ニュース
本日の日経新聞に「日経アニュアルリポート・アウォード」なるものが広告で掲載されていました。現在日本ではその他にもいくつかアニュアルレポートを審査・評価するものがあります。

さて、アニュアルレポートであるが、基本的には英語の事業案内みたいなもの。会社によっては、事業案内をそのまま英文化し、それをアニュアルレポートとしているものも。事業案内と少し違うのが、後半半分は業績に関する資料になっているということ。

さて、このアニュアルレポート・・・英語で記述されているということは、当然海外の投資家向けの冊子であることは明らかである。ところで、海外の投資家というと、誰が対象になるのであろうか?海外で日本の企業の株式を購入する場合には、例えば米国の個人投資家が直に日本株を購入する場合には、ADRというものを発行している日本企業の株式であれば米国株と同様に購入することが可能になります(ADR発行はBank of New Yorkなどで実施しています。日本企業がそのような企業に申込みをし、ADRを発行することにより、米国の一般人が国内株を購入するのと同様に、日本株を購入することができるようになります)。しかし、実際に米国の個人が事業内容の詳細も分からない、遠い異国の株式を簡単に購入するであろうか?実際には、ほとんど売買されていないのが現状であるのは明らかである。

では、日本株を購入する外国の方というのは・・・当然、機関投資家ということになります。有名どころでは、Fiderityの日本株投信などがありますよね。他には、CalPersなどの年金基金も分散投資の対象として日本株を購入しているでしょう。要は、日本株を購入する外国の方っていうのは、ほぼ機関投資家なのです。

それでは、今回の課題のアニュアルレポートの話に戻しましょう。このアニュアルレポートというのは、写真、絵、図が沢山利用されている個人投資家向けの冊子です。当然米国の企業も、個人によりよく理解してもらう為に個人株主宛てに発行しています。それは、米国の個人投資家比率も高く、個人投資家に自社の株を購入して欲しく(また、その可能性・機会の提供をするべく)、アニュアルレポートを発行しているのです。

ところが、先に述べたとおり、日本企業の株式を海外の個人投資家が直に購入するケースはほとんどないことを考えると、このような英文のアニュアルレポートを発行すること自体が、ほとんど意味のないこととなる。実際に、このアニュアルレポートを制作、発行、郵送などを行うのに、数千万円の費用がかかっていることを考えると、無駄以外の何ものでもない・・・では、なぜそのような無駄なものを制作しているのか?・・・それがこれまで行われてきた作業であり、止められない。意味がなくても作成していれば仕事をしている気になるからである。全く呆れる限りである。

では、本来はどうすべきなのか?海外の対象が機関投資家なのであれば、機関投資家は当然業績、ニュース、新商品情報などの事業に関わる情報をいち早く知りたいという要望を持っている。ということは、決算期に発表する決算短信のいち早い英文化、ニュース等のいち早い英文化など、英語の資料をいち早く公開することなのは明らか。さらに言えば、テレフォンコンファレンスなどで、早急な発表ができれば尚素晴らしい。実際に、米国の機関投資家は米国企業の個人向けのアニュアルレポートでさえほとんど見ない。米国版決算短信のような10-Kといわれる、財務情報を見る。要するに、事業報告書のような情報は常日頃から色々と集められ、すでに機関投資家は情報として蓄積しており、決算情報などの時間を競う情報を日々必要としているのである。

また、アニュアルレポートなどは日本の個人投資家に絞って、発行すべきである。英文アニュアルレポート制作分の浮いた費用を、日本の個人投資家向けサービスに使えば、より効果的なIR活動ができるのは明らかであろう。英文のアニュアルレポートなどは費用の無駄遣い以外何ものでもない!

さて、日経ほどの新聞社であれば、以上のことが分かっているはずであるのに、このようなくだらない企画をすること自体がオカシイ・・・金儲けのためならそれが良くないことであろうと実施する企業理念がどうにも納得いかない、と思うのは私だけであろうか・・・

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