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「本のエンドロール」 安藤祐介 381 頁
本のエンドロールとは安藤祐介の造語なのだろうが
とても良いタイトルだ。
映画のエンドロールでは延々と10分くらい制作スタッフの名前や会社が映し出されるが、本当の映画好きはその間サントラを堪能しながら時折知っている人物などが出てくるのを待ちながら映画の余韻に浸るものだ。
同様に本だって奥付というエンドロールがある。
出版社に加えて印刷会社、製本会社、装丁デザイナー、
更にはその社名の奥に連なる何十人もの本作りの関係者たち。
今回は安藤氏特製の全員出場のエンドロールが巻末にあるので
そこまでしっかりと楽しんでもらいたい。いい映画を見終わったあとのように。
そして、中表紙裏を見直すと本書に吟味され使われた用紙と印刷仕上げがひっそりと、だが確かな存在感を持って主張している。
「紙つなげ」に感動した本好きの諸氏には必読の本造り小説である。
自称本好きを名乗る自分も本書で初めて紹介された本作りの人々の世界に今まで何を読んでいたのだ?と自省してしまった。
フィクションではあるけど綿密な取材とリアリティによる臨場感。
読んでいる本をしみじみと愛おしく触れたくなる。
本好きには必読の課題図書なのである。
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