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読書レビュー 罪人が祈るとき 小林由香

2022-07-22 11:36:00 | 書評 読書忘備録
小林由香「罪人(つみびと)が祈るとき」 327頁
ジャッジメントの小林さんが今年の3月に2作目を出してきた。前作の復讐法のディストピアフィクションの重い鉈のような切れ味に多くの本読ミは驚き、ビビり、ショックを受けた。
誰かがレビューに上げると、その度に多くのコメントがつけられ、賛否を交えて返信が繋がる。
それも1回目や2回目ではない
おそらく十人以上の常連がレビューを上げた、その都度その都度に多くのコメントがつくのである。



このテーマとこの作者の存在が如何に多くの本読ミの慧眼に留まったかの証拠であることだろう。
例えれば開幕戦第一球、内角死球スレスレの豪速球ストレートがジャッジメントであった、そして第2球本作は如何に ?
シチュエーションは前作から、より制球に狙い澄ました感ある現代、現実設定である。
しかしテーマは高校でのいじめ、そしていじめに伴う自殺、事故、殺人、である。しっかりと大胆に、ふてぶてしく、一作目を踏襲している。自信満々の第2球である。

今現在、凄惨ないじめ、暴力と金銭収奪の犠牲となっている少年、未成年の未熟さか、エスカレートしてあわや生命さえも危険にさらされたその時、ピエロの格好をした不詳の存在に危機を救われる。だがその場は逃れられたが元凶は健在でその後の日常でも危機といじめは継続される。
そして過去に息子がいじめの果てに自殺に追い込まれ家庭が壊れた父親。二つの被害者、二つの悲劇が交錯する。
悲劇の縦糸を繋ぐ横糸は共通のいじめの加害者であり元凶なのだった。




近未来フィクションの手法を借りず、敢えてど真ん中、リアルなとことん現実で勝負してきた小林。
その力量と胆力恐るべし。 
いい意味で期待を裏切る、一作目の呪いを弾き飛ばす作家の2作目はかくあるベシ、というような2作目である。
冲方丁の十二人の死にたい子どもたち、と並ぶべき、いじめで悩める少年少女、そして親たち必読の作品と思う。
更に3作目が楽しみになってきた。
期待してますよ、小林さん。


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