吉原珠央さんの「人とモノを自由に選べるようになる本」という本を読んだ。
吉原さんの1作目の著書もよかったのと、
この本の題名が気になったので手にとってみた。
モノはともかく「人を自由に選ぶ」って少し不遜では?などと思ったけれど、
そんなことはまったくなく、むしろ経歴から見る限り、
順風満帆にここまでこられたようなのに、
すごく腰が低く、
「駕籠に乗る人 担ぐ人 そのまたわらじを作る人」ということわざを例に出し、
自分がどれだけ多くの人に支えられているか、ということが書かれていた。
高校生くらいの頃、両親に
「自分ひとりで大きくなったつもりでいるんじゃありません!」と
よく叱られた。
今、思えば本当にそう。
私の周りで育児をしている人を見ても、24時間付きっ切りで
授乳し、おむつを換え、服を着替えさせ、入浴させ、
そんなこんなで1日などあっという間に終わってしまうそうだ。
今は、大抵のことは自分ひとりでできるようになったけれど、
それでも「駕籠に乗る人~」のことわざのように、
職場1つ行くにしても、バスに乗り、電車に乗り、
いろんな人の手を借りながら職場にたどり着き、
職場でも、いろいろな人に助けられ、教えられ、支えられて1日の仕事を終える。
夫が口癖のように「当たり前ってことはないんだよ」という。
最初こそ「そうかしら?」なんて思ったけれど、
今はつくづくそう思う。
両親に教えてもらったけれど、うまく飲み込めなかったこと、
反発や反抗で、素直に聞き入れられなかったことを
夫や本を通じて、またちゃんと教わる機会もこうしてめぐってくる。
まだ、たった30年とそこらだけれど、
人生って面白い、学ぶべきことって山ほどあるなあ、と
にっこり微笑む吉原さんの写真を見ながら改めて思う。