名探偵 浅見光彦、本業はルポライターで、
観光キャンペーンの取材のためフェリーで小樽へと向かう。
薄明の小樽港に漂流死体を発見した光彦は第一発見者となる。
殺されたのは小樽の金持ちの家の女性だった。
被害者の衣装棚から黒い揚羽蝶が出てきた。
葬儀の朝、第二の殺人事件が起こり、被害者の喪服の懐からも黒い揚羽蝶が出てきた。
能登に流された平家ゆかりの名家の家紋が揚羽蝶で、
一族の一人が小樽に渡り殺された伝説に手懸かりがあるのではないか、
と光彦は思う。
名探偵 浅見光彦シリーズは結末の犯人に対する態度が納得行かない、
という人も居るらしいが、この作品は、哀しくせつない結末、
これぞ推理小説の結末という終わり方だそうだ。
その結末というのは、
犯人が高速道路でアクセルを踏み込み対向車に突進して逝くというものであるが、
空港から札幌に向かう道央自動車道には分離帯が有って対向車に突進しても衝突はしない。
北海道の僻地の道路は熊やキツネしか通らないというイメージで、
高速道路にも分離帯なんて無いと思っているのだろう。
ただし、この小説では実在の道央自動車道ではなく、
架空の札幌自動車道という高速道路名にしてあり、
それで逃げを打っているのかも知れないが・・
この作品は、旅情と推理が融合し、ミステリーファンでなくても楽しめ、
運河の整備が始まった頃のゴタゴタを含めて観光地 小樽の案内も有り、
今の小樽と比べてみるのも一興ではある。
注)2018.3.13 内田康夫死去
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