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とどめ

2017年02月26日 12時01分13秒 | 戦争
貫太郎

留め(とどめ)は、もういい(昭和11年2月26日)

兵隊たちが撃ち
鈴木貫太郎は倒れ
誰かが
「とどめを撃て」と命令した。

撃たれようとした、その時、夫人(奥様)が
「とどめは やめて下さい。
これだけ撃たれて血を出して倒れている ではありませんか。
なぜ とどめをさす必要があるんですか。
とどめだけはやめて下さい」
と言って立ち塞がった。

その時現れた安藤輝三大尉に夫人が
「残念です。
夫は国のために尽くしてきた人です。
せめてあなたの名前を聞かせて下さい」
と言うと、彼は
「残念なことをいたしました。
私は安藤輝三と申します」
と言い、部下たちに
「止めはもういい」
と言って敬礼し立ち去った。

こうして鈴木貫太郎は生き残った。


鈴木貫太郎という男、

海軍で名を馳せ、日清日露で戦功を上げ、海軍大将、天皇側近、そして、首相となった。
首相就任早々、貫太郎はラジオで、国民に呼びかけた。
「私が一億国民の真っ先に立って、死に花を咲かせるならば、
国民諸君は私の屍を踏み越えて、国運の打開に邁進することを確信する。」
『わが屍を踏み越えて行け』とは国民にとっては、もっと戦争をやるぞ、という話になる。

10万人もの市民が一夜にして大虐殺された東京大空襲の1ヶ月後、
昭和20年4月12日、
日本を戦争に追い込んだルーズベルト大統領が脳溢血で急逝した。
ヒットラーは、「ルーズベルトは地獄に落ちた、ざまあみろ」と言った。
貫太郎は、
同盟通信社社長古野伊之助に語った。
「今日の戦争においてアメリカが優勢であるのは、
ルーズベルト大統領の指導力がきわめてすぐれていたからです。
そのことは率直に認めないわけにはいきません。
その偉大な大統領を今日失ったのですから、
アメリカ国民にとっては非常な悲しみであり痛手でありましょう。
…ここに私は深甚(しんじん)なる弔意をアメリカ国民に申し上げる次第です。」

これは通信社からアメリカに伝わり15日のニューヨーク・タイムズは、
日本の首相、「弔意」を表すとの見出しで読者を驚かせた。
この発言に陸軍から批判、抗議の声があがったが、
「死んだ敵将に敬意を捧げるのは、日本古来の武士道である。
軍人たる諸君が武士道を否定してどうするか。」
と応じたという。

当時、アメリカに亡命していたドイツの文豪トーマス・マンは、
単純にも、これに感銘を受け
「日本には今なお、騎士道精神と死に対する畏敬の念とが存する。
たとえ戦火の下とはいえ、人間性を失ってはならない。」と、
祖国ドイツ向けラジオ放送で訴えた。

敵味方を超えて人の死を哀悼した貫太郎談話は、
驚きと感銘をもって世界に伝えられたが、
ルーズベルトとは、
「アジア人は劣っているので白人と交配させよう。
Jap は進化が遅れた Yellow Monkey なので絶滅させよう。」
と発言していたような下劣な人物であり、深甚(しんじん)なる弔意に値しない。
この談話は、最後に、
「しかし、日本側としても
戦争を続行する決意をゆるめることは決してないであろう。」
とも付け加えている。
講和をあせりイタリアのように分裂、同胞相撃つ悲劇は避けねばならぬが、
降伏の時期を逸しドイツのように壊滅するまで戦う愚も避けなければならない。
戦い抜く覚悟を見せつつ一致団結して、静かに矛を納めなければならない。
それが、この談話の裏の意図なのである。



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