「禁忌」愁堂れな・著 イラスト・佐々木久美子 白泉社花丸文庫
2006年11月25日初版 242ページ 552円+税
帯に「ヤクザだから挿れてくださらないのですか?」と書いてあるので、タイトルの禁忌というのは「ヤクザとカタギ」の埋められない溝のことかと思ったら・・・。
ストーリーは・・・時は大正。小説家を志す中条芳は、文豪・三ツ村の内弟子兼お稚児として十余年過ごしてきた。その三ツ村に盗作され、芳は失意の日々を送る。見かねた学生時代からの友人、華族の園池格に誘われ、芳は軽井沢の別荘で静養することに。とある嵐の夜、芳は刀傷を負ったヤクザ風の男、西邑慶を保護する。ヤクザにも拘わらず西邑を懐かしく感じた芳は…。高級別荘地で繰り広げられる究極の禁断愛 というもの。
あとがきによると、愁堂先生初の時代物ということでした。
書き出しが「魂と魂が惹かれあう運命の相手とは、小指と小指が目に見えない赤い糸で結ばれているという。
そもそも『目には見えぬ』とされているのに、色がついていること自体おかしいと思えなくもないが、なぜにその色は『赤』なのだろう。」と、このあいだ読んだ「僕と彼らの恋物語」と同じ人が書いたとは思えません。
主人公の芳は、人気作家の三ツ村の内弟子だった。尊敬する三ツ村から求愛され、関係を結んでいた。が、三ツ村は芳の作品を無断で自分の作品として発表し、抗議した芳を「売女」だの「脚を開くしか能がない」だのと罵倒します。
芳は三ツ村との関係を解消し、学生時代からの友人、園池の軽井沢の別荘に身を寄せます。
そこで刀傷を負った西邑と偶然出会い、芳は西邑にほぼ一目惚れ状態。
西邑を看病し、身体を拭いているとき、西邑が勃起していることに気づきます。
芳は西邑にパクつき、ゴックン。
西邑も芳のものを舐めてはくれるのですが、どれだけ芳が懇願しても、挿れてはくれません。なにせ西邑はお腹をかなり深く切られており、傷がふさがらず血がにじんでいる状態。それなのにしゃぶったり「挿れてください」と迫る芳はどれだけスキなんだよ・・・と思いつつ、でもなんだか読めちゃうんですよね、この話。
予想通り、園池は「昔から芳が好きだった」で、西邑にトンビに油揚げを攫われた状態です。
西邑は自分の組の組長や大勢の組員を卑怯な手で殺したライバルの組に敵討ちに行ったのですが、多勢に無勢で返り討ちにあってしまい、傷を負いました。
西邑をつけ狙うヤクザは、西邑を探し出そうとやっきになっています。
園池は西邑に満州に逃げてはどうか?と提案し、切符の手配を申し出ます。芳は自分も一緒に満州に行きたいといいますが、園池は「自分はそこまでお人よしではない」と拒絶。当然ですね。
明日には園池が満州のチケットを持ってくるというその夜。
西邑は「傷に障るので今日は別々に寝よう」というのですが、芳は夜、西邑の部屋を訪れます。しかし、ドアには鍵がかかっており、ドアの外から「何故入れてくれない」と西邑を責める芳。西邑は「怪我が~」と言いますが、芳は知ったこっちゃありません。このあたりは「ヲイヲイ」とつっこみながら読んでいました。
翌日、チケットと興信所の調査結果をもって園池がやってきます。
そこで驚愕の事実が明かされます。なんと、西邑と芳は実の兄弟だったのです。
西邑はそのことを知っており、だから挿入を拒んでいた・・・というお話でございました。
タイトルの禁忌はダブルミーニングで、冒頭の書き出しのすぐあとの文章は「心の臓から流れ出る血の色の象徴か。はたまた激しく相手を求める熱情を、赤という色に例えたのか」と、続き、運命の赤い糸と血との関連について書いてあるので、その時点で実は二人の関係が暗に示されていたのですね。
ところどころつっこみどころはありましたが、このところハズレ続きだった愁堂先生の作品の中ではまずまず楽しめた作品でした。
2006年11月25日初版 242ページ 552円+税
帯に「ヤクザだから挿れてくださらないのですか?」と書いてあるので、タイトルの禁忌というのは「ヤクザとカタギ」の埋められない溝のことかと思ったら・・・。
ストーリーは・・・時は大正。小説家を志す中条芳は、文豪・三ツ村の内弟子兼お稚児として十余年過ごしてきた。その三ツ村に盗作され、芳は失意の日々を送る。見かねた学生時代からの友人、華族の園池格に誘われ、芳は軽井沢の別荘で静養することに。とある嵐の夜、芳は刀傷を負ったヤクザ風の男、西邑慶を保護する。ヤクザにも拘わらず西邑を懐かしく感じた芳は…。高級別荘地で繰り広げられる究極の禁断愛 というもの。
あとがきによると、愁堂先生初の時代物ということでした。
書き出しが「魂と魂が惹かれあう運命の相手とは、小指と小指が目に見えない赤い糸で結ばれているという。
そもそも『目には見えぬ』とされているのに、色がついていること自体おかしいと思えなくもないが、なぜにその色は『赤』なのだろう。」と、このあいだ読んだ「僕と彼らの恋物語」と同じ人が書いたとは思えません。
主人公の芳は、人気作家の三ツ村の内弟子だった。尊敬する三ツ村から求愛され、関係を結んでいた。が、三ツ村は芳の作品を無断で自分の作品として発表し、抗議した芳を「売女」だの「脚を開くしか能がない」だのと罵倒します。
芳は三ツ村との関係を解消し、学生時代からの友人、園池の軽井沢の別荘に身を寄せます。
そこで刀傷を負った西邑と偶然出会い、芳は西邑にほぼ一目惚れ状態。
西邑を看病し、身体を拭いているとき、西邑が勃起していることに気づきます。
芳は西邑にパクつき、ゴックン。
西邑も芳のものを舐めてはくれるのですが、どれだけ芳が懇願しても、挿れてはくれません。なにせ西邑はお腹をかなり深く切られており、傷がふさがらず血がにじんでいる状態。それなのにしゃぶったり「挿れてください」と迫る芳はどれだけスキなんだよ・・・と思いつつ、でもなんだか読めちゃうんですよね、この話。
予想通り、園池は「昔から芳が好きだった」で、西邑にトンビに油揚げを攫われた状態です。
西邑は自分の組の組長や大勢の組員を卑怯な手で殺したライバルの組に敵討ちに行ったのですが、多勢に無勢で返り討ちにあってしまい、傷を負いました。
西邑をつけ狙うヤクザは、西邑を探し出そうとやっきになっています。
園池は西邑に満州に逃げてはどうか?と提案し、切符の手配を申し出ます。芳は自分も一緒に満州に行きたいといいますが、園池は「自分はそこまでお人よしではない」と拒絶。当然ですね。
明日には園池が満州のチケットを持ってくるというその夜。
西邑は「傷に障るので今日は別々に寝よう」というのですが、芳は夜、西邑の部屋を訪れます。しかし、ドアには鍵がかかっており、ドアの外から「何故入れてくれない」と西邑を責める芳。西邑は「怪我が~」と言いますが、芳は知ったこっちゃありません。このあたりは「ヲイヲイ」とつっこみながら読んでいました。
翌日、チケットと興信所の調査結果をもって園池がやってきます。
そこで驚愕の事実が明かされます。なんと、西邑と芳は実の兄弟だったのです。
西邑はそのことを知っており、だから挿入を拒んでいた・・・というお話でございました。
タイトルの禁忌はダブルミーニングで、冒頭の書き出しのすぐあとの文章は「心の臓から流れ出る血の色の象徴か。はたまた激しく相手を求める熱情を、赤という色に例えたのか」と、続き、運命の赤い糸と血との関連について書いてあるので、その時点で実は二人の関係が暗に示されていたのですね。
ところどころつっこみどころはありましたが、このところハズレ続きだった愁堂先生の作品の中ではまずまず楽しめた作品でした。