「純情ポートレイト」崎谷はるひ・著 イラスト・タカツキノボル フロンティアワークス ダリア文庫
2009年8月20日初版 350ページ 657円+税
やめようか悩んだのですが、フェアをやってたので冊数あわせに買ってしまいました。
ストーリーは・・・写真学科に通う美大生・篠原亮祐は、バイト先のコンビニに毎晩訪れる真面目そうな隠れ美形会社員を気に入り、毎日見るのを楽しみにしていた。そんなある日、ひょんなことから彼・小井博巳に貸しが出来た亮祐は、彼をモデルに写真を撮らせてと頼む。レンズ越しに素の博巳と向き合うにつれ、外面とその素直さとのギャップに新鮮さを覚え、彼自身に惹かれる心を止められず― というもの。
攻めの篠原が主人公なのですが、これが崎谷作品にはありがちな何様のつもりじゃ!っつーくらいえらそうな男で私はちょっとついていけませんでした。
今回の話では、篠原が美人の小井をいいな~と思っていたところ、体調を崩した小井の面倒を見たことでお友達になります。
小井は会社で何者かから嫌がらせをうけており、その犯人は篠原の行きつけの店で問題を起こしているカメリーマンこと亀山だということがわかり、篠原が撃退。小井とはめでたしめでたし・・・という話。
篠原は写真を勉強する専門学校生で、美形なのはデフォルトなんでしょうけど、とにかく偉そう。若いから・・・とおばさん目線で生暖かく見ようと思っても、その偉そうな態度の根拠というのがあまりにショボいので悲しくなってきます。
崎谷先生の作品では登場人物の行きつけのお店というのがよく登場します。
登場人物が常連だったり、店員だったりますが、彼らは皆、イケてて、がっちり身内で固まっている。
そこに往々にして今作のカメリーマンのような男が登場するわけですが、崎谷先生はカメリーマン的なキャラ(要するに悪役)にはいつも容赦がないので、読んでいてちょっとつらくなる部分があります。
カメリーマンは不細工な上、性格も悪く、空気も読めないので篠原が行きつけの店全員から嫌われていて。そんな嫌われ者が店の店員に手を出すなんざ「生意気なんだよ」・・・みたく、主人公たちは結束して悪役を叩きのめすのです。
う~ん、どう書けばいいのだろう。まだ整理がつかない。
篠原という男は、単なる専門学校生でコンビにバイトっていう、現時点では勝ち組とは言えない男なわけですが(最後に小さいコンテストで賞を取りますが)、とにかく全ての人に対して上から目線なんですよね。
人を見下すということは、自分は他の連中(店の常連客を除く)より上だと思ってるんでしょうけど、そう思うだけの(客観的に見て価値のある)地位や能力は篠原にはないわけです。少なくともその時点では。
根拠はないけど(自分に)自身があるって若い世代・・・いわゆるゆとりの特徴でもあると思うので、そういう意味では、崎谷先生は若い人たちをきちんと描けているのかもしません。
そのへんと平仮名の多さが、アニメイト渋谷店のランキング独占の要因なのでしょうか。
この話は新作ではなく、「恋はあせらず」という短編集(絶版のノベルズ)に入っていた作品の焼き直し+後日談で1冊の文庫になっております。
で、書き下ろしの後日談部分なんですが・・・・・・篠原のキャラ、ぜんぜん違っているような気がするんですけど。
後日談パートは小井が主人公で、社会人である小井の仕事の都合で会えない日が続いていたある日、篠原の浮気騒動が持ち上がります。
泥酔したあげく誰かと一夜を過ごしたかもしれない・・・ってなことが発覚した後、小井の携帯に篠原が他の人とキスをしていたり、エッチの最中に誰かに踏み込まれたらしい画像が送られてきます。
もともと篠原は性に対し(少なくとも自分よりは)奔放だ、と思っていた小井は別れを切り出します。
別れても篠原とはコンビニで顔を合わせるし、嫌がらせのメールはなくならないし・・・で、悩んでいた小井はまたしても篠原の前で倒れ、当然のごとく篠原が救助。
んでもって「あの画像は、単なるキスパーティーので、3Pっぽいのは、ソフトAVでモデルのバイトをしただけ」と説明して小井も納得して終わります。
この話を読んで、崎谷先生は話をつくるのがあまりうまくないなぁと思いました。
「実は~~で」って説明して終わりって。二時間ドラマかよ。
実は~でってのがわかる過程とか、苦しいけどお互い過去を乗り越えて~とか。そういうドラマってのが崎谷先生の作品にはほとんどない気がします。まぁ、そういうお手軽さも若い人向けなのかもしれません。
2009年8月20日初版 350ページ 657円+税
やめようか悩んだのですが、フェアをやってたので冊数あわせに買ってしまいました。
ストーリーは・・・写真学科に通う美大生・篠原亮祐は、バイト先のコンビニに毎晩訪れる真面目そうな隠れ美形会社員を気に入り、毎日見るのを楽しみにしていた。そんなある日、ひょんなことから彼・小井博巳に貸しが出来た亮祐は、彼をモデルに写真を撮らせてと頼む。レンズ越しに素の博巳と向き合うにつれ、外面とその素直さとのギャップに新鮮さを覚え、彼自身に惹かれる心を止められず― というもの。
攻めの篠原が主人公なのですが、これが崎谷作品にはありがちな何様のつもりじゃ!っつーくらいえらそうな男で私はちょっとついていけませんでした。
今回の話では、篠原が美人の小井をいいな~と思っていたところ、体調を崩した小井の面倒を見たことでお友達になります。
小井は会社で何者かから嫌がらせをうけており、その犯人は篠原の行きつけの店で問題を起こしているカメリーマンこと亀山だということがわかり、篠原が撃退。小井とはめでたしめでたし・・・という話。
篠原は写真を勉強する専門学校生で、美形なのはデフォルトなんでしょうけど、とにかく偉そう。若いから・・・とおばさん目線で生暖かく見ようと思っても、その偉そうな態度の根拠というのがあまりにショボいので悲しくなってきます。
崎谷先生の作品では登場人物の行きつけのお店というのがよく登場します。
登場人物が常連だったり、店員だったりますが、彼らは皆、イケてて、がっちり身内で固まっている。
そこに往々にして今作のカメリーマンのような男が登場するわけですが、崎谷先生はカメリーマン的なキャラ(要するに悪役)にはいつも容赦がないので、読んでいてちょっとつらくなる部分があります。
カメリーマンは不細工な上、性格も悪く、空気も読めないので篠原が行きつけの店全員から嫌われていて。そんな嫌われ者が店の店員に手を出すなんざ「生意気なんだよ」・・・みたく、主人公たちは結束して悪役を叩きのめすのです。
う~ん、どう書けばいいのだろう。まだ整理がつかない。
篠原という男は、単なる専門学校生でコンビにバイトっていう、現時点では勝ち組とは言えない男なわけですが(最後に小さいコンテストで賞を取りますが)、とにかく全ての人に対して上から目線なんですよね。
人を見下すということは、自分は他の連中(店の常連客を除く)より上だと思ってるんでしょうけど、そう思うだけの(客観的に見て価値のある)地位や能力は篠原にはないわけです。少なくともその時点では。
根拠はないけど(自分に)自身があるって若い世代・・・いわゆるゆとりの特徴でもあると思うので、そういう意味では、崎谷先生は若い人たちをきちんと描けているのかもしません。
そのへんと平仮名の多さが、アニメイト渋谷店のランキング独占の要因なのでしょうか。
この話は新作ではなく、「恋はあせらず」という短編集(絶版のノベルズ)に入っていた作品の焼き直し+後日談で1冊の文庫になっております。
で、書き下ろしの後日談部分なんですが・・・・・・篠原のキャラ、ぜんぜん違っているような気がするんですけど。
後日談パートは小井が主人公で、社会人である小井の仕事の都合で会えない日が続いていたある日、篠原の浮気騒動が持ち上がります。
泥酔したあげく誰かと一夜を過ごしたかもしれない・・・ってなことが発覚した後、小井の携帯に篠原が他の人とキスをしていたり、エッチの最中に誰かに踏み込まれたらしい画像が送られてきます。
もともと篠原は性に対し(少なくとも自分よりは)奔放だ、と思っていた小井は別れを切り出します。
別れても篠原とはコンビニで顔を合わせるし、嫌がらせのメールはなくならないし・・・で、悩んでいた小井はまたしても篠原の前で倒れ、当然のごとく篠原が救助。
んでもって「あの画像は、単なるキスパーティーので、3Pっぽいのは、ソフトAVでモデルのバイトをしただけ」と説明して小井も納得して終わります。
この話を読んで、崎谷先生は話をつくるのがあまりうまくないなぁと思いました。
「実は~~で」って説明して終わりって。二時間ドラマかよ。
実は~でってのがわかる過程とか、苦しいけどお互い過去を乗り越えて~とか。そういうドラマってのが崎谷先生の作品にはほとんどない気がします。まぁ、そういうお手軽さも若い人向けなのかもしれません。