おそらく50年近く前の
昭和の登山地図をながめると、
鶴ノ子ノ頭は犬吠とも併記されている。
最近では犬吠という呼び名はトンと聞かないが、
なごりが犬吠谷という名で現在も残っているのは知っていた。
この犬吠(鶴ノ子ノ頭)から
面河渓に向かって伸びる尾根を歩いてみたくなった。
谷と対になるよう勝手に犬吠尾根と名付けた。
尾根末端の取付点になる番匠谷出合は、
屈曲した岩壁で囲まれた特徴ある地形で、
以前から気になっていた。
番匠谷側にすこし回り込み、
弱点からヤセ尾根に這い上がった。
岩壁に囲まれた尾根末端部では
クライミングがあるかと予想していたが、
結果ロープは不要だった。
面河渓と番匠谷を左右に見下ろせる切り立ったヤセ尾根。
シャクナゲが旺盛な屈曲部をすぎると、
しっかりした尾根に乗っかった。
H=1200mあたりで、矢筈のような15m岩峰。
松や桧、ブナ、シラベ
いい雰囲気の自然林が尾根上部に拡がる。
頂上直下、ササをつかみながら稜線にとびだした。
鶴ノ子ノ頭、三等三角点(三角点名 土小屋)
細かい雨と冷たい東風にすっかり体が冷えてしまい、
急ぎ足で土小屋へ駆け下った。
「行ったことないところへ行く、知らないところへ行く」
ちょっとした好奇心を満たしてくれて、
わずかばかりの冒険心をくすぐられた、
ヤブ尾根山行だった。
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