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しずくな日記

書きたいなあと思ったときにぽつぽつと、しずくのように書いてます。

遺していくもの

2012-03-07 21:44:03 | 日記
昨日の夜はなかなか寝付けずに困る。
こんなことは珍しい。普通なら、布団に入ると10分で意識がなくなるのにな。
明るいところじゃなくて、暗いところで静かに休みたかったので、
ご飯もほとんど食べずに、ぼんやり横になったけど、
心臓の動悸の早さが気になって、何度も寝返りをうつ。
こんな時は、無理に寝ようとしない方がいい。
何か音楽でも。

10年前に心の調子が悪くなったとき、
人の勧めで聴いた、福澤もろさんという人の静かな曲。
細野晴臣さんが「シャーマンボイス」と絶賛したというこの人は、
しかしそんなに有名ではない。
矢野顕子さん、YMOとも一緒に曲を歌ったこともある、実力のあるアーティストだ。
でも、とても静かで美しく、優しい曲調は、
刺激的で明るい今の日本のポップシーンには、絶対に出てこられないタイプの曲だった。

福澤もろさんの曲が聴きたくなって、横になって聴いてみる。
CDにはいろいろ曲が入っているけど、you tubeには「宇宙のうた」しかなかった。
一時期、「みんなのうた」で流れていたものの自主制作デモテープの音源だった。

日本人には、悪いクセがあると思う。福澤さんの曲には、宗教的意図はないのだけど、
あまりに純粋なその曲調に、宗教的なものを感じる人も多いようだ。私もそう感じた。
「宗教」と聞くと、何か悪いものと思う人が多い。オウムの事件以来、特にそうなった。

私は、祖母が毎朝仏壇に向かって唱える般若心経を聴きながら育ったけど、
大学はプロテスタント系キリスト教の学校に進んだ。
そこで、かじる程度だけど、キリスト教についても少し学んだ。
別に強制もされなかったが、毎週水曜日の朝には礼拝もあった。
神父でもあり神学部の教授でもある人がおっしゃっていたことが忘れられない。
「宗教を持たない、と海外で言えば、怪訝な顔をされます。何も信じるものがない人を、誰も信頼はしないのです。」
自分を常に見つめる存在があるから、謙虚になれる。
宗教とは、自分を見つめる方法の一つだとおっしゃっていた。
自分を見つめ、自分に何ができるのか。
ぜひ、あなた方は人の役に立つ生き方を探してください、と。
そうだな、と思った。
この大学に行った意味は、知識の習得ではなくて、そういうところにあったと今にして思う。

それならば、今の日本人は、本当に心から寂しい民族になってしまったんだよな。

福澤さんは、癒しの音楽、というのをテーマに作曲をしている方だと聞いていた。
音楽で、自分が人のためにできることをしたい、とおっしゃっていたという。
「宇宙のうた」をはじめとする曲は、ツギハギだらけの私の心には、とてもとても沁みた。
左半身が引きつるように感じ、悪いことを次々思い出し、それが空気中に消えていった。
その後は、凪の海のような静かな気持ちになった。
いつの間にか眠っていたようで、気づくと朝の4時だった。

一日、穏やかな心で、笑って過ごせた。
この曲のおかげだ。


福澤さんは、最近はどんな活動をされているんだろう、とふと思って、調べた。


「2002年 心臓病で死去」


10年前に亡くなっていた。若くして亡くなっていたことに愕然とする。

10年経ってもこうやって、福澤さんの発した純粋な思いに救われている人間がここにいる。
そういう思いを遺していける人に、自分もなりたい(なれなくても目指したい)と思った。




















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