何年も前に買ったユニクロの長袖Tシャツ
色はオレンジ色である
…
うつ病をこじらせていた頃
明るい色、元気な色を身につけたら
少しは気持ちが上向いてくるのではないかと思ったのだ。
普段着で最初は着ていたんだけど
ヨレヨレになって部屋着になって
ヨレヨレの毛玉まみれになってパジャマ代わりになった
そしてアチコチがほつれてボロボロになって
穴があいたりして
それを見てて思ったのは
ホームレスでもこれよりいい物を着てるんじゃないかと。
もう捨てようって思ったんです
『これ、捨てようかな』
ってカミさんに言うと
『任せるよ』と言う返事
…
今まで、このTシャツを
『まだ着るの??ボロボロだよ??』って何度言われたんだろうか
その都度
『着ている姿を誰に見せるでもないし、これを着て外に出るわけでもないし。まだ着れるよ。』
って言って
ずっと捨てずに着て来たのだ
しかし、本当にボロボロであまりにもみすぼらしいので
今回は俺が捨てる決心をした
『どうやってゴミに出せばいいの?』
と聞くと
『丸めてゴミ箱でいいよ』
って言う
…
待って。
そんな、今までこんなに世話になってきたTシャツを
もう着ないからって丸めてゴミ箱??
無理無理無理
何年の付き合いだと思ってんのさ
俺が体調悪い時にも、元気を出せるようにオレンジ色でいてくれたのだ
パジャマになった時からほぼ毎日のように着て来たのだ
それを丸めてゴミ箱だなんて。
もうね、愛着とかお気に入りとか、そういう感じじゃないの。
戦友のような感じだよ。
俺が精神的にボロボロだった時期を支えてくれたんだもん。
Tシャツがボロボロになった時に、誰がTシャツを支えてあげるの?
…
丸めてゴミ箱のそばに置いたけれど
俺はそれを拾って
『もう少し着るから洗ってちょうだい』ってカミさんに渡した。
どうせそう言うだろうとカミさんも思っていたようで
1ミクロンも驚かなかった。
さすがにボロボロになったTシャツを載せるわけにもいかない
俺はネットで画像を探した
同じ色の、同じTシャツ。
…
…
あった。
これだ。
何てキレイなオレンジ色をしているんだろう
この鮮やかなオレンジ色に助けてもらったんだ
今はもう色もくすんで、生地も薄くなって伸びてダラダラだ
胸の所からお腹の所にかけて毛玉が物凄い
…でも、やっぱり捨てられないな
うん。もう少しだけ、着よう。
このTシャツには名前が付いている
『オレンジマン』だ
カミさんが命名したのだ
俺も、『オレンジマン乾いたかな』とか言っちゃう
…
超寝不足の俺は
オレンジマンを着て寝ようと思う
まだ8時を過ぎた所だけど
眠くてたまらない
真夜中に目がパッチリのコースかな
それでも今は眠くて仕方がない
…
オレンジマン、一緒に寝ようぜ。
あくびのし過ぎで涙が止まらないんだよ。