空からマリコ「安全第一」

おそらのともだち。安全のこと、空のこと、時々経済、ところによって時事ネタ

【オリジナル】マレーシア航空機行方不明、マリコ的分析

2014-03-13 00:18:44 | 定期航空

<【オリジナル】マレーシア航空機行方不明、マリコ的分析>

 今回のマレーシア航空機の行方不明。「テロだ」「いや事故だ」などいろいろな情報が飛び交っています。とにかく早く見つけて多くの人の命が救われることを祈るばかりですが、現時点でのマリコ的分析をしてみたいと思います。

 まず、旅客機が巡航に事故を起こすという事態は「めずらしい」ことです。いままでボーイング777の重大事故は2件ありました。BAのヒースロー事故とアシアナのロス空港での事故ですが、フェイズはいずれも着陸時です。つまり777が巡航中に大破壊を起こしたことはないのが過去の記録です。

 さて、巡航中でも異常が起こればパイロットはさまざまな方法で管制や会社に連絡できます。無線による音声通信のほか、トランスポンダー(自機の便名などを管制機関のレーダーに自動的に伝える)、さらに各種のデータ通信などもあり通信は多重化されています。その、いずれのチャンネルも反応しなかったということは「巡航中になにかが急激に起こった」ことは間違えないことです。

 その急激に起こったことの一つの可能性が「人為的な破壊」(「サボタージュ」と航空業界では呼ばれています)です。爆破などいきなり機体に大破壊が起こったのでは、パイロットは何もできないで墜落してしまうしかありません。マレーシア機で多くの人がテロを疑うのは「なにかが巡航中に急激に起こった」プラス・偽パスポートで搭乗した人がいた=自爆テロという図式があるからだと思います。ただ、ここに来て揺らいでいますが・・。

 さて、テロは別として、パイロットが危険を認識せず、あるいは通信ができずに「巡航中になにかが急激に起こった」ことで重大な事故に至ったことは皆無ではありません。そうした事故を2つ紹介します。

1)AF447便事故

 2009年6月1日、ブラジル・リオデジャネイロのアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港からパリのシャルル・ド・ゴール国際空港に向かっていたエールフランス447便(エアバスA330ー200)が南米大陸沖の大西洋上に墜落し、228人が死亡した事故。

 これはピトー管が故障し凍結、速度不明となったために自動操縦が切れたのですが、その際、操縦桿を握っていた副操縦士が操作を間違えて機体が失速、そのまま海面に激突したというものです。

 この事故は、今回のマレーシア航空機不明と同様に、事故現場の特定に5日もかかっています。また、ブラックボックスが回収されたのが事故発生から2年後。さらに最終事故報告書が出たのは事故発生から3年後でした。

2)TWA800便事故

 1996年7月17日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港からパリのシャルル・ド・ゴール国際空港行きのトランスワールド航空800便(ボーイング747―100)が、離陸して12分後に空中爆発して大西洋に墜落。230人が死亡しました。

 事故直後はイスラム原理主義グループが犯行声明を出したこともあって、FBIが捜査に乗り出しました。しかし、NTSBが大西洋に落ちた機体をかき集めジグソーパズルのように組み上げて原因を探ったところ、飛行中に燃料タンクそばにある電気配線がショート。その電気が燃料タンク監視システムに接続している電線を通じてタンク内に流れ、気化していた中央燃料タンクの燃料に引火し爆発したと断定されました。これも特定に4年の歳月がかかりました。

 上記、2つの事故を挙げたのは、いずれもパイロットからの通信がなく最初は「テロだ」とされていたものが、実は意外なメカニズムの事故だったという「典型例」だからです。

 現在、テロ以外で「翼端が他機に当たって修理していた」という情報があります。修理歴があるとはいえ、短時間(数分)で主翼が大破壊するというのはかなり考えにくい現象ではありますが、考慮すべき事項かなとも思います。

 いずれにせよ「意外なメカニズム」にも留意して推移を見守りたいと思います。


最新の画像もっと見る