ああ 美味しい!

美味しいものを求めて
ひたすら食べ続けます

車椅子

2004-04-06 17:35:25 | yomoyama

電話がなった。電話の声にエコーがかかり聞きにくい。
音楽関係の仕事をしている弓田さんだった。コンサートの企画が
あるということでアポイントを取った。その日、事務所にみえられたが
なかなか4Fにこられない、どうしたのか待ちわびていると、再度
電話がなる。弓田さんの言われるままに近くの喫茶店で会うことに。
ビルをでて一瞬目がとまった、体格のいい立派な方が車椅子に。
近くの喫茶店へ向かう、すぐさま玄関でつまづく、わずか7,8cmの段差が
乗り越えられない、私も「よいしょ」とばかり前輪を持ち上げる
店のテーブルにつく、「オーダーは何にしますか?」「コーヒーを」お願いします。
と弓田さん。名刺を出して、三宅ですと言おうとしたとたん、名刺が出てこない
、足だけでなく手も不自由なことがわかった。書類も持てないようだ。
でも、どうやって電話をかけてきたのだろう、お茶はどうやって飲むのだろうか、
水を飲んだらトイレはどうするのだろうか。耳にイヤホンがついているのが見えた。
耳も不自由なのだろうか。もっと大きな声で話さなくては。
話題はコンサートのことへ、仕事のことを話しはじめたが、弓田さんのことが
気になって話しは上の空。喉が乾いたかな?向こう側へまわり、コーヒーカップ
を持って弓田さんの口元へ、おいしそうに飲まれている。自分の抜け殻が前に
いるようだ。コーヒーに砂糖を入れるのか聞くのを忘れてしまった。ミルクは入れるのか
。自分ならここで少し水を飲むが、どうしようか。
いろいろ考えているうちに、何を話したか忘れてしまった。
帰り際、駅まで送って行こうか迷っているうち、「原宿へ行きます」と弓田さん。
思いのほか早いスピードで車椅子はすべるように立ち去った。