顕正会の浅井会長は、去る平成5年6月6日に開催された、青森大会に於ける質問会で、原発大賛成の意思表明を為され、次のように発言されています。
質問 「青森県六ヶ所村の核燃料基地が話題になっていますが、日本の原子力利用をどう見たらよろしいでしょうか?」
答え 「青森だけなんですかねえ、今の、原子力のエネルギーの、核燃料基地っていうのがあるっていうのは、六ヶ所村に。おそらく、まあ、そこが一番適当だっていうんで、日本政府が選んだんでしょうけどね。
まあ、これは直接仏法とは関係ない、あのー、話題でありますけど、まあ、私はこう思うんですね。
えー、今、この、発展しつつある経済、この経済発展を支えているエネルギー、これはもう石油には頼れないんだろうと。今後、石油は枯渇しますからね。そうするとどうしても、もう、いかなる国も、人類全体が新しいエネルギー源としてですね、原子力に頼らざるを得ない。これもし頼らないということになってくると日本の今の経済生活、どうなんでしょうか、大変なことになるんでしょうね。
おそらく今の、あれでしょ? エネルギーの中で、全国の発電量の30パーセント、までいってるんじゃないですか、現在。原子力の発電が。だから原子力を全部日本人がですね、ダメだ捨てろ捨てろと言うと、30パーセントの電力がなくなっちゃうから、経済成長も三分の一にダウンしちゃう。と、日本は生活できないですね。
それ日本だけじゃない。全世界が、もう、核エネルギーっていうことを使って、現在の生活が成り立っている。まあ、そこで私思うんですね。もうロシアのような、もう、ああいう、国になりますとね、核燃料は使い捨て、そして管理はメチャメチャ、だからチェルノブイリみたいな事が起こるんですね。ああいう使い方はいけないけれども、核燃料をもう避けて通ることができないんだったらば、それを完全に安全管理する、これやっぱり、人間の一つの智慧なんでしょ。
その中においては、日本の国は最も用心深く安全に管理しているんではないか、私そう思うんですね。もしそれを核燃料を核アレルギーからですね、全部捨てろ捨てろっていうのは、今の日本の経済生活を全部否定して昔に戻るんだと。もう電力なんかいらないと、いうんだったらかまいませんけども、今の生活を維持しようっていうんだったら、核エネルギーっていうことを、無視することはできないんだから、これを用心深く安全管理する日本ならそれをやれているんではないかと思う。
ところが、何でこれを反対反対反対ってことが、これ、かまびすしいかといいますとですね、これ社会党が言ってるんですよ。実は、社会党が以前から反対していることは三つあったんですね。自衛隊反対。これは違憲。憲法違反です。自衛隊なんか解体しろ。もう一つ、原発反対っていうんですよ。現行の原子力、原子力の核は核兵器に通ずる、なんて言って、みんなが日本人はヒロシマ・ナガサキっていうんで、核アレルギーを起こしている。それに与同してですね、その、原発もいけないっていう。
それからもう一つ。日韓、この、条約を破棄しろと言って、韓国との交渉も、これするなとこう言ってる。でこのようなことを今になってみて社会党が困っちゃってこれじゃもうこの、選挙負けるということで全部それを、変更しはじめたでしょ? 自衛隊も容認すると。原発も容認する、なんて言ったけどもう既に遅い。そのように社会党が騒ぎに騒いだからみんな国民が何か私は誤解をしている。社会党が何故騒いだかわかりますか? ソ連の政策だったんですよ。ソ連が何としても日本を弱くしようと。それで自衛隊を解散させると。で自衛隊は違憲、違憲、憲法違反ってやつ。それから原子力。これを日本が利用するってことはますます経済発展になる。
だから原発反対しろと。それに社会党が、いわゆるソ連の、謀・・・日本に対する対日謀略の手先になった。ですから、今、社会党が、一番触れられたくない問題が何かというと、ソ連から資金援助を受けたんですね。ソビエトから、ものすごい資金援助を受けてきたでしょ? この場合、これは今、ソビエト共産党が崩壊することによって機密文書が出て、どんどん社会党に援助したことが、文書が出てんで、社会党が一番困ってる。このように、外国からお金をもらって、日本の国益に反するようなことをやっておったのが、あのかっての社会党だった。そこに今の社会党のまことにみじめったらしい姿が出てきてるんですね。
まあ、そこに私は、今のこの、原子力発電っていうことを反対、核エネルギー反対って言ってこれを全部破棄しろというんだったら、そいで危険だというんだったら、しかし日本でもって、この原発でもって誰が死んだんでしょうか。誰も死なないでしょ? 私は非常に用心深くやられてると思うし、もしこれが危険だ危ないんだって言ってやめるんだったらね、自動車乗るのをやめたらどうかと思う。原発じゃまだ死んでないけど。
自動車じゃ年間一万数千人死んでるんですから、事故でもって。それこそ、一万数千人から死んでる自動車みんなやめろっていって、ホントはこれに賛成しなきゃならない。またゴールデンウィークなんたって、あれやると必ず、山で死んだ海で死んだって、必ず数十人、毎年死ぬんですよ。休まない方がいいじゃないですか。だからそうなってくるとですね、今の核、この、原発反対ってことはいかにも感情論なんだと。私は思うんですね。
まあ、こういうことも、仏法の智慧でもってでね、一体何が必要なのかと。そして、たとえ必要なものであっても危険なもんだったら充分用心しなきゃいかん。まあ、そのバランス感覚っていうのか私は仏法の智慧で見ていかなければならない、と思う。
そして、将来私はですね、これは広宣流布になったときにおいては、もう石油も何もかもですね、使わずに本当に、広宣流布になった後の私はエネルギーはですね、私のこれは私見でありますが、えー、核融合のエネルギー、太陽と同じエネルギーで、全然クリーンのですね、もう排気ガスも出さないというようなことが必ず、広宣流布になって、世界平和になってくると、全部がそういうようなことになってきて、そういった物質面においてもですね、寂光土が出てくる、私は思いますね。
今、それまでの間、しばらく、まあしかし、まあ、原発の問題なんかちっちゃい。もっともっと重大なことが参ります。原発の危険よりも、北朝鮮が、こちらに向かって核ミサイルをですね、ぶっ放すかもしれないって時代が来てるんでしょ? ロシアの、それこそ、核の、あの、廃棄物、あれをどんどん日本海に垂れ流しているんじゃないですか。おそらく青森にも来てるんじゃないですかね。そのような事を本当は騒がなきゃいけない。中国の核兵器どうするんですか、こういう事を社会党は少しも文句言わないんですね。
本当は、日本海でもって、あの、沿海州でもって、ソ連がどんどん核の廃棄物をですね、固形物も、それから液体も流している、あれこそ社会党、声を大にしてデモ行進しなきゃなんないのにそういうことは一言も言わない。この、一つ、カラクリを見破ってですね、私達は何よりかによりとにかく広宣流布してすべてを根本から解決しなきゃいかんということを、ひとつ見つめていきたいと思うんですね。はい」等と。
その後、浅井会長は平成23年3月11日の東日本大震災を機に、今度は、原発大反対を打ち出されましたが、それホンマですか!? それでは、平成5年6月6日の青森大会での原発大賛成の発言は、一体何だったのでしょうか! これ気まぐれ発言だったのでしょうか? いずれに致しましても今回は、浅井会長の仰せられる原発大反対に転じられた理由をお聞きする事にしましょう。
その具体的な発言として、平成24年2月5日、及び同年4月5日付の顕正新聞・原発廃絶特集号に、浅井会長が、原発絶対反対に転じられた理由が詳しく報じられています。
中でも平成24年2月5日号の原発廃絶特集号の大見出しには「原発は日本を亡ぼす、即時全廃せよ」「人のDNAを破壊、国土を居住不能にする。代替は天然ガス・コンバインドサイクルで十分、惨禍をもたらすを知って推進するは犯罪」として、独創的な論陣を張られ「ヨウ素131」「セシウム137」「ストロンチウム90」「プルトニウム239」等がもたらす危険な毒性の被害について、専門家の意見を交えながら、詳しく説明され「高速増殖炉・もんじゅ」の失敗に次ぐ失敗を取り上げられ、次いで「プルサーマル核燃料サイクル計画」の危険性についても言及されています。
つづけて、同年4月5日付の原発廃絶特集号の見出しには大書して「日蓮大聖人こそ日本を救い給う御本仏」「原発は日本を滅ぼす、即時廃絶せよ」「天然ガス発電で電力供給すでに充分」「再稼働は国家・国民への犯罪行為」として、改めて放射能の恐ろしさについて述べられ、御用学者と原発利益共同体の責任を重ねて追及されています。
云く「放射能は、人間のDNAを破壊し、日本全土の食品を汚染してしまう。DNAが破壊されれば、遺伝子異常を引き起こして細胞が再生されずに急性死したり、あるいは五年・十年・二十年のちに、ガンや白血病を発症する晩発生障害が出てくる。また子孫に正確な遺伝情報が伝わらないから、奇形児がうまれてくる。すでに各地で出始めて来ていますね。こういう話を聞くたびに、恐ろしい思いがいたします。このように放射能は、生命活動の根幹ともいうべきDNAを破壊するから、他の災害とは全く異質の恐ろしさがあるのです」と。
さらに「この特集号、私は国会議員および全国地方自治体の首長、さらに都・市・町・村の全議員、また言論人、マスコミ関係者、約三万ヶ所に送付いたしました。さらに全顕正会員による真心の配布は、二月七日の出来より本日までのわずか二〇日の間に、すでに百万部を超えております。このように、日本を救う諫暁書は、今しんしんと日本全土に浸透しつつある。日蓮大聖人の弟子として、顕正会の原発全廃の戦いはこのような薄っぺらな政治活動ではない。日蓮大聖人の弟子としてこれを推進しているのです。その思いは、ただ偏に原発の放射能によって日本民族の滅ぶる事を憂えるにある」とあります。随分大げさなお話ですね。
それは兎も角、先生が仰せられる「顕正会の原発全廃の戦いはこのような薄っぺらな政治活動ではない」と仰せられていますが「このような薄っぺらな政治活動ではない」」とは、いったい何処の何方の政治活動を指摘されてのご発言なのでしょうか? 少々気になる話ではあります。
次いで「さらにその奥にあるもっと深い思いは、日蓮大聖人の本国土、この麗しき日本を汚染させてなるものか。御本仏の戒壇建立の重大な御化導を障礙させてなるものか。この日本は御本仏・日蓮大聖人の本国土、三大秘法が全世界に広宣流布する根本の妙国である。この麗しき日本を、断じて汚染させてはならない。顕正会は150万の弘通の赤誠、大聖人に達するのとき、諸天は必ず動く。そして原発は必ず日本から消滅すること、私は確信しております。さあ、いよいよ大事な四月、全組織が弘通の赤誠を尽くして勝ち抜き、何としても大聖人様に応え奉ろうではありませんか」等と。
確かに浅井会長が仰せられるとおり、原発が、中國のミサイル攻撃を受け、あるいは巨大地震等で水蒸気爆発を起こして高濃度の放射能流出事故を起こせば多くの死傷者をだし、付近に暮らす人間をはじめあらゆる生物のDNAを破壊し、国土を居住不能にする等、取り返しのつかない事になることを決して否定するものではありません。しかしながら、今日、日本の置かれた現実に目を転ずるとき、すでに国内には五十四基の原発が存在するのであります。それをいきなり、中国からのミサイル攻撃や、最悪の水蒸気爆発が起こった時の惨劇を想定し、放射能被害がもたらす悲惨な事例を引き合いに出して原発廃絶論を振りまわす。あるいは反対に夢のような理想論を並べて「即時全廃せよ」等と騒ぎ立てるのは、余りにも荒唐無稽にして、短絡的な発想と断ぜざるを得ないのであります。
仮に、国内全ての五十四基の原発を即時廃絶するとなると、何百人、いや何千人という多くの原発運転に携わってきた者と、原発の発展に関わってきた原子力技術者は勿論、原発稼働の周辺事業に関わってきた何万人の方々が、一斉に職を奪われる事になるのであります。そうなれば、生活の為に、その多くの原子力技術者は、間違いなく時を得ずして世界各国に流出することとなるのであります。特に、お隣の中國や韓国は、日本の優れた原発技術者を、喉から手が出るほど欲しがっているのであります。そのような事態を迎えた場合、国内の原子力に関する学者も原発技術者も手薄になり、今有る原発を放置したまま廃炉作業が出来ないばかりか、職を失ったまま、再就職できない方々も数多く出てくるのであります。
浅井会長もかつては「核融合のエネルギー、太陽と同じエネルギーで、全然クリーンのですね、もう排気ガスも出さないというようなことが必ず、広宣流布になって、世界平和になってくると、全部がそういうようなことになってくる」と仰っていたことが全て絵空事となってしまうのであります。
浅井先生が仰せられるように、核融合に依って生ずる、太陽と同じクリーン・エネルギーの研究開発には、巨額の研究開発費と多くの優秀な人材育成は避けて通れない問題であります。しかもこの問題は、普段から切れ目のない血の滲むような研究の積み重ねから生まれてくるものと思われるのであります。それをこの時点で原発廃絶を断行すれば、原子力技術が途中で中断し放棄されることにもなり、国力の衰退は歴然であります。その事は間違いなく、国の安全をより危険にさらす事に通ずるのであります。
これは原子力技術とは直接関連しない現実の話でありますが、彼の東芝は、十数年前から続く不況から抜け出すために、見境もなく多くのIT技術者を解雇する方法で会社の生き残りを図ったのであります。その時、韓国のサムスン電子が、彼らにプール付、メイド付の住まいを与え、日本の三倍もの高給を支払ってまでして彼らを迎え、東芝の所有するIT技術に係る先端技術を、難なく、根こそぎ手に入れることが出来たのであります。その結果、日本のIT技術は低迷し、携帯電話やスマホ・白物家電といわれるほとんどの製品に取り入れられているIT技術が、サムスンに奪われ、今では、中国や台湾の技術に、ややもすると遅れを取る状態に追い込まれているのであります。
それが、核をコントロールする原発技術となると、国の存亡に関わる大問題であります。それを単純に「原発全面廃止」等と、ヒステリックに感情論で騒ぎ立てる事に対しては、簡単には賛成しかねるのであります。
最も解り易い事例を挙げて説明しますと、日本国は敗戦と同時に戦勝国のアメリカから、二度と再びアメリカに刃向かう国にしてはならない。永久に日本国の弱体化を計るためとして、くだらない憲法を押し付けられました。その憲法の前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」等と謳い、世界に先んじて全ての武力を放棄させられ、紛争や戦争は一切まかりならぬとして、手足を縛られてしまいました。
果たして世界は、隣国の中國、北朝鮮、ロシア、韓国等は、憲法の前文が謳うような「平和を愛する公正と信義を信頼しうる国家」だと言えるのでしょうか、中国にしても、北朝鮮、ロシアにしても、みな核武装で国を固め、日本の安全を脅かし、韓国やロシアからは、竹島や北方四島等の日本固有の領土が武力で奪われたまま、未だに泣き寝入りを強いられ、中国は隙あらば、尖閣諸島を沖縄を奪いに来ているのであります。
これこそ、武力を持たないが故の悲劇であり、核を持たないが故のていたらくであります。いま浅井会長が主張されていますように、原発を即時廃絶にした場合、一切の武力を捨てさせられ、戦争を放棄させられた日本国が、隣国の中国、北朝鮮、韓国から様々な脅しや嘲りを受けているごとく、益々日本国は隣国から舐められるだけ舐められて、今日では一千人に近い多くの同朋が拉致されたまま、未だに帰してもらえず、慰安婦問題や歴史認識、あるいは靖国問題等で執拗に難癖を付けられて贖罪意識を強要された上、揚句の果てに、多額の金員を毟り取られ、核の脅しを受けつづけている現実から何時までも抜け出せないのであります。
どうして浅井会長は事あるごとに危機意識を植え付けるばかりで、国民大衆の不安を煽り立てて、原発全廃に梶を大きく切られたのでしょうか! 理解に苦しむところであります。日本国は、御本仏大聖人様の御出現になられた根本の妙国であるならば、隣国から脅されたり舐められるのではなく、武力や核を保有してでも、大聖人様御出現の根本の妙国の安全を計り、仏法守護のため、日本国の尊厳を護るべきであります。その事が仏法の道理に適った唯一の取り得る方法なのであります。
時代が違うとはいえ、御開山日興上人は遺誡置文の中に厳然と示されていますように、出家僧侶が武器を所持することすらお許しなのであります。
云く「刀杖等に於いては仏法守護の為に之を許す。但し出仕の時節は帯すべからざるか、若し其れ大衆等に於いては之を許すべきかの事」と。
上記の意は、仏法守護の為には武器を所持することを許す。但し、猊下や僧侶が法要などで出かける場合は刀杖等の武器は直接所持してはならない。その場合、付添いの在家の者が武器を所持して安全を計ることは差支えないと。
今日、日本国がおかれた国際環境に目を向けるならば、今さら論ずるまでもなく、国家そのものが隣国の横暴と覇権とエゴによって、存立を脅かされているのであります。御在世当時に僧侶の安全が脅かされる時代背景とは、比べものにならないほどの危険に晒されている現実を認識すべきであります。
浅井会長も指摘されていますように、日本のおかれた今日の自動車社会では、少なくとも毎年、年間一万三千人の尊い命が交通事故で命を奪われているのであります。それを槍玉に挙げて、車を廃止すべしなどと、騒ぎ立てる者はいないのであります。それだからと云って「原発は危険だから即座に全廃せよ」などと叫ぶのは如何なものでしょうか。日本の原発は運転を始めて、五十年の歳月をつみ重ねていますが、未だに原発で命を落とした者は一人も居ないのであります。その実績を一切無視して、原発即時廃絶を声高に叫ぶことに、国民大衆から大きな理解を得る事ができるのでしょうか、甚だ疑問の残るところであります。
また経済面から申し上げますと、原発が止まったいま、それに代わる燃料として、LNG(液化天然ガス)や、LPG(液化石油ガス・シェールガス)の購入代金が一日当たり、百億円を優に超えて、年間当たりLNG・LPG等の燃料代金は、四兆円を越し、各電力会社の財政負担を増大させて経営環境の悪化を招き、国民の多くは度重なる電気料金の値上げに音を上げているのであります。
それに、アメリカ自慢のシェールガス開発は、当初、温室効果ガス排出量を減らすことができるとの見解を示していました。しかしその後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従来の天然ガスや石油よりも、大きくなるとの指摘が為され、温室効果ガスの排出量に対する疑問の声が上がるなど、昨今は学界から厳しい眼が注がれているのであります。
そうしたところ政府(安倍政権)は、再生可能エネルギーの導入拡大を図るため「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」によって、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を、平成24年7月1日から開始しました。この再生エネ買取制度は、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーによって、発電された電気を法令で定められた価格で電力会社等が買い取り、買取りに要する費用を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として、電気を使用する国民に負担しもらう制度であります。
平成24年7月1日からは「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、太陽光で発電した電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度に呼応して、ソフトバンク、NTT、JR九州、JA全農、積水ハウス、大和ハウス等の大企業が続々と太陽光発電事業へ参入しているのであります。法律で定められた20年間に亘って、確実な安定した収益が見込めるとして、多くの企業や個人が参入して発電事業に寄与しているのであります。
そういう時代の流れを俯瞰するとき、危険の伴う原発問題は「原発即時廃止」などと大騒ぎをしなくても、おのずから解決されるのであります。今や、再生可能エネルギー法の施行によって、電気の供給量は、需要を大きく上回っているのであります。そのため昨今では、電気の買い取り金額の引き下げを、各電力会社が政府に働きかけるような状況が生まれつつあります。買い取り金額の引き下げが認められれば、電気代の引き下げも可能となるのであります。
会長云く「私は国会議員および全国地方自治体の首長、さらに都・市・町・村の全議員、また言論人、マスコミ関係者、約三万ヶ所に送付いたしました。云々」と。まことに素晴らしいことであります。これら、原発廃絶特集号を受け取った国会議員並びに、全国自治体の長等々、および、言論人、マスコミ関係者等から寄せられる反響は、如何なものだったのでしょうか? 少々気になるところであります。
漏れ聞くところによりますと、ある未婚の女子会員は、浅井先生の仰せられる原発廃絶に関するお話を耳にするや、感動の余り、いてもたっても居られず、長年にわたり結婚資金として貯めていた数百万円の大切なお金を、原発廃絶特集号の配布のために全額消費したという。何とも痛ましいお話であります。
もはや、次のことばが見つかりません。それにしても、浅井先生の原発廃絶論の巧みな話術に乗せられて、大切な預貯金の大半をはたいて新聞代に費やした初心(うぶ)な会員は、彼女一人で済んだのでしょうか、他にも大勢いるのかも知れません。他人事ながら心配しています。
質問 「青森県六ヶ所村の核燃料基地が話題になっていますが、日本の原子力利用をどう見たらよろしいでしょうか?」
答え 「青森だけなんですかねえ、今の、原子力のエネルギーの、核燃料基地っていうのがあるっていうのは、六ヶ所村に。おそらく、まあ、そこが一番適当だっていうんで、日本政府が選んだんでしょうけどね。
まあ、これは直接仏法とは関係ない、あのー、話題でありますけど、まあ、私はこう思うんですね。
えー、今、この、発展しつつある経済、この経済発展を支えているエネルギー、これはもう石油には頼れないんだろうと。今後、石油は枯渇しますからね。そうするとどうしても、もう、いかなる国も、人類全体が新しいエネルギー源としてですね、原子力に頼らざるを得ない。これもし頼らないということになってくると日本の今の経済生活、どうなんでしょうか、大変なことになるんでしょうね。
おそらく今の、あれでしょ? エネルギーの中で、全国の発電量の30パーセント、までいってるんじゃないですか、現在。原子力の発電が。だから原子力を全部日本人がですね、ダメだ捨てろ捨てろと言うと、30パーセントの電力がなくなっちゃうから、経済成長も三分の一にダウンしちゃう。と、日本は生活できないですね。
それ日本だけじゃない。全世界が、もう、核エネルギーっていうことを使って、現在の生活が成り立っている。まあ、そこで私思うんですね。もうロシアのような、もう、ああいう、国になりますとね、核燃料は使い捨て、そして管理はメチャメチャ、だからチェルノブイリみたいな事が起こるんですね。ああいう使い方はいけないけれども、核燃料をもう避けて通ることができないんだったらば、それを完全に安全管理する、これやっぱり、人間の一つの智慧なんでしょ。
その中においては、日本の国は最も用心深く安全に管理しているんではないか、私そう思うんですね。もしそれを核燃料を核アレルギーからですね、全部捨てろ捨てろっていうのは、今の日本の経済生活を全部否定して昔に戻るんだと。もう電力なんかいらないと、いうんだったらかまいませんけども、今の生活を維持しようっていうんだったら、核エネルギーっていうことを、無視することはできないんだから、これを用心深く安全管理する日本ならそれをやれているんではないかと思う。
ところが、何でこれを反対反対反対ってことが、これ、かまびすしいかといいますとですね、これ社会党が言ってるんですよ。実は、社会党が以前から反対していることは三つあったんですね。自衛隊反対。これは違憲。憲法違反です。自衛隊なんか解体しろ。もう一つ、原発反対っていうんですよ。現行の原子力、原子力の核は核兵器に通ずる、なんて言って、みんなが日本人はヒロシマ・ナガサキっていうんで、核アレルギーを起こしている。それに与同してですね、その、原発もいけないっていう。
それからもう一つ。日韓、この、条約を破棄しろと言って、韓国との交渉も、これするなとこう言ってる。でこのようなことを今になってみて社会党が困っちゃってこれじゃもうこの、選挙負けるということで全部それを、変更しはじめたでしょ? 自衛隊も容認すると。原発も容認する、なんて言ったけどもう既に遅い。そのように社会党が騒ぎに騒いだからみんな国民が何か私は誤解をしている。社会党が何故騒いだかわかりますか? ソ連の政策だったんですよ。ソ連が何としても日本を弱くしようと。それで自衛隊を解散させると。で自衛隊は違憲、違憲、憲法違反ってやつ。それから原子力。これを日本が利用するってことはますます経済発展になる。
だから原発反対しろと。それに社会党が、いわゆるソ連の、謀・・・日本に対する対日謀略の手先になった。ですから、今、社会党が、一番触れられたくない問題が何かというと、ソ連から資金援助を受けたんですね。ソビエトから、ものすごい資金援助を受けてきたでしょ? この場合、これは今、ソビエト共産党が崩壊することによって機密文書が出て、どんどん社会党に援助したことが、文書が出てんで、社会党が一番困ってる。このように、外国からお金をもらって、日本の国益に反するようなことをやっておったのが、あのかっての社会党だった。そこに今の社会党のまことにみじめったらしい姿が出てきてるんですね。
まあ、そこに私は、今のこの、原子力発電っていうことを反対、核エネルギー反対って言ってこれを全部破棄しろというんだったら、そいで危険だというんだったら、しかし日本でもって、この原発でもって誰が死んだんでしょうか。誰も死なないでしょ? 私は非常に用心深くやられてると思うし、もしこれが危険だ危ないんだって言ってやめるんだったらね、自動車乗るのをやめたらどうかと思う。原発じゃまだ死んでないけど。
自動車じゃ年間一万数千人死んでるんですから、事故でもって。それこそ、一万数千人から死んでる自動車みんなやめろっていって、ホントはこれに賛成しなきゃならない。またゴールデンウィークなんたって、あれやると必ず、山で死んだ海で死んだって、必ず数十人、毎年死ぬんですよ。休まない方がいいじゃないですか。だからそうなってくるとですね、今の核、この、原発反対ってことはいかにも感情論なんだと。私は思うんですね。
まあ、こういうことも、仏法の智慧でもってでね、一体何が必要なのかと。そして、たとえ必要なものであっても危険なもんだったら充分用心しなきゃいかん。まあ、そのバランス感覚っていうのか私は仏法の智慧で見ていかなければならない、と思う。
そして、将来私はですね、これは広宣流布になったときにおいては、もう石油も何もかもですね、使わずに本当に、広宣流布になった後の私はエネルギーはですね、私のこれは私見でありますが、えー、核融合のエネルギー、太陽と同じエネルギーで、全然クリーンのですね、もう排気ガスも出さないというようなことが必ず、広宣流布になって、世界平和になってくると、全部がそういうようなことになってきて、そういった物質面においてもですね、寂光土が出てくる、私は思いますね。
今、それまでの間、しばらく、まあしかし、まあ、原発の問題なんかちっちゃい。もっともっと重大なことが参ります。原発の危険よりも、北朝鮮が、こちらに向かって核ミサイルをですね、ぶっ放すかもしれないって時代が来てるんでしょ? ロシアの、それこそ、核の、あの、廃棄物、あれをどんどん日本海に垂れ流しているんじゃないですか。おそらく青森にも来てるんじゃないですかね。そのような事を本当は騒がなきゃいけない。中国の核兵器どうするんですか、こういう事を社会党は少しも文句言わないんですね。
本当は、日本海でもって、あの、沿海州でもって、ソ連がどんどん核の廃棄物をですね、固形物も、それから液体も流している、あれこそ社会党、声を大にしてデモ行進しなきゃなんないのにそういうことは一言も言わない。この、一つ、カラクリを見破ってですね、私達は何よりかによりとにかく広宣流布してすべてを根本から解決しなきゃいかんということを、ひとつ見つめていきたいと思うんですね。はい」等と。
その後、浅井会長は平成23年3月11日の東日本大震災を機に、今度は、原発大反対を打ち出されましたが、それホンマですか!? それでは、平成5年6月6日の青森大会での原発大賛成の発言は、一体何だったのでしょうか! これ気まぐれ発言だったのでしょうか? いずれに致しましても今回は、浅井会長の仰せられる原発大反対に転じられた理由をお聞きする事にしましょう。
その具体的な発言として、平成24年2月5日、及び同年4月5日付の顕正新聞・原発廃絶特集号に、浅井会長が、原発絶対反対に転じられた理由が詳しく報じられています。
中でも平成24年2月5日号の原発廃絶特集号の大見出しには「原発は日本を亡ぼす、即時全廃せよ」「人のDNAを破壊、国土を居住不能にする。代替は天然ガス・コンバインドサイクルで十分、惨禍をもたらすを知って推進するは犯罪」として、独創的な論陣を張られ「ヨウ素131」「セシウム137」「ストロンチウム90」「プルトニウム239」等がもたらす危険な毒性の被害について、専門家の意見を交えながら、詳しく説明され「高速増殖炉・もんじゅ」の失敗に次ぐ失敗を取り上げられ、次いで「プルサーマル核燃料サイクル計画」の危険性についても言及されています。
つづけて、同年4月5日付の原発廃絶特集号の見出しには大書して「日蓮大聖人こそ日本を救い給う御本仏」「原発は日本を滅ぼす、即時廃絶せよ」「天然ガス発電で電力供給すでに充分」「再稼働は国家・国民への犯罪行為」として、改めて放射能の恐ろしさについて述べられ、御用学者と原発利益共同体の責任を重ねて追及されています。
云く「放射能は、人間のDNAを破壊し、日本全土の食品を汚染してしまう。DNAが破壊されれば、遺伝子異常を引き起こして細胞が再生されずに急性死したり、あるいは五年・十年・二十年のちに、ガンや白血病を発症する晩発生障害が出てくる。また子孫に正確な遺伝情報が伝わらないから、奇形児がうまれてくる。すでに各地で出始めて来ていますね。こういう話を聞くたびに、恐ろしい思いがいたします。このように放射能は、生命活動の根幹ともいうべきDNAを破壊するから、他の災害とは全く異質の恐ろしさがあるのです」と。
さらに「この特集号、私は国会議員および全国地方自治体の首長、さらに都・市・町・村の全議員、また言論人、マスコミ関係者、約三万ヶ所に送付いたしました。さらに全顕正会員による真心の配布は、二月七日の出来より本日までのわずか二〇日の間に、すでに百万部を超えております。このように、日本を救う諫暁書は、今しんしんと日本全土に浸透しつつある。日蓮大聖人の弟子として、顕正会の原発全廃の戦いはこのような薄っぺらな政治活動ではない。日蓮大聖人の弟子としてこれを推進しているのです。その思いは、ただ偏に原発の放射能によって日本民族の滅ぶる事を憂えるにある」とあります。随分大げさなお話ですね。
それは兎も角、先生が仰せられる「顕正会の原発全廃の戦いはこのような薄っぺらな政治活動ではない」と仰せられていますが「このような薄っぺらな政治活動ではない」」とは、いったい何処の何方の政治活動を指摘されてのご発言なのでしょうか? 少々気になる話ではあります。
次いで「さらにその奥にあるもっと深い思いは、日蓮大聖人の本国土、この麗しき日本を汚染させてなるものか。御本仏の戒壇建立の重大な御化導を障礙させてなるものか。この日本は御本仏・日蓮大聖人の本国土、三大秘法が全世界に広宣流布する根本の妙国である。この麗しき日本を、断じて汚染させてはならない。顕正会は150万の弘通の赤誠、大聖人に達するのとき、諸天は必ず動く。そして原発は必ず日本から消滅すること、私は確信しております。さあ、いよいよ大事な四月、全組織が弘通の赤誠を尽くして勝ち抜き、何としても大聖人様に応え奉ろうではありませんか」等と。
確かに浅井会長が仰せられるとおり、原発が、中國のミサイル攻撃を受け、あるいは巨大地震等で水蒸気爆発を起こして高濃度の放射能流出事故を起こせば多くの死傷者をだし、付近に暮らす人間をはじめあらゆる生物のDNAを破壊し、国土を居住不能にする等、取り返しのつかない事になることを決して否定するものではありません。しかしながら、今日、日本の置かれた現実に目を転ずるとき、すでに国内には五十四基の原発が存在するのであります。それをいきなり、中国からのミサイル攻撃や、最悪の水蒸気爆発が起こった時の惨劇を想定し、放射能被害がもたらす悲惨な事例を引き合いに出して原発廃絶論を振りまわす。あるいは反対に夢のような理想論を並べて「即時全廃せよ」等と騒ぎ立てるのは、余りにも荒唐無稽にして、短絡的な発想と断ぜざるを得ないのであります。
仮に、国内全ての五十四基の原発を即時廃絶するとなると、何百人、いや何千人という多くの原発運転に携わってきた者と、原発の発展に関わってきた原子力技術者は勿論、原発稼働の周辺事業に関わってきた何万人の方々が、一斉に職を奪われる事になるのであります。そうなれば、生活の為に、その多くの原子力技術者は、間違いなく時を得ずして世界各国に流出することとなるのであります。特に、お隣の中國や韓国は、日本の優れた原発技術者を、喉から手が出るほど欲しがっているのであります。そのような事態を迎えた場合、国内の原子力に関する学者も原発技術者も手薄になり、今有る原発を放置したまま廃炉作業が出来ないばかりか、職を失ったまま、再就職できない方々も数多く出てくるのであります。
浅井会長もかつては「核融合のエネルギー、太陽と同じエネルギーで、全然クリーンのですね、もう排気ガスも出さないというようなことが必ず、広宣流布になって、世界平和になってくると、全部がそういうようなことになってくる」と仰っていたことが全て絵空事となってしまうのであります。
浅井先生が仰せられるように、核融合に依って生ずる、太陽と同じクリーン・エネルギーの研究開発には、巨額の研究開発費と多くの優秀な人材育成は避けて通れない問題であります。しかもこの問題は、普段から切れ目のない血の滲むような研究の積み重ねから生まれてくるものと思われるのであります。それをこの時点で原発廃絶を断行すれば、原子力技術が途中で中断し放棄されることにもなり、国力の衰退は歴然であります。その事は間違いなく、国の安全をより危険にさらす事に通ずるのであります。
これは原子力技術とは直接関連しない現実の話でありますが、彼の東芝は、十数年前から続く不況から抜け出すために、見境もなく多くのIT技術者を解雇する方法で会社の生き残りを図ったのであります。その時、韓国のサムスン電子が、彼らにプール付、メイド付の住まいを与え、日本の三倍もの高給を支払ってまでして彼らを迎え、東芝の所有するIT技術に係る先端技術を、難なく、根こそぎ手に入れることが出来たのであります。その結果、日本のIT技術は低迷し、携帯電話やスマホ・白物家電といわれるほとんどの製品に取り入れられているIT技術が、サムスンに奪われ、今では、中国や台湾の技術に、ややもすると遅れを取る状態に追い込まれているのであります。
それが、核をコントロールする原発技術となると、国の存亡に関わる大問題であります。それを単純に「原発全面廃止」等と、ヒステリックに感情論で騒ぎ立てる事に対しては、簡単には賛成しかねるのであります。
最も解り易い事例を挙げて説明しますと、日本国は敗戦と同時に戦勝国のアメリカから、二度と再びアメリカに刃向かう国にしてはならない。永久に日本国の弱体化を計るためとして、くだらない憲法を押し付けられました。その憲法の前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」等と謳い、世界に先んじて全ての武力を放棄させられ、紛争や戦争は一切まかりならぬとして、手足を縛られてしまいました。
果たして世界は、隣国の中國、北朝鮮、ロシア、韓国等は、憲法の前文が謳うような「平和を愛する公正と信義を信頼しうる国家」だと言えるのでしょうか、中国にしても、北朝鮮、ロシアにしても、みな核武装で国を固め、日本の安全を脅かし、韓国やロシアからは、竹島や北方四島等の日本固有の領土が武力で奪われたまま、未だに泣き寝入りを強いられ、中国は隙あらば、尖閣諸島を沖縄を奪いに来ているのであります。
これこそ、武力を持たないが故の悲劇であり、核を持たないが故のていたらくであります。いま浅井会長が主張されていますように、原発を即時廃絶にした場合、一切の武力を捨てさせられ、戦争を放棄させられた日本国が、隣国の中国、北朝鮮、韓国から様々な脅しや嘲りを受けているごとく、益々日本国は隣国から舐められるだけ舐められて、今日では一千人に近い多くの同朋が拉致されたまま、未だに帰してもらえず、慰安婦問題や歴史認識、あるいは靖国問題等で執拗に難癖を付けられて贖罪意識を強要された上、揚句の果てに、多額の金員を毟り取られ、核の脅しを受けつづけている現実から何時までも抜け出せないのであります。
どうして浅井会長は事あるごとに危機意識を植え付けるばかりで、国民大衆の不安を煽り立てて、原発全廃に梶を大きく切られたのでしょうか! 理解に苦しむところであります。日本国は、御本仏大聖人様の御出現になられた根本の妙国であるならば、隣国から脅されたり舐められるのではなく、武力や核を保有してでも、大聖人様御出現の根本の妙国の安全を計り、仏法守護のため、日本国の尊厳を護るべきであります。その事が仏法の道理に適った唯一の取り得る方法なのであります。
時代が違うとはいえ、御開山日興上人は遺誡置文の中に厳然と示されていますように、出家僧侶が武器を所持することすらお許しなのであります。
云く「刀杖等に於いては仏法守護の為に之を許す。但し出仕の時節は帯すべからざるか、若し其れ大衆等に於いては之を許すべきかの事」と。
上記の意は、仏法守護の為には武器を所持することを許す。但し、猊下や僧侶が法要などで出かける場合は刀杖等の武器は直接所持してはならない。その場合、付添いの在家の者が武器を所持して安全を計ることは差支えないと。
今日、日本国がおかれた国際環境に目を向けるならば、今さら論ずるまでもなく、国家そのものが隣国の横暴と覇権とエゴによって、存立を脅かされているのであります。御在世当時に僧侶の安全が脅かされる時代背景とは、比べものにならないほどの危険に晒されている現実を認識すべきであります。
浅井会長も指摘されていますように、日本のおかれた今日の自動車社会では、少なくとも毎年、年間一万三千人の尊い命が交通事故で命を奪われているのであります。それを槍玉に挙げて、車を廃止すべしなどと、騒ぎ立てる者はいないのであります。それだからと云って「原発は危険だから即座に全廃せよ」などと叫ぶのは如何なものでしょうか。日本の原発は運転を始めて、五十年の歳月をつみ重ねていますが、未だに原発で命を落とした者は一人も居ないのであります。その実績を一切無視して、原発即時廃絶を声高に叫ぶことに、国民大衆から大きな理解を得る事ができるのでしょうか、甚だ疑問の残るところであります。
また経済面から申し上げますと、原発が止まったいま、それに代わる燃料として、LNG(液化天然ガス)や、LPG(液化石油ガス・シェールガス)の購入代金が一日当たり、百億円を優に超えて、年間当たりLNG・LPG等の燃料代金は、四兆円を越し、各電力会社の財政負担を増大させて経営環境の悪化を招き、国民の多くは度重なる電気料金の値上げに音を上げているのであります。
それに、アメリカ自慢のシェールガス開発は、当初、温室効果ガス排出量を減らすことができるとの見解を示していました。しかしその後シェールガスの温室効果ガス排出量が、従来の天然ガスや石油よりも、大きくなるとの指摘が為され、温室効果ガスの排出量に対する疑問の声が上がるなど、昨今は学界から厳しい眼が注がれているのであります。
そうしたところ政府(安倍政権)は、再生可能エネルギーの導入拡大を図るため「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」によって、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を、平成24年7月1日から開始しました。この再生エネ買取制度は、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーによって、発電された電気を法令で定められた価格で電力会社等が買い取り、買取りに要する費用を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として、電気を使用する国民に負担しもらう制度であります。
平成24年7月1日からは「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき、太陽光で発電した電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを義務付ける制度に呼応して、ソフトバンク、NTT、JR九州、JA全農、積水ハウス、大和ハウス等の大企業が続々と太陽光発電事業へ参入しているのであります。法律で定められた20年間に亘って、確実な安定した収益が見込めるとして、多くの企業や個人が参入して発電事業に寄与しているのであります。
そういう時代の流れを俯瞰するとき、危険の伴う原発問題は「原発即時廃止」などと大騒ぎをしなくても、おのずから解決されるのであります。今や、再生可能エネルギー法の施行によって、電気の供給量は、需要を大きく上回っているのであります。そのため昨今では、電気の買い取り金額の引き下げを、各電力会社が政府に働きかけるような状況が生まれつつあります。買い取り金額の引き下げが認められれば、電気代の引き下げも可能となるのであります。
会長云く「私は国会議員および全国地方自治体の首長、さらに都・市・町・村の全議員、また言論人、マスコミ関係者、約三万ヶ所に送付いたしました。云々」と。まことに素晴らしいことであります。これら、原発廃絶特集号を受け取った国会議員並びに、全国自治体の長等々、および、言論人、マスコミ関係者等から寄せられる反響は、如何なものだったのでしょうか? 少々気になるところであります。
漏れ聞くところによりますと、ある未婚の女子会員は、浅井先生の仰せられる原発廃絶に関するお話を耳にするや、感動の余り、いてもたっても居られず、長年にわたり結婚資金として貯めていた数百万円の大切なお金を、原発廃絶特集号の配布のために全額消費したという。何とも痛ましいお話であります。
もはや、次のことばが見つかりません。それにしても、浅井先生の原発廃絶論の巧みな話術に乗せられて、大切な預貯金の大半をはたいて新聞代に費やした初心(うぶ)な会員は、彼女一人で済んだのでしょうか、他にも大勢いるのかも知れません。他人事ながら心配しています。