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日々の中で想うこと
ひとつの出来事から想起する
異なるいくつかのイメージ

艶ちゃん

2009年12月22日 | 想うこと

艶ちゃんはあたしの最高齢のおともだちです。

艶ちゃんはこないだ80歳になりました。


艶ちゃんはあたしよりもうんと背が低くてふくよか。
艶ちゃんとはあたしの勤務しているお店で出会いました。

初めはただのお客さんでした。
親しく話すようになってもう2年になります。

艶ちゃんはいつもあたしのために手料理を持ってきてくれます。

おさかなの南蛮漬け
昆布のつくだに
太刀魚のみりん干し
自家製の味付けのり

みんなあたしのすきなメニューばっかり。
先週はおうちの近所でとれたじゃこをいただきました。

干した昆布をいただくこともあります。


艶ちゃんはきっとずっと前にだんなさんを亡くされています。

若い時から思い立ったら新幹線に飛び乗って
行き先の決まっていない旅に出てしまってみんなに心配をかけてたそうです。


きょうもそう。
部屋着のまま来ちゃったって言って
分厚いセーターにコートとニット帽で淡路島から大阪に飛び出してきました。

最近の心配事はあたしの年内最終出勤日までに
味付けのりがあがるかどうか、みたいです。

28日に荒神さんにお参りに行くからその帰りに
孫ひきつれて、のり持って会いに来るから絶対いてねって
何度も念押しする艶ちゃん。

正確には曾孫さんをたくさんひきつれて来るのです。


艶ちゃんがお店に来てくれた日は必ず
お風呂の中で艶ちゃんのことを想います。


あたしは艶ちゃんがすごくすきです。
ひとをすきになるときって性別も年齢も何も関係ないと思います。


今年の夏、艶ちゃんは腎臓の病気で入院しました。
すぐに阪急百貨店に行ってたくさんフルーツのはいったゼリーと
お手紙を送りました。

そのとき艶ちゃんが入れてくれた留守電のありがとうメッセージ、
今でもたまに聞いたりします。

入院の前日も、退院の翌日も艶ちゃんは会いに来てくれました。

入院中も何回も病院を抜け出して会いに来てくれました。
うれしかった。


艶ちゃんのかさかさした雪見大福みたいなほっぺ
うっすらとおしろいがふられたそのほっぺを見てると
すごく美しくいとおしく思います。

あたしの手を握る艶ちゃんの手のぬくもりも
あたしを抱きしめるときの腕の重みも
思い出すといつも涙が出てしまいます。

あれも作りたい、これも作りたいってだだっこみたいに
甘えて腕を組んでくる艶ちゃんはほんとにかわいらしくて
ものすごくじんわりとあったかい気持ちになります。


最近、そういうことが多いです。

ひとのしぐさや動き、
ちいさな特徴や言動や癖にすっごく自分の愛情を感じます。

グロスをつけると急におとなっぽくなる唇とか
笑ったら切れ長な目が垂れ目になっちゃうとか
ささくれの指とか
はねた寝ぐせとか
太い腕とか
口癖とか
へたくそなアイラインとか、

ね。

ほんとにささいなそのひとの特徴に
胸が熱くなるくらいの愛情が湧いてきて
泣きそうなるくらいしあわせを感じます。

病気かなって思ってしまうくらいです。


愛情深いねってよく言われるんですが
自分では全然そんな気がしませんでした。

でも最近は湧いてくる愛情がとめどなくて
行き場がないというかどうしたらいいのかわからなくて戸惑うことも多くあります。


こんなに愛していいんですかっておそるおそるしているときもあれば
全然愛情を持てないときもあって
つくづく愛情は生き物だなと思います。


いやでもこれは確かです。

艶ちゃんのことはいつのまにか心から愛しています。
80歳のおばあちゃんとのあったかいつながり。
大切に大切にしよう。

早く艶ちゃんに会いたい。
28日が楽しみです☆

会ったらいっぱい抱きしめようっと。



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