金魚姫ノート

金魚のひとりごと。金魚のあぶく。金魚の涙。金魚の吐息。

「君といつまでも」

2024-05-14 | ひとりごと
一年に一度、同人誌発行のために雑文を書きます。今年も適当でいい加減な文章ですが、私らしい雑文を載せていただきました。

「君といつまでも」
「幸せやなあ おれはおまえとおるときが いっちゃん幸せやねん おれは死ぬまでおまえをはなさへんで ええやろ」
「幸せやわあ うちはあんたとおるときが いっちゃん幸せやねん うちは死ぬまであんたにくっついていくで ええやんなあ」
  国民的歌手の加山雄三さんの「君といつまでも」の歌の台詞を大阪弁の男女版にしてみました。まあ、なんと雰囲気が変わること。加山雄三さんはやはり、「いいだろ」と言ってこそ、二人のいる場所が想像できます。海や船が見えたり、風を感じたり、明るい太陽さえ見えるような気がします。「ええやろ」では、次の歌詞に進めません。大阪弁での恋愛物語は立ち往生です。
 息子は就職で九州に赴任し、博多の女性と結婚し、年に数回は家族で大阪に帰省してきます。小学3年生の孫と一緒にお風呂に入った時に、「わたしはママから生まれたんよ」というので、
「私はあんたのパパを産んでん」って言いました。 「ウンデン?」
「そう、産んでんやん」 「ウンデンヤン??」
 あらあら、二人の会話は迷路に迷い込んでしまいました。
 地方によって方言の違いがあるのはもちろんですが、会話に取り組む姿勢が関西人は独特なものがあると思います。大阪弁にも色々ありますが、私の連発する大阪弁は、「ほんでどないやねん?」と自分で突っ込みを入れたくなるほど、曖昧で本意が伝わりにくい言い回しであると自分でも思います。何か頼まれた時には、「せやな、どんなもんやろ そういわれても、どないもこないも まあ、ええようにしといてえな」本人は断っているつもりです。本筋の周りを行ったり来たりしながら、こちらの気持ちを汲み取ってほしいと、判断は相手に委ねているのが真意です。
  子供達が学生の頃、私が話をしていると「母さん、その話、オチあるん?」と聞かれ、今思えば、「真面目に聞きなさい」と叱るタイミングだったのでしょうが、取りあえずオチがある話は落ち着くと信じて、会話をしてきたような気がします。なにしろ会話は「なんでやねん」で終わりたいという、関西人独特の病気のようなものです。
  おやじギャグも立派なお笑いの種ですが、関西人はあまり好みません。なぜなら、ギャグを言った人だけで笑いが成立するので、巻き込み型の関西人にとっては笑いを作る参加のチャンスがないので邪道扱いです。ですが、夫は関西人でありながら大の駄洒落好きです。子供たちは「ハイハイ」と聞き流していますが、夫の母は大笑いしながら「面白いね。ギャグがじょうずやね」と褒めまくります。私は、会話は台本のない漫才のようなものという意識が働いていますので、聞き流すとか、笑ってごまかすとかは戦線離脱、登録抹消気分になります。笑いを取って、会話成立と思っているので時には力が入りすぎる場合もあります。
  ある時、夫と私の会話を聞いていた人が私に、「あんたは、ああいえばこういう、なかなか負けてへんなあ」と言われて、頑張りすぎを反省しました。そういえば、相手の会話に被せて、言い負かすような場面になってしまうことがあるのです。そんな時は、相手に拍手喝采、大笑いしながら、「面白いね」と褒める義母を見習わなければと思いました。
  夫は今日も「今年、古希やねん。コキコキ♪」と言って肩を上げたり下げたり、絶好調。
「ねえ、あんたが一番幸せを感じる時はどんな時なん?駄洒落を言って相手が笑ってくれた時?」って聞いてみました。そしたら、
「おれはおまえとおるときが いっちゃん幸せやねん・・・これで、どう?」まるで、正解を言い当てた小学生のような得意気な顔です。どこかで聞いた台詞。
  恋愛物語は立ち往生だった大阪弁ですが、中高年の戯れ言にはよく似合うようです。知らんけど。
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2 コメント

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読後感想文 (元気な布施君)
2024-05-17 07:45:12
金魚姫さん、「あんたの文はホント上手いわ!」心より大阪弁で褒めたいです。
元気なF様 (金魚姫)
2024-05-21 11:01:41
ありがた~いお褒めのお言葉、めっちゃうれしいです。
夫も、なかなか面白いブログネタを提供してくれます。
そしてF様からいただいた音楽的刺激、今後も楽しみです。よろしくお願いいたします。

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