理想のチャーハンを探す旅は、まだまだ続いているのである。
チャーハンには、焦がれるほどの想いがある。
この魂が、憧れて止まぬチャーハンとは、
米と調味料、そして僅かな具材を、
火炎と気魄で、徹底的に鍛え上げた状態を指す。
米のひと粒ひと粒まで、
やけどしそうなほどの、火炎の気韻を残し、
世に言うところの、所謂「パラッパラ!」であり、
高貴で、ピンッ!と香味立っている。
つくり手が、一瞬たりとも気を抜けぬ、
まさに生命を削るが如き、気魄の芸術。
溢れる火炎に包まれた重い中華鍋の宙空を、
これでもか!というほどクルクルと舞う。
それこそ、無限に宙空を舞うのだ。
さて、「結」のことを書かねばならない。
チャーハンの評判が、最近頗る良いことを知り、
もしや、と思って駆けつけた次第。
残念ながら、私の求めるそれではなかった。
いかにもこの店らしい、端整なつくりで、
非常に好感は持てるのだが、
憧れの、火炎と気魄の芸術ではなかった。
あ、誤解されないよう言っておくけど、
評判通り、この店のチャーハンは旨いよ。
私が求めているものではなかったというだけだ。
(こんな炒飯を目指して欲しい)