「不届き」と「不埒(ふらち)」の違いは、命にかかわる問題
冒頭の写真は・・町奉行所
「不届き」と「不埒(ふらち)」は、どう違うか、イヤどう違ったか? 江戸時代は、命にかかわる問題だったのだ。
お奉行様が裁きを言い渡すときに、『そのほう、不届きにつき…』ときたら、追放刑以上の重い刑で、『そのほう、不埒につき…』ときたら手鎖以下の軽い刑だったのだ。
江戸時代の刑罰で一般的(武士、僧侶、町人が対象)なものは重い順番に…
死刑:死罪 下手人(げしにん) 斬罪 獄門 鋸引 火刑
遠島:
追放:重追放 中追放 軽追放
○○払:江戸十里四方払 江戸払 所払 門前払
敲(たたき):重敲 敲
庶民を対象に…
手鎖:30日 50日 100日 吟味中手鎖 過怠手鎖
押し込・戸閉:
過料:軽過料 重過料 応分過料 小間過料 村過料
叱責:叱 急度叱(きっとしかり)
以下略…となる。
だから「不届き」だったら、追放刑以上、死罪も覚悟しなければならなかったのだ。
現代の刑事裁判では裁判長が判決を言い渡す際に、通常は「有罪・無罪、刑は○○」という「判決主文」が先に読み上げられる。これにつづいて「判決理由」が長々と読み上げられるのだ。
これが逆で「判決理由」が先に読み上げられたら、まず死刑か無期懲役の言い渡しが待っている ということと似ている。
貴方(女)は、部長から『不届き…』と言われたことはない? 現代でよかったねえ、ホント。