余録：夜中に忍び込んだ泥棒の物音に家人が気づく。「猫…

毎日新聞　2015年11月03日　00時05分

　夜中に忍び込んだ泥棒の物音に家人が気づく。「猫かしら」と家人がいうと泥棒は「ニャオ」と声色（こわいろ）でごまかす。だが次に家人が「犬かも」というので「ワン」、「牛では」で「モー」、ついには「虎かな？」……落語の「杭（くい）盗人（ぬすっと）」である

▲逃げ出した泥棒は庭の池に飛び込み、頭を出した。追いかけてきた家人が見つけ、「池の中にあるのは泥棒か、くいか」というと泥棒は「くいくい」……。くいがしゃべれるものならば、正しく打たれているかを問いただしたいマンション住民は全国におられよう

▲横浜市都筑区のマンション傾斜に端を発した旭化成建材による建物のくい打ち施工データ改ざん発覚が止まらない。同社は都筑区の工事でデータを改ざんした現場責任者の担当工事４３件のうち実に１９件で不正があったと発表したが、それも氷山の一角にすぎぬようだ

▲なんと同社が行ったくい打ち工事の約１割、３００件程度でデータ不正があった疑いがあるという。担当者も合計３０人前後になると聞けば、不正が珍しくもなんともなかったのだ。同社の責任は重大だが、当然ながら他の会社でもあるのではないかと疑惑がふくらむ

▲１棟のマンションが傾くという異変に気づいてみれば、問いただすほどに猫が犬になり、すぐさま牛、虎に変ずるかのような事態の広がり方である。どうやら事は一人の不始末や一企業の不祥事にとどまりそうにない。なにやら空恐ろしくなる不正の闇の拡大である

▲ここは建設業界や行政も今までの工事の実態を明らかにし、早く是正へと動いてほしい。世にふくれ上がる不信や不安に答えるのに妙な声色は無用である。

↑　公開期間を過ぎたので開かれません。　

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つぶやき

　マンションの建設業界の話なので取り上げましたが、私が建設現場で働いていたのは、もう　かれこれ４０年も前のことである。

当時は既成杭の長さもせいぜい２０ｍ～３０ｍ前後だったし、アース・ドリルも３０m くらいが限度だった時代であった。ましてパソコン計測で支持地盤の確認・データの保存など論外のことだった。

記事を読みながら業界の仕事の変化にただただ驚くのみである。

技術的には随分と進展しているようだが、今回の事件はそれが仇となっている感じである。　どうすればよいかは改めて建設業界が考えるべきである。杭のみに限らず、停電・地震・火災・非難・風水害に対する配慮　等にも再考を要する事項は多い。

特に構造体・古くて常に新しい問題の雨漏り・　遮音性音（左右・上下階）・振動性（左右・上下階）・　解決すべき問題はまだまだ多いのでは？

還り見れば酔生夢死か？