住宅ローン地獄のオーストラリア?

2010-08-19 17:33:13 | 福岡&中野&メルボルン時代
うーん、行って見たら、オーストラリア、というかメルボルンの住宅市場はとても庶民には買えない、というくらい高かったです。
現地の日本人も困っている人が多かった。

オーストラリアはお給料も高いのですが、それを上回る住宅価格の高さで、生活が楽なイメージは早々に打ち消されたのですが・・・住宅がAffordableではないという指摘は毎日のようにTheAge紙に載っていました。
http://www.heraldsun.com.au/money/city-of-houses-out-of-reach-in-affordability/story-e6frfh5f-1225907137417
こちらは一例。

特にメルボルンは高く、シドニーに迫る勢いです。スコットランド人の友人が住みやすさを力説してくれましたが、彼が移住した時期と今では状況が異なるのではないか?と思いました。

しかし、メルボルンの住宅の買い時は、どうでしょうか?

データ、データ・・・ と手ごろな日本語資料を探してみました。
去年(09年)のですが・・・これで概況はつかめるでしょう。
http://www.mizuho-am.co.jp/static/reportColumn/005003_2009081001.pdf

資料では住宅価格は緩やかに上昇を予想していますが、
実際には予想外の上昇のようです。住宅価格は3年前の2倍、という声を聞きました。

<Facts 上記資料より> 
・住宅が不足している 
・住宅ローンの基準が米国よりも格段に厳格
・住宅ローンの借り入れが資産を持つ高年齢層に集中している
・オーストラリアでは住宅以外の資産にも差し押さえが及ぶフル・リコ
ース型が中心
・そのため住宅価格がローン残高を下回るような場合でも、借り手はローン返済に努める
・オーストラリアの住宅は国際的に見ても割高
・住宅価格の家計の平均所得に対する倍率は米国(3倍)の概ね倍で6倍。
・オーストラリアでは家計の借入比率が高い

う、なんだか嫌な感じですね。まず住宅は高い。年収の6倍。
そしてローンを組んだら、家を売り払ってもローン残金を払い続けることになる。つまり、払い終えるまではずっと大変です。

しかし、何年ローンを組んでいるのでしょう?だってあちらのローン金利は半端なく高いのです。
http://www.boq.com.au/todaysrates_homeloans.htm

8%金利で日本のようにのんきに35年ローンなんて組んでしまえば、どうなることでしょう!
100万円は35年後には1360万ですよ?しかし、かと言って頑張って
短期で返せるほど安くない。
・・・という事情の実態が、”資産が既にある高齢者層がローン主体”という部分ですね。 たしかに知人も私くらいの年齢の息子さんに家を買い与えていました。

あるニュースによると
Average monthly mortgage repayments in Sydney are $3430, and $3291 in Melbourne.

平均的なローン返済額が$3000以上!日本円にしても24万円。
これで家買う気になります??? いや~オーストラリアでは大変ですね。これでは他の消費材に支出が行かないのが当然ですね。だって
ローンだけで$3000ドル。

じゃあ大家業はどうでしょうか? 大家さんも儲からないようですね。
ローン金利よりは賃料利回りのほうが低いので買うより借りるほうが
ラクですね。

・賃料が大幅に上昇しているにも関わらず、賃料利回りは低い
・賃料利回り 約5%
・実物商業用不動産の賃料利回り 約7%
・豪州REITの配当利回り 約10%

むしろ、オフィスビルなどにしないと利回りは出ないですね。

さらに08年の同内容の資料では、住宅価格は低下を予想していますが
大ハズレですね・・・(^^;)しかし、観ているとこれ以上、上がれなさそうな気がしてくるのも事実…だって家計がアップアップなんです。
http://www.mizuho-am.co.jp/static/reportColumn/005003_2008050902.pdf

<Facts>
・米国の住宅価格はこの20年間で3倍
・オーストアリアでは5倍に値上がり
・平均的な住宅価格の可処分所得に対する割合は2倍近く跳ね上がった
・そのほか、住宅を賃貸に出した場合の投資利回りは戸建で3.1%、アパートで4.4%まで低下
・弊社の推計では、豪州の住宅価格は適正価格より30%程度割高
・住宅価格は家計の借入の増加を伴って上昇
・借り入れの所得に対する割合は、ここ20年強で主要国の中で最低からトップ近くに上昇
・賃貸市場では住宅不足の傾向がより鮮明

うーん、大家さんとして戸建を貸しに出すのが一番不利なようですね。
利回り3.1%。ローン金利との差、5%を大家さんが負担することに。
適正価格より3割も高い家をみな買っているんですよね・・・

なぜ住宅価格が上げ止まり感があったにもかかわらず上がり続けたのか?それは新規住宅購入者に補助金が出たんですよね。$12000ほど
だったそうです。しかーし、120万上げるから3割高い家を買ってと
言われても…やっぱり買えないでしょう。

まぁ今現在、価格は天井を打っているようです。
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/07/30/2968809.htm?section=business

賃貸市場では住宅不足がより鮮明、なのに利回り3%って納得
いかないですよね?
つまり何が起こっているかというと・・・

結局賃貸の人たちは、低水準の住まいに甘んじているのです。 高い賃料より低い水準の住まいを選ぶ。 っていうのはどういうことか?というと例えば、2BRの家(ベッドルームが二つなので2人用)に3人や4人で住むわけです。例えばリビングはベッドルームで無いのに住んでいたり、などです。 一人で250ドル払えないので2人で住んで一人$130づつ
払う。大家さんはそうしないと入居者を見つけられないのです。

<指摘されている原因>
・制限の多い宅地供給方針
・高度な都市集中化

要するに、宅地を政府が放出していない、という不満は、一般市民の間にも根強いです。 都市集中化は特にメルボルンが顕著、何しろ人気がありすぎです。人気というのは人口増です。

■ 共棲が解決策

結局どうなっているかというと、古い大きな家が空いたら、それを5戸連結のタウンハウスにして売り出す。これまで一人が住んでいたエリアに5家族が住む。

また、戸建を買ってしまった若い夫婦はローンが払えないので、結局
自分たちの居住エリアを節約して、部屋貸しやホームステイなどを行います。

定年退職者の中には、下宿してくれる人の賃料で生計を立てている人も・・・

こういう面では賃貸生活者が住む場所を見つけられない、ということは
ないのですが・・・日本的な意味で自立した生活をしようとするとそれは高くつくなぁということになります。

まぁだから親元からなかなか巣立たない若者が多いのですが、
結婚するまでシェアハウスで過ごす、というか過ごさざるを得ないのですよね。
そして結婚してからもシェアしてくれる人に住んでもらう。

他人と住む、共棲がありふれているのはこんな事情なのです。

しかし、住宅価格が高止まりしている今、住宅を買うよりも
人口政策がどう行き着くか見極めてからのほうが良いかもしれないですよね。

しかしデベロッパーは儲けまくっているのでしょうか?

これだけのカネがどこに流れているのか?それが気になるのでした。



最新の画像もっと見る