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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十四話part2

2025-05-01 17:27:27 | 日記
「たす……けて……ごめんな……さい。ごめんな……さい」
 
 そんな風に育代は布団でうめいてた。「大丈夫そ?」――と声をかけてくる細身の女性。その人に足して彼は「わかんね」――といった。彼の体はホカホカとしてた。因みに育代の体は水気は切ってあるが、ホカホカしてる……とはいえない。
 
 一応タオルで体を拭いて、濡れた服も変えてはいる。そして家にあった常備薬を飲ましておいた。きっとその内よくなる……と思ってはいるが、やっぱり医者に連れてった方が良いかもしれない、とも思ってる。
 でも……
 
「どうじゃ?」
「うーん、まだ目覚めないみたい」
 
 そんな会話が襖の向こうから聞こえてくる。彼女は今、この家でも奥の方の部屋に寝かせてある。なるべく、外から見えないような部屋だ。田舎の防犯意識なんてのはほとんどないも同然で、鍵もそうだし、窓とかだって大きな割には閉めたりはしてない。カーテンだってそうだ。だから普段なら外から見えることを気にしたりはしない。けど……この部屋が見えそうな場所の窓のカーテンは彼の親がシャッ――という音と共に閉めていた。
 
「まずいぞ。あの子は……あの村の子だろう?」
「ええ、でもあんな容態の子を放っておけないわ」
 
 話し声には不安な気持ち、心配な気持ち……そんなのが伝わってくる。大人たちは育代の村の事を忌避してる。だから本当なら彼女を家に入れることはしたくなかったんだろう。そういえば誰の家で遊んだ――とか聞いたことなかったな……と思った。
 けどそれは彼が男で、彼女が女だからだとおもってた。小学生でも男子は男子、女子は女子のコミュニティが形成されてしまうものだ。だから彼は自分の見える部分の育代しかしらない。
 見てるだけでは誰とも親しい人はいなかった彼女。でも、田舎の学校といっても、古い時代の学校には子供はたくさんいた。こんなど田舎といえる学校でもそれは変わらない。だから完全に一人になる……なんて難しい。
 だって子供なんて好奇心の塊みたいなものだ。親に言われてるからって、全ての人が育代を避けてるだろうか? と思ってた。彼が知らない育代の友達くらいいるだろうとか思ってた。
 でも親のこの反応……どうやら彼女に対してと彼女の村に対しては彼が思ってた以上に大人たちは嫌ってるみたいだ。そしてこの地域にはそう思ってる人達は他にもたくさんいる訳で……この田舎の子供たちはその影響を受けている。
 つまりはやっぱり育代には誰も友達はいないかもしれない……ということだ。けど村の子供は育代だけじゃない筈。不思議な雰囲気を漂わせてる奴なら他にもいる……と彼はちょっと思う。どいつもこいつもいけ好かない奴だ。
 でも考えてみたら、育代はそんな中にもいたことはない。村の中でも彼女は孤立してる? 
 
「うう……うう……言う通り……しました。花月……様。でも……私……本当は……友達が……」
 
 宇漁れてる育代。そんな彼女の言葉の続きを、彼は聞いた。
 


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