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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第四十三話Part3

2025-04-23 00:38:10 | 日記
「花月様……私……今日は誰とも話しませんでした」
「そう、それはとても……良い子ね」
 
 口角の端がいびつにもちあがる。それを小さな幾代だって見てるはずだけど、幾代は何も感じないような無表情だ。そしてそんな幾代に満足気に花月様と呼ばれるその女性は頭を撫でる。そして頬をなでて、背中に手を進めて背中を押して自分の方へと寄せた。体ごと寄せさせた花月様は。幾代をその体に包む。
 そんな光景、大人と子どもなんだからそれは愛情の表現……だと普通は思うだろう。けど違う。花月様はその爪を細い幾代の体に食い込ませてる。でもそれでも幾代は反応しない。
 
「良い子でいなさい。そうすれば、救われるのよ」
「……はい」
 
 そんなことをいいつつ長い爪を幾代に食い込ませてる。それは矛盾のような行動。それは罰のはずなのに、幾代は罰を受けるようなことはしてない。それこそ最初に彼女はどこかの鍾乳洞の牢屋に入れられてた。
 あれは罰だったのだろう。幾代はきっとあの学校の男の子と話してたりして仲良くしてたんだと思われる。それを知った花月様は罰を与えたんだ。それが牢に入れるということ。
 でも、今の幾代は花月様の言いつけを守ってる。それならば『罰』を受けるのはおかしいだろう。守ってるのに罰を受けるのは理不尽というものだ。でも……それは罰ならば……の話し? だって、花月様の言葉は幾代のことをちゃんと褒めてる。それはつまりは認めてるってことだろう。
 言葉では優しいことを言ってるが、でもその行動は幾代をいじめるようなことをしてる。それはおかしい……でももしかしたら花月様にはそれは一貫したことなのかもしれない。
 
 その夜のこと。幾代は白装束に身をまとってた。村の中央にある広場……とギリギリ言えそうな場所。そこに小石が積み上げられた石塚が5つの方向に積み上げられてる。そしてその石塚をロープで結んで……その間には神社のしめ縄とかにぶら下がってるひし形を組み合わせたような白い紙がひらひらとしてる。村人たちは縄の外側に集まってて、縄の内側にいるのは一人だけ。幾代だ。同世代くらいの女の子も周囲には見える。けど……彼女たちは外側にいて、幾代は内側にいる。特別感……といえば聞こえはいいのかもしれない。
 でも……周囲の空気は決して褒めそやすような雰囲気ではない。むしろなにか嫌悪してるかのような……そんな雰囲気だ。これらか一体何が始まるのか……でもそんな雰囲気の中でも、幾代はただ虚ろに空を眺めてるだけだった。


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