結論から書くと、あれからあのおかしな村には警察の捜査が入った。なにせ少年が提出したのは本物の人骨である。そんなのが出たとあったら、身元を確認するためにも警察が出動するのは当然だ。そこで付随的にいろいろな事がわかった……ということだ。
その色々と言うのがあの村の闇……結果的に花月様……そう呼ばれてた女性は検挙された。子どもたちを虐待してたとかそんな罪である。それに届け出がない死体の放置はそれだけで罪である。実際もうずっとむかしの人の遺体……ならそんな事はないのかもしれないが……詳しい事は少年にはわからなかった。
ただ結果的には幾代は数カ月後に再び学校にやってきた……という事実だ。
「久しぶり」
「おう」
そんな会話を2人は数カ月ぶりに繰り広げたんだとか。ぞれからずっと2人は一緒にいる。視界に入る範囲でずっとだ。ただやけにベタベタしたり、恋人になったりしてたわけじゃない。けどなんとなく二人共わかってたのかもしれない。
将来は一緒になるんじゃないかって……
ちなみになんで少年が骨を持ってたのか? それはあの時鍾乳洞の奥へと行った時、少年はもちろんだけど、そんなのを持ち出す余裕なんてなかった。というか人骨なんて普通は触れたくもないだろう。いくら好奇心旺盛な小学生男子でもそこら辺はばっちい……とかではなく理性ってやつがこれはまずいやつだ――と思うだろう。
そもそもがあのときは少年は幾代を助けるのでいっぱいいっぱいだった。だから人骨を持ち出す……なんて発想自体がなかった。そこまで気を回せる思考がなかったと言える。じゃあ、なんで家に帰ったときに人骨を持ってたのか……あの逃げ込んだちっこい洞窟にあったのか? といえばそんな訳はない。
そんな都合の良い? 悪い? 事は現実では起きない。だからこそ、原因はちゃんとあるわけで……それはつまりあの猫たちである。家に帰る途中……黒猫と白猫も最後にやってきたのだ。
そしてその時、二匹は骨を持ってた。なんで顎の部分なん? という疑問は当然2人にもあった。てかなんで持ってきたのかも最初はわからなかった。
でも、幾代はその意図を察した。幾代は少年よりも幾分賢かったのだ。そして二匹が頭蓋骨部分ではなく、顎部分を持ってきたのもなんとなく理解した。だって頭って人体で一番おおきい……かはわからないが大きな骨であることは間違いない。
赤ちゃんのときなんて頭が思いから危ないのだ。だから頭蓋骨は大きく重い。それを一般的よりもちょっと小さな二匹な猫が運ぶのは無理だったのだろう。
だから顎……いやそれらもっと小さな骨の部分はいくらでもある。それこそ二の腕の骨とか、小ささで言うなら、指の骨とかである。そっちの方が確実に楽だ。でも二匹は顎を持ってきた。歯がついた顎である。それはもう誰が見ても人目で人骨……だとわかるような部分だと言える。
それに歯というのは人物を特定付けるためには有用な部分である。そこまであの二匹の猫が考えてる……なんて思えないが、幾代はこれが村で見つかったといえば、捜査に動かずにはいられないだろうと思った。
実際そんなにうまくいくか何てわかんない。でも結果的に、花月様は連行されて、村の上の方の大人たちも一緒に警察に連れて行かれた。それから色々と大変だったけど、再び幾代はこうして学校に戻ってきて少年と再開した。
そんな2人を学校の白い壁の側面の出っ張りにいる二匹の猫が眺めてた。
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