またか…外で響くブレーキの軋む音。
目の前のバス通りは一日中交通量が多いだけでなく事故も多い。まっすぐで広く、ぬるい勾配が運転手のスピード感覚を麻痺させるのか…。ああ、いつものお年寄りかもしれない。歳とると反射神経は鈍るくせに気ばかり急って、横断歩道を待たずに道路を横断したがる年寄りの多い事…部屋から見ていて何度ひやりとさせられた事か…
でも今日は少し違った。急ブレーキの音の後に響くがなり声。身支度が終らないアタシはカーテンの隙間から外を覗く。
可哀想なお兄ちゃん…凄みを利かせた親父の前で小さくなってる。ここから見てもナミダメなのがわかるくらい。しかし親父…黄色いナンバープレート引っさげといてソコまで威張らんでも…
見ていてつらいのでアタシは身支度に戻った。
しばらくすると近づいて来て止まるサイレンの音。もいちど外を覗く。ピンピンしていた親父が救急隊員の押すストレッチャーの上で目を閉じ横になっている。白い太い首輪までつけて…親父、中々の役者とみた。可哀想なお兄ちゃんもオロオロと立っている。とは言え、可哀想なお兄ちゃんが可愛そうなのはココまで。警察の現場検証が終って保険屋に電話して、警察署へ一度出頭すれば全てが終る。
アタシも "おかまをほられた" 事がある。明らかに前方不注意のお兄ちゃん、事故後の手際はスーパーだった。「随分手際がいいですね」思わず言う。
『いやぁ、今朝もぶつけたとですよ。ほら、この交差点のあっち』悪びれずに教えてくれるお兄ちゃんにアタシは言葉をなくした。
その後の警察署でのやりとりも、保険屋とのやりとりも、思い出すのも嫌なハナシ。モチロン最後まで戦ったけどね。
今朝の事故に数年前を思い出した。
photo; 日産サニーの四兄弟
taken by Mr.JJ
大好きだったコノ車☆屋根の上に乗ってトランポリン代りに跳んで跳ねて…父はコノ車を乗り潰しました。最後は高速道路で止まったそうです…一緒にいたかったなぁ…
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一年前の今日のツブゆき※
