カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

豆腐ステーキサラダ

2011年12月03日 | Food

カリフォルニアは、世界的に見ても健康志向の高い場所らしい。

食生活に流行というのが存在することには、私なりの意見もございますが、

そんなことにおかまいなく、その時々、様々な食のブームがございます。

セレブと呼ばれる人々が、そのブームをリードしていたりもいたします。

そしてまた、この地には様々な民族が共存していますので、当然宗教色も豊かでございます。

宗教の教えに乗っ取り、特定の食材を絶対に口にしない、

同じ食材であっても、指定された方法で処理されたものしか口にしない、

まあ、美味しければ何でも頂く私から見ておりますと、それぞれの信念に基づいた、

なんとも煩わしい食の掟が錯綜しているのが、ここカリフォルニアでございます。

そしてそれら全ての主義に、絶対的な敬意を持って接することが私のモットーです。

私の友人にも、宗教的理由、健康的理由でベジタリアンが沢山います。

ベジタリアンと一口に申しましても、じつに様々なスタイルが有りまして、

これを詳しく分類しておりますと、一冊の本が書ける程でございますので割愛。

 

私が今の家に引っ越した一年後に引っ越していらした我が家のお向かいさんは、

ベトナムからの移民のご一家。ベトナム好きで、何度も旅をしている私どもは、

新しいお向かいの住人がベトナム人らしいと耳にしました時、拍手喝采でございました。

ご一家、特に奥様は敬虔な仏教徒でして、毎朝40分間の瞑想を欠かさず、

その為のメディテーションルームも用意されているくらいです。

仏教徒の食生活も、必ずしも厳しい菜食主義という訳ではございません。

これもまた、一冊の本が書けるほど様々ですので、超簡単に申し上げますと、

基本的に食を選ばず、どのようなものであっても、与えられた食物を感謝して頂く、

托鉢の思想に基づいた食生活を信条とされる仏教徒の方が、東南アジアに多く居られます。

そしてお向かいさんも基本、何でも食べる派。

但し週に二日だけは殺生をしない、つまり肉類を取らない日をもうけているそうな。

このお話を伺った時、特別な宗教を持たない私も素直に『素敵だな』と思いました。

 

同じことを当たり前のように繰り返しているうちに、物の本質や感謝の気持ちを失う。

何かを意識して遠ざけることで、心をリセットしたり新たな気持ちになれる。

消化に時間のかかる肉類を摂らないことは、内蔵の負担を減らし、疲労回復を高める。

常々そう考える私に、週二日のベジタリアンは大変説得力がございまして、

都合によって実行出来ない場合が有ることは気にせず、

おおらかなスタイルで我が家の習慣として、取り入れさせて頂くことにしました。


本日は豆腐ステーキサラダ。 

お豆腐はベジタリアンにはマストなアイテム。我が家でも度々登場しておりますし、

ベジタリアンのゲストのおもてなし料理の定番でもあります。

こちらはベジタリアンの中でも特に厳格な、卵や乳製品さえも召し上がらない、

ビーガンと呼ばれる方々にも対応出来る一品です。


ペーパーで15分程水切りした木綿豆腐。調味料は醤油、みりん、砂糖

お豆腐に片栗粉をまぶし付けて、多めの油で焼きます。

これは油が大いにはねます。

面倒でも、菜箸などでコロコロ転がしながら、それぞれの面に焼き色を付けます。

焼いている間に、お野菜の準備。

今回は葉もの野菜とキュウリを使いました。それをごま油と、少々で和えます。

お豆腐にしっかり味付けしますので、この段階では塩気を感じる程度で充分です。

いくらお野菜を沢山摂っても、それに伴い塩分を取り過ぎると意味が有りません。

薄味には慣れが必要ですが、徐々に塩分を控えていくことで、

食材の旨味を感じられる舌が出来上がります。

我が家も一年程掛けて、無理や我慢をする事無く、塩分に頼らない味覚を作り上げました。

写真でお野菜の一番上に乗っている黒い物がこちら。

韓国味付け海苔をちぎって投入。韓国海苔は表面が油で覆われている為、

水っぽいお野菜と和えても、しばらくの間パリッと感を損ないません。

ごま油の風味と、軽やかな塩味が素晴らしいアクセントになってくれます。

これで、野菜だけでは補えないミネラルを摂ることが出来ます。

焼き上がりましたら、調味料を注ぎ込みます。更にはねますぞ。

片栗粉がお豆腐を乾燥から守ってくれるので、

一旦水気を切ったお豆腐に、甘辛味とともに潤いが戻り、

木綿豆腐でありながら、絹ごし豆腐の様なフルフルとした食感になります。

用意したお野菜をたっぷり盛りつけた上に熱々の豆腐ステーキを乗せます。

彩りにトマトを飾って出来上がりです。

 

日本で暮らしていた頃は、考えもしなかったことですが、

様々な人種のゲストをお招きする私のおもてなしメニュー作りは、

まずはゲストの背景にある食文化を考慮することから始まります。

押しつけではなく、どなた様にも良い時間を過ごして頂く為の料理、そして器。

まだまだ勉強しなければならないことが沢山ございます。

 

Have a joyful weekend everybody !




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