庭で植木の剪定をしておりましたバーテンダーが、
「これ、お願いします」と一枝の花を持って参りました。
彼は庭仕事中、こうして捨てるのに忍びない草木を持って来ます。
かしこまりました。生けましょう。
今日は彼が大好きな『トウネズミモチ』です。
通常は丸く仕立ててしまいますので、花を咲かせない方も多いのですが、
この花が大好きな彼は、開花を待って剪定します。
木犀科に属するこの花の香りは、ちょっと他に無い味わいがあります。
可憐で香水やアロマキャンドルにしたくなるようなフェミニンな香りではなく、
甘やかな香りの後ろから木や土の香りが追いかけて来るとでも表現しましょうか。
バーカウンターにこの一枝を生ける為に焼いた小振りなカップです。
夕暮れ時に香り始める一枝は、バーカウンターに相応しいのだそう。
お酒が一層美味しくなるのだそうですよ。
こげ茶色の力強い枝の先に咲く、白い小花。
さりげなく一枝を添えるのなら、一輪挿しのような壺形よりも、
水を見せながら生けるものが似合うと思います。
このカップなら、素朴にして力強い花にしっとりと馴染んでくれます。
普段はひとくちビールや焼酎のお湯割り等に使っています。
夜のカウンターのほの暗い照明にもよく似合っていると思います。
今日は一日お疲れ様。
さ、あなたの好きな花と差し向かいで一杯召し上がれ