松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆審議会の立ち位置(小田原市)

2019-01-17 | 審議会の作法
 この日は、委員会が続いた。

 午前中は、小田原市の空き家の審議会があった。特定空家の認定である。多くの自治体で、行政指導、行政処分のもとになる特定空家の基準ができて、それを問題の空き家に当てはめる段階に移ってきた。

 審議会の委員の関心は、ただ基準にあてはめるだけでなく、その後の行政指導の段階で、うまく解決する見通しがあるかである。今回のケースは、一件は、所有者等と連絡するすべがあり、あるいはその後の売却等の展望があること、他の一件は、かなりまとまった土地で、これも次の展開の可能性があるもので、いわば筋がいいものだったので、安心して判断基準に当てはめることができた。

 これは、想像であるが、事務局とすると、審議会に特定空家として出すと、判断基準に当てはめるだけでなくて、その後の展開はどうなのかを聞かれるので、その説明ができる案件だけを出してくるのではないかと想像した。たしかに、今後の展開が見えない案件が出たら、行政代執行をして、その後、所有者から、その分を取り戻せるのかと聞かれて、「分かりません」では、審議にならない。

 ということは、審議会に出せずに、事務局段階で、手持ちで持っているものがあるのではないか。そこで、そのあたりを質問してみた。たしかに、いろいろと調整しているようであった。

 審議会には、その後の展開が明確なものだけ出してこい、というのは、ひとつのスタンスではあるが(審議会に出ると、後戻りがむずかしいので)、他方、事務局が抱えすぎて、そのあたりの悩みや課題を審議会がわからずにいると、事務局の事情(空き家問題の本質)が分からない審議会になってしまう。特定空家の判定とは別に、課題を共有する機会を常時、作る必要があるように感じた。

 この場合、注意すべきは、審議会のスタンスである、空き家の判定というのは、行政とは一定の距離を置いて、客観的、中立的、第三者的に判断しなければいけない。それが、結局、行政運営に資することになる。他方、空き家問題を解決するという大目的では、時には、一緒に考え、別の観点、知見からアドバイスする必要もある。寄り添う審議会の一面である。

 両者のどちらに比重をかけるかは、審議会ごとに違うのだろう。裁判に近いような審議会は、行政との距離を置くべきであるが、行政の附属機関として、行政目的遂行に寄与する役割の審議会は、行政との連携も必要にもなる。一律に、審議会だから、超然としているということにはならない。そのあたりのバランスは、審議会の性質とともに、課題の進捗状況によっても、違ってくるのだろう。なかなか一律で、書くことはできない。難しいが、その場、その場の、適切なかじ取りが必要なのだということなのだろう。
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