松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆人への信頼(戸田市)

2013-12-20 | 1.研究活動
 戸田市自治基本条例たたき台検討委員会がいい感じになってきた。

 みんなで詰めた検討をするのには、一定のたたき台が必要であるが、戸田市では、市民委員と行政職員委員のピックアップメンバー、そして事務局でその検討を行っている。この日は、3回目の会議となった。

 自治基本条例の検討が、ひとランクあがったと感じるときは、市民委員と事務局が対等の議論ができたときである。
 私が運営に参加する場合は、すぐに両者が一緒に知恵を出せるように努力するが、多くの場合では、事務局は後ろに控えて、遠慮がちという運営になる。信頼関係が十分に築けないで検討を終え、そして、条文にするときに、これまでの検討を覆すような変更をするから、不信が残るだけになる。

 戸田市では、条例の内容検討に入った段階で一時、手戻りがあったが、ここにきて、前に進み始めた。大きな変化は、事務局が対等に議論できるようになったことである。私は、役所に長くいたので、役所側の発言が建前か本音がすぐに分かるが、役所のほうも、本音の議論がでるようになった。こうなれば、どんどんと議論が前に進む。

 信頼があれば、社会は効率的に進むというのがソーシャルキャピタルの考え方である。それは自治基本条例の検討でも同じである。どんどんと知恵を出し、前向きな意見を言うことができる。そして信頼を基本に、次世代に続くまちをつくっていくのが自治基本条例の目標である。

 自治基本条例に反対する人たちに出会うことがあるが、彼らに共通するのは、人への不信とでもいうべきものである。だから信頼が基本となる自治基本条例は、とうてい理解を越えるということになるのだろう。逆に、自治基本条例が必要だと思っている人たちは、人への信頼が厚いことが特徴である。そこから、まちのことをわがことのように考え、そのまちをもっと住みよくするためのルールを自分の問題として考えることになる。

 見るとはなしにテレビを見ていたら、上条恒彦が歌っていた。「生きているということは」(作詞:永六輔 作曲:中村八大)という歌で、40年前の歌だそうである。

 生きているということは 誰かに借りをつくること
 生きていくということは その借りを返していくこと
 誰かに借りたら 誰かに返そう
 誰かにそうしてもらったように 誰かにそうしてあげよう

 私たちの民主主義を分かりやすく歌っている。自治基本条例のめざすところは、こういう社会である。
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