今年最後の研修会となった。
この研修は政策法務3日間研修の最後の会に当たる。本来は、この日程ではないかったが、前回は休講になったので、この日になってしまった。急な変更があったので、この日、午後から役所に戻るという人が何人かいたので、1日分を午前中だけでやることにしたが、忙しい日程にもかかわらず、みなうまく対応してくれた。
午後は、比較的時間があったので、質問時間を長くとった。そのなかで、なぜ私が政策法務に関心があるのかを話すことになった。
話は、大学入試までさかのぼる。大学受験で、幸いにも、早稲田大学の政治経済学部と中央大学の法学部に受かり、どちらに進むか少し迷った。入学金を払う期間がダブっていたのが3日間で、その3日間、若者なりに悩んだ。つまり、政治学を学ぶか、法律学を学ぶかの選択である。悩んだといっても、当時の知識では、新聞記者か弁護士のどちらになるかの選択だった。
新聞記者は向いていないだろうと考えて、法学部を選んだ。専門は、刑事訴訟法で渥美東洋先生のゼミに入った。ただ、法律学を学ぶようになって、とりわけ解釈法学は、私に向いていないことがすぐに分かった。法律学は法律という枠が決まっていて、コップの中の嵐というか、ダイナミズムが乏しいことが何よりも不満だった。
法律学で一番勉強したのは、刑法である。とりわけ哲学の香り満載の刑法総則は、おもしろかった。原因において自由な行為などは、専門論文をたくさん読んだ。論文を書きかけたこともある。
大学教授になって、地方自治法の講義を頼まれることがあるが、条文の説明や解釈などは、正直、面白くない。私がわざわざ説明するまでもないと思ってしまう。時々、私の話よりもテキストに書いてあることのほうが正確なので、そっちを読んでくださいと言ってしまう。
実際、地方自治法は、昭和22年に制定されたが、明らかに今の時代とはずれている。よくたとえ話でいうが、地方自治法には、3つストライクを取るとアウトと書いてあるとすると、ストライクを3つ続けて投げるのが、法律学の作法である。しかし、実際にそんなことをしたら、ホームランを打たれてしまう。わざとボールを投げて、打ち取ることもあるというのが地方自治である。法律学より政治学とりわけ国際政治学の知識のほうが、断然、役に立つ。
政策法務は、法務を道具として使って、政策を実現するものであるが、こうしたダイナミックスさが、政策法務の魅力である。それゆえ、多くの自治体職員に体得してもらおうと考えて、政策法務研修を担当している・・・。そんな話になった。
今回の研修では、研修生の皆さん、事務局の皆さんには、お手数をおかけしてしまった。感謝申し上げたい。