松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市長選挙70・公開政策討論会条例が問いかけるもの(4)条文に見る「まちづくり」の規定

2020-08-09 | 1.研究活動
 この条例が、まちづくり条例であることは、規定の端々に出ている。

 まず、この条例は、投票参加の促進ではないことは、第3条の基本原則に、直截的に規定されている。
 第3条 公開政策討論会は、立候補予定者(市長選挙の候補者となろうとする者をいう。以下同じ。)の市政に関する政策及びこれを実現するための方策について、市民の理解を深めることを目的として行われるものとする。
 市長となる人の公約、政策、人となりを知ることができ、まちづくりに関する政策や実現方策について理解を深めるためのものである。市民の知る権利、市政参加権の確保がその目的である。

 この条例は、「市民」の理解を深めるためのものである。この条例は、自治基本条例に基づくものであるから、市民の定義は、自治基本条例に従うことになる。自治基本条例第2条に市民の定義があり、
第2条 この条例において使用する用語の意義は、次のとおりとします。
(2) 市民 住民、市内で働く人若しくは学ぶ人又は市内において公益活動する団体をいいます。
 住民には限らず、まして選挙権を持った住民には限られない。

 地方自治法は、住民の概念でつくられている。住民とは、そこに生活の本拠がある人である。地方自治法ができたのは昭和22年で、生産の基本は農業など第一次産業である。農業では人は土地にしばれられる。しかし令和の今は、第3次産業が7割を占めている。隣り町に働きに行くのは当たり前になり、ほかの町からも働きに来る。住所はないけれども、まちにいる人たちも、対象にしないとまちづくりはできない。そこで、この規定ができた。

 公開政策討論会条例も、「市民」の理解を深めるためである。選挙のための規定ならば「選挙権を有する住民」になるが、これはまちづくりの条例だから、市民になる。

 実際、新城で行われた公開政策討論会を私は、三浦半島から見に行った。隣り町に住むが、新城で活動していることから、市長候補者たちが、どんな主張をしているか、気になって、聞きに行った人もいるだろう。ユーチューブにも出ているから、それを見た人になると、住民以外も多いだろう。

 まちづくりを進めた先に、投票参加の促進や、政治意識の向上がある。富士山でいえば、富士吉田口(選挙啓発)からのルートがメインかもしれないが、標高が低いところからアプローチになる御殿場口が、まちづくりからのルートということだろう(もしかして、そのほか、須走口のような別のアプローチがあるかもしれない)。変な例えになったが、まちづくりからのアプローチは、楽しみながら歩けるルートといえるだろう。
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