楽天的でいても、必要なものが不要になるわけじゃない

毎年参加している楽しいイベント

「六甲ミーツアート」に行く途中、

ガソリン残り少ないよ、の

エンプティランプがつきました。

うわ、ゴメン。油断した！

とは言え、

六甲山は市街地から10kmほど登るだけ。

もう半分ほど上ってきてるし、

あと80km走れると表示されてるから余裕。

心配する夫に

「80kmって言ったら神戸～京都間の距離だよ、

会場まであと5～6kmくらいだから楽勝～」

と余裕発言をし、そのまま山を上りました。

でもでも、よく見ると、

1km走るごとに、メーター値が3km分くらい減ってます。

今さら山を下りても数kmしか変わらないから上るけど、

結構減るなぁ…。

「六甲ミーツアート」は、

山の中の施設を巡るイベント。

車がガス欠で立往生している嫌な想像が、

チラッと頭をかすめます。

そこから山上の会場まで、

5kmほどしか走ってないのに、

走行可能距離は20kmくらい減ってました。

うっそぉ～～、大丈夫かな。

私が不安がったら家族が不安がるし、それも面倒だから、

「まぁ大丈夫だけど、一応気にしとくね～」みたいな風情を装って、

「結構ガソリン減るなぁ」とだけ言いました。

いつも、何かこういう系の事がある時は、

夫が過剰に心配して、私はむしろ

「大丈夫だって。焦っても変わらないんだから楽しもうよ」

と、ほざいております。

今回、夫の気持ちがよ～～くわかった！！

全然楽しめない！

何か所か回りたいけど、行けるかなぁ…。

不安を見せてないつもりだったのに、

気持ちがにじみ出ているらしく、

メインの施設を出ても、誰も

「次の施設に行こう」と言いません。

いつも部活があるから、

家族で出かけるなんて久しぶりなのに。

午前中の部活から急いで帰ってきて、

おやつも買い込んで来たのに。

まだ家を出て3～4時間しか経ってないのに、

もう帰る？？　それって許可される？？

もっと遊びたいに決まってるのに、

駐車場に落ちてた栗を拾ったりして、

「次の施設に行かなくても十分楽しんでるよ～」

みたいなムードを作ってくれてます(^^;)。

（その時拾った栗は晩ごはんに食べました）。

私がホントに平気だったら素直にイラっと出来ただろうに、

私が不安がってることを察知しての、この反応？

いやぁ、いい人たちだなぁ～。

健気すぎる！　愛だ、愛！！　ありがとう！！！

かなり申し訳なかったけど、

次の施設には行かず、

ナビを一番近くのガソリンスタンドにセットして、

そのまま山を下りることにしました。

あと10kmちょっとで安心できます。

上りじゃなくて山を下るだけだから、

そんなにガソリンは減らないと思ってたのに、

あ～～～～減る減る減る減る！！！

1km走るのに4～5km分くらい減っていきます。

走行可能距離が残り60㎞しかないのに、

山を下りるには40～50km分減る計算になります。

しかも、加速度的に減りが早くなっているので、

最後のラストスパート的な局面で、

どのくらいガソリンが減るのか、

もはやギリギリにもほどがある状態。

ガス欠で立往生するくらいなら、

警察に「ガソリン分けて」って言ってみようか。

立往生する前に家族をバスで帰して、

私だけ車で帰ろうか。

あれこれ考えたけど、結局一蓮托生。

みんなでメーターを見て、

一緒にドキドキしながら

山を下りていきます。

市街地に降りてきた時には、

あと数キロでガス欠、という数字になってました。

なのに！　こともあろうに最後の曲がり角を間違えて、

一瞬、険悪なムードになって、

でも、回り道するガソリンの余裕はないからUターンして、

や～～っとガソリンスタンドに着いた時の

あの安心感と達成感と解放感！！！

まるで、強豪校相手に奇跡の勝利を果たしたような喜び。

一緒に戦った家族との、チームとしての一体感。

「やった～～！！！」とか言っちゃって。

みんな、緊張しながら

無言で数字とにらめっこしてたりしてたもんなぁ。

なのに、誰もイライラをぶつけなかった。

それが、とてもありがたかった。

ガソリンって、お金だなぁ、と思う。

必要以上どのくらいあるかじゃなくて、

生きて行くのに必要なお金はどうしても要るから、

そこが足りなくなったら、立往生。

「まぁ、なんとか大丈夫じゃないの？」なんて

希望的観測で乗り切ろうとしても、

メーターが、貯金通帳が、現実を告げる。

物理は気分で変わらない。

「焦っても変わらないから、出来る範囲で楽しもう」

なんて言えるのは、まだ余裕がある時。

いよいよギリギリになれば、ささいな事で険悪になる。

余裕を持っておけば、行くべき所にも行けたし、

平和に構えていられる。

家族でも仕事でも国でも。

中学時代には、

結構シニカルなものの見方をしていたんだけど、

年を重ねるにつれて、大人になるにつれ、

どんどん楽天的になってきた。

今まで、それをイイコトだと捉えてた。

だけど、楽天的とかポジティブとか言うのは、

目の前の課題を見なくていいことでも、

必要なものが不要になることでもない。

それらをちゃんと見る事と、気分や姿勢の問題は別。

世界は精神科学だけでできているわけじゃない、

ってわけね。

自然科学だけで出来ているわけでもないけれど。

「ちょっとバランス崩れてるよ～」って、

教えてもらったような気がする。