goo blog サービス終了のお知らせ 

寝具の情報・ニュースまとめブログ

元・寝具店経営者の視点からふとんの使い方・選び方を発信するブログです。

暖かい敷パッドシーツの選び方。

2016年12月05日 | その他の寝具

こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、午前九時現在、
気温十八度、湿度四十%、
ひところよりは緩みましたが冬らしい一日です。

この頃、東京でも冬が本格化しました。
今年は本当に寒い、と思わされる日の到来が早かった事もあり、
寝具販売は今頃忙しい日々なのではなかろうかと思います。
当ブログでも検索ワードに「暖か」「敷パッド」という単語の登場する頻度が増しました。
そこで今回はあったかパッドシーツの選び方について書いてみたいと思います。

先ずあったか敷パッドシーツとは何でしょう。
我々はふとん、ベッド、健康マットレスを問わず、敷寝具を使用します。
その際に必ずシーツを使用する訳ですが、
そんな日常使っているシーツのあったかい版、と考えればよいかと思います。
従ってふとんや健康マットレスであれば、
 ふとん(+シーツ)+あったかパッドシーツ
ベッドであれば、
 ベッドマットレス+ベッドパッド(+シーツ)+あったかパッド
という使用方法になります。
暖かパッドシーツは一番身体に近いところで使うのが常道です。
ただシーツの感触の方が好き、という方は逆でも構わないと思います。
また、よく店頭でパッドシーツがベッドパッドの代わりになるかと聞かれたものですが、
基本的にはベッドパッドの代用にはなりません
(詳しくは「ベッドパッドの基礎知識」という項目の注をご参照下さい)。
飽くまでもパッドシーツはよく使うシーツの延長線上とお考えください。
但しパッドシーツは薄いとはいえ中わたが入りますので、
デザイン・製造の解釈によっては薄手の割りに寝心地を変えてきます。
その点はよく出る場合も悪く出る場合もありますので要注意です。

あったかパッドにはどの様な種類があるのでしょうか。
なお今回は煩雑を避けるため、表面素材に絞り、最後にその他の点についても軽く触れます。
実際にはパッドですから中わたにも色々あるのですが、今回は割愛いたします。
なおいずれにしても綿100%の中わたがオススメできない事には変わりありません。

表面素材でよく使われるのは、
  ・綿
  ・アクリル
  ・ポリエステル
  ・ウール
  ・レーヨン等の人造繊維
 辺りでしょうか。勿論混紡される事も多いです。
 順に取り上げてみます。
 a)綿
  綿は二十年前で既に大体淘汰されていた存在です。
  起毛するとどうしても毛羽が出やすくなってしまいホコリの原因になりますし、
  コットンは発熱効果もあり暖かい事は暖かいのですが、
  一方で湿気を含み易く保湿もし易いので、温かみが持続しないのが難点です。
  湿ったTシャツを着ていると夏でも寒い、というあの感覚です。
  ただ最近は吸湿発熱繊維と混紡する事で復活の芽が出てきました。
  但し飽くまでもコットンの手触りを出す為の補助的存在であり、
  混紡比率も最大50%程度、20~30くらいが主流ではないかと思います。

 b)アクリル
  あったか綿パッドを駆逐したのがアクリル敷パッドです。
  コットンと同じく安価で、ホコリになり難いので起毛し易い。
  乾きが早いので洗浄も容易。
  アクリルマイヤー毛布として、掛けるものでは普及していましたから、
  知名度も抜群であり、浸透しやすかった土壌があったと言えましょう。
  現在でも安売り店などでは見掛けます。
  しかし私は既に役目を終えてしまった存在だと思っています。
  最大の理由はアクリルあったか敷パッドには吸湿能力が無い事です。
  人は申すまでもなく冬でも寝汗をかきますので、
  その寝汗を何らかの手段で吸収・発散し、寝床内湿度を調節する必要があるのですが、
  アクリル素材だと湿気を吸えないので、睡眠中の寝汗はパッド上にわだかまる事になります。
  これが大問題で、結局蒸れ感につながったり、冷えにつながったりして、安眠を妨害してしまう訳です。
  冬の睡眠中に寝汗が水分化する事は風邪への一里塚ですので厄介ですね。
  アクリルは安価に混紡もし難いので、現状では敷物としては廃れざるを得ないと思います。

 c)ポリエステル
  エステルは昔は安物の代名詞でした。
  勿論今でも安物は数多いですが、拡張性の高さが注目されています。
  毛足も長くしたり、カールさせたり、加工の幅が広いです。
  乾き易いので洗濯も容易であり、ハウスダスト対策にも有意です。
  問題はアクリルと同じく吸湿力が無い事です。
  エステルをただそのまま加工すると漏れなく寝汗がパッド上に浮き出て不快感の原因となります。
  ただアクリルと違うのは混紡の容易さで、このお蔭でエステルは生まれ変わりました。
  現在ではあったか敷パッドの隠れた主流派はエステルパッドです。
  基本的には吸湿発熱素材と混紡したり、中わたに吸湿発熱素材を混紡したりして欠点を補っています。
  私は試用を除けば個人的にはエステル+吸湿発熱素材の暖かパッドシーツを長年愛用しております。
  なお、エステルには静電気の問題もあります。
  エステルは静電気防止加工を施し難いので、工夫が必要です。
  経験則的には起毛させてカールさせると静電気が極めて起こり難くなるのですが、
  これは業界的には既知の事とはいえ立証できている訳ではないので余り強く言えません。

 d)ウール
  ウールは今も昔も冬の主役です。
  羊毛ならではの暖かさというものもありますし、天然素材らしい安心感もありましょう。
  加工によっては洗浄も可能になりますので、ホコリという点でも問題が少ない。
  加工の際に羊毛らしさを潰し過ぎなければ蒸れ感も余りありません。
  ただ全うなものを購入すると価格が少々張ります。
  逆にリーズナブルなものは毛羽に悩まされる事も少なくない。
  ウールは極めて暖かく冬に相応しい素材なのですが、好みは分かれるところです。
  少し油脂を感じさせられる事が多いのも導入に躊躇する一因となっているかも知れません。
  しかし好きな人はウール一本で問題ないと思います。

 e)レーヨン等
  最近は夏のパッドシーツなどで脚光を浴びている人造繊維群ですが、冬にも活躍します。
  どちらかというと人造繊維100で加工するのではなく、最大50くらいの組成が多いです。
  レーヨン等は大抵吸湿発熱能力を期待されて混紡されていると思います。
  感触はコットンに近く、割と馴染みやすいもので、この点も好評と思われます。
  洗浄しやすく、乾燥も早い。
  ただレーヨン等100ですと先ず第一にボリュームを出し難いのと、
  毛玉ができやすいケースも少なくないので、他の繊維と合わせる事になります。
  逆に他の繊維と合わせる事で、コットンの乾きにくさを軽減したり、
  ポリエステルの吸湿性をサポートしたりする一方でボリューム感は出してもらえたりと、
  互いの弱点を補い合うという良い関係を築いていったりしています。
  レーヨン等の人造繊維はある意味では名バイプレーヤーと言えましょう。

以上、表面の組成について色々書いてみました。
私はエステルと人造繊維系発熱吸湿繊維の組み合わせが最も好みですが、
コットンやウールなどの天然繊維でないとダメ、という方もおられましょうし、
他にも様々なこだわりがあると思われますので、それはそれでとてもいいと思います。
要は自分の体調・睡眠に合っているか合っていないかだけが問題です。

なお吸湿発熱繊維という素材は昔はミズノの「ブレスサーモ」が一強でしたが、今は多彩に存在します。
大体繊維メーカー毎に何種類もの吸湿発熱繊維があると思えば良いかと思います。
その肝心の性能差は鳥渡判断が難しいです。
例えば表面組成コットン100・中わた組成エステル100のあったか敷パッドで、
「吸湿発熱繊維使用・冬の暖か敷パッド」という煽りの特価商品が販売されているのを見た事があります。
組成的に「○○サーモ」的な所謂吸湿発熱繊維は使用されていないのですが、
実はコットン自体が吸湿発熱繊維なので、うん、まぁ嘘ではないな、という感じでした。
コットンは吸湿発熱能力に関しては案外バカにならないもので、
下手な機能性繊維よりも実験データで叩き出す数値は優秀だったりします。
では何故コットンではなく敢えて人造繊維である必要があるのかというと、
人の睡眠時間は六時間程度はあるからです。
コットンは夏の冷たいシーツ意の際にも再三指摘しているところですが、
「吸った湿気は手放さない」というある一面では厄介な性質を有しております。
つまり僕らの睡眠時の湿気をコットンが吸った瞬間は発熱してくれるのですが、
その湿気を手放し切ってはくれない為やがて湿っぽくなり、結局は体温を奪ってしまう訳です。
その点、人造繊維系は割りと淡白に湿気を手放してくれるものが多いので、
寝返りなどの際に寝床内湿度が下がり易く、目覚めまで比較的快適に過ごせる可能性が高まります。
吸湿発熱繊維を採用するという事のキモはこの点、即ち調湿による快適性の確保です。
暖かく眠るというのも最終的には快適かどうかにかかってきており、
人の睡眠時間の長さと相俟ち、中々吸湿発熱繊維の優劣は決し難いものがあります。
ただ確かに言える事は、まともな繊維メーカーの作った機能性繊維を、
まともな寝具メーカーが採用して加工すれば、
機能を何も付加しないよりは快適さの高まる可能性が高い、というところかと思います。

続いて中わたについてです。
基本的に中わたはポリエステルです。
ベッドパッドとは違い、パッドシーツはボリュームがありません。
また肌に直接使うケースが殆どなため洗濯頻度も高いという事で、利便性も求められます。
取り回しが楽なエステルわたはこの点では理想的です。
中わたに吸湿発熱繊維が練りこまれているとより良いかも知れません。
パッドシーツはシーツの一種ですので、ボリュームはそこそこまでが基本です。
余りふっくらしたものですと、寝心地を著しく変えてしまう場合もありえます。
そのとき、それまでの寝心地が不満であった(例えば硬すぎる、など)なら良いのですが、
満足していた寝心地を変えてしまうとマイナスに転じてしまう場合もあるので、
現状の睡眠環境に満足している方ほど薄手で張り感の少ないものを選んだ方が良いとも言えましょう。

あったか敷パッドの耐久力は組成によりますが、それほど期待できるものではありません。
エステルわたなら1シーズンか2シーズン、
ウールわたなどでも精々3シーズンから5シーズンくらいかと思います。
どうしても腰の辺りがへこむ感じで癖がついてしまいますので、
時折パッドシーツを頭側と足側で入れ替えながら使うと多少なりとも長持ちします。

最後に毛足の長さについて。
これはもう好みという他はないのですが、
毛足が長ければ長いほど、或いはカールさせてあればカールさせてあるほど、
暖かさやボリューム感が増しますが、一方でホコリも増えます。
髪の毛が絡んだりする事も増え、手間は増します。
この辺りは使用しながら好みを探っていく必要があると思われます。

以上、あったか敷パッドシーツについて簡単に書いてみました。
参考になれば幸いです。




昭和西川/エステル敷パッド
1,880円(01/11/30/1300現在・以下同じ)


西川/発熱敷パッド
3,029円


三井毛織/メリノウール羊毛敷パッド
14,900円


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。