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寝具の情報・ニュースまとめブログ

元・寝具店経営者の視点からふとんの使い方・選び方を発信するブログです。

経年したベッドマットレスにオススメのベッドパッド。

2017年09月01日 | 敷きふとん(マットレス)

こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前九時現在、気温二十六度、湿度五十%、
このところ気候が激変しやすくなっております。

東京は酷暑の日々も遠退き、過ごしやすくなってきました。
八月の終わりとともに、なだらかに秋らしくなっていきそうなこの頃です。
今回は季節の変わり目らしい話題という事で、
ベッドパッドを簡単に取り上げてみたいと思います。

以前「ベッドパッドの基礎知識」というところでも簡単に触れたのですが、
今回はベッドパッドの選び方の中でも少々ニッチな部分を取り上げたいと思います。

スプリングベッドマットレスは今や非常に親しみのある寝具です。
現在ベッド派のご家庭は約半数とも言われており、
我が国における歴史は浅いながらも、十二分に浸透したと言って良いと思います。
また宿泊施設などでは低床型も含めると旅館にさえ定着しましたので、
最早ベッドマットレスを使った事がない、という方はかなり少数になったのではないでしょうか。

そのスプリングベッドマットレスのお供をしているのがベッドパッドです。
ベッドパッドについての概要は前項「ベッドパッドの基礎知識」をご参照いただければと思います。
今回は経年した(=購入してから時間の経った)ベッドマットレスへ、
どうベッドパッドを合わせていけばいいのか、というのが題目です。

スプリングベッドマットレスの寿命はタイプ・クラス・使用者・使用環境によって様々ですが、
非常にざっくり言ってしまいますと、四年から九年です。
短すぎる様にも思えますが、上手に体圧分散出来る年数を寿命と考えるとこんなものです。
マットレスは形が綺麗に、傾きや破れもなく使えていく事が多いので寿命の事など考えにくいものの、
内部では年々崩壊が進んでいっており、一定以上に消耗が進むと人の身体を適切に支えられなくなります。

一方でこれは明確な調査などがある訳ではないので経験と知る範囲でのデータからになりますが、
一般的にスプリングベッドマットレスの使用年数は、十五年から三十年です。
マットレスは値段が高い上に大きく重たいので購入するのも廃棄するのもハードルが高く、
かなりの決断を要しますから、これくらいの使用年数になるのはある意味では自然かと思います。
ただ耐用年数を大きく越えて使用していると、やはり身体は正直ですから睡眠には不具合が生じてきます。
この不具合を自覚してしまったとき、マットレス環境は改善しなければならなくなってしまうのですが、
直ぐに買い替え、という決断を出来るご家庭はほぼ絶無だと思いますので、
当面は妥協と延命を図っていく事になるだろうと思います。
そこで注目していただきたいのが、ベッドパッドの存在です。

ところで私の寝具店での経験上、
お客様がスプリングベッドマットレスの使用感に違和感を感じやすい節目には主に三種類ありました。
 1、マットレス購入三、四年目
 2、マットレス購入十年目くらい
 3、マットレス購入二十年目以上
おおまかですがこの三通りに大別できます。
それぞれにはどの様な意味合いがあり、どの様に対応していくべきなのでしょうか?

実はスプリングベッドマットレスの内部消耗には二種類あります。
ご存知の様に一般的なマットレスは中に金属のスプリングが入っています。
スプリングが側生地の中にいきなり存在すると痛いので、
一種の緩衝材として、側生地とスプリングの間には「詰め物」と称する幾層かの薄い中わたが重ねてあります。
つまりマットレスの消耗には、
 ・スプリングの消耗と、
 ・詰め物の消耗の、
二種類があるのです。
業界に於けるマットレスの耐用年数とは上記二項のうち主にスプリングの方の消耗目安を指しており、
詰め物の方の消耗はそれほどには重視されていない様です。
しかし考えてみれば薄い多層シートわたで成り立っている詰め物と、
金属で出来ているスプリングが同じ消耗速度な筈はなく、
これはマットレスに限らず複数素材を組み合わせた寝具全体を通じての盲点だと思います。
それはともかく、マットレスには消耗段階が二段階ある以上、各々に合わせた対応が必要です。

1、詰め物の消耗への対応
 詰め物の消耗による寝心地の変化は、大体二年目くらいには自覚してしまえる様になってきます。
詰め物は消耗するものだ、という予備知識がなくとも、感じる人は三年目くらいから自覚が始まります。
気付かなければそれで良いと思うのですが、気付いてしまった場合は対応が必要です。
そこでベッドパッドの出番です。
単純にマットレスの上に敷いているベッドパッドを、厚手のものに変えましょう。
スプリングベッドマットレスを購入の際、ベッドパッドも同時購入しているでしょうが、
そのパッドは恐らくはそれほど厚みのない、もしくはズバリ薄手のものであろうと思います。
購入当初は詰め物が元気なためにそれで全然問題ないのですが、
詰め物に「へたり」が生じてくると、睡眠にも影響が生じてきます。
先ず第一にスプリングと物理的に接近するため、身体へのアタリがきつくなってきます。
特に仰向けの場合の尾てい骨周辺と、横寝の場合の腰骨の辺りは先鋭的な部位なだけに、人によってはかなり気になる場合もあります。
そこでベッドパッドを厚手のものに変更すると、
詰め物が担っていた任務の一部をベッドパッドに移譲できますので、改善が期待できます。
目安としては中わたがウールのものであるのは大前提として、
 洗えないピュアウールで1.0kg以上、
 洗えるスケイルカットウールで1.2kg以上、
くらいのボリュームのものを意識していくと良いのではないかと思います(「基礎知識」もご参照下さい)。
現状ではスケイルをカットしたウォッシャブルウールで800g以下のものが主流な上、
スプリングベッドマットレスとベッドパッドの同時購入を特にはオススメされない場合や、
汚れ防止の為にシートに近い極薄のベッドパッドを同時購入する事も多いので、
そうした環境であれば特に、
ベッドパッドのボリュームアップは詰め物の消耗時への対応として簡単かつ効果的であると思われます。

2、十年目の気付きへの対応
 スプリングベッドマットレスも十年目に入ると内部崩壊がかなり進んできます。
このときの消耗への気付きとしては主に二種類あります。
 先ずは詰め物が愈々本当に消耗し尽くした事への気付きです。
十年経つと流石に詰め物は壊滅し、愈々スプリングと肉体が接近します。
このとき「最近マットレスがいやに固くなった」という感想に繋がりやすいです。
固く感じるのは詰め物がダメになったからで、その場合の改善方法は「1」に準じて良いかと思います。
ただここまでくるとボリュームはもう少し上げた方が間違いが少なくて、
洗えないピュアウールで1.5kg以上のものを選択するのが望ましいです。
なお洗濯機で洗えるスケイルカットウールだと2.0㎏くらいは欲しいところですが、
2.0㎏も中わたが入っているウォッシャブルウールパッドになると、
もう洗濯する事自体が非現実的になってきますので(非常に乾きにくいです)、
経年したベッドマットレスには湿気が籠りがちな事もあり、
より爽やかで吸湿放湿性に優れるピュアウールを是非使ってみて欲しいです。
ピュアウールは温度や湿度の調整が非常に上手で、春夏秋冬さらっと気持ち良いです。
 次いでスプリング消耗への気付きです。
この場合は「最近腰が痛い」「眠ったのに疲れが取れない」などの感想に繋がりやすいです。
つまり寝姿勢が崩れているので身体に歪みが生じたりして体姿勢の悪化や睡眠の質の劣悪化に繋がっている状態です。
最善の対策は、正直なところ、マットレスそのものを買い換えてしまう事です。
ただそれには膨大なエネルギーが必要であり、中々そうもいきません。
そもそも十年でマットレスの品質が摩滅してしまうという事前の心の準備がないので、
買い換えるにしてもこれから暫くは助走が必要になるのが普通だろうと思います。
そこで取り敢えずの延命を図る場合、
上と同じベッドパッドの変更で寝心地が改善される可能性が有り得ます。
厚手のピュアウールベッドパッドになりますと、体圧分散効果もそれなりに期待できるので、
一、二年の間は効果を実感できる可能性があるとも思われます。
もっと長期に渡り延命したいと言う場合、オーバーレイ/トッパーの出番となります。
これらは現用敷寝具の上に重ねて使用する事で寝心地を改善する為のもので、
「オーバーレイ」と「トッパー」の違いは。という項目で簡単に触れましたのでご参照下さい。
特に「整圧パッド」という東京西川産業製のオーバーレイは(とてもマイナーですが)オススメです。
オーバーレイならば四、五年程度の延命が期待できるものと思われます。

3、二十年目以上の切迫感への対応
 スプリングマットレスも二十年を越えますと流石にどこをとっても厳しくなります。
これくらい使い込んだマットレスで消耗を自覚してしまった場合、
割と急激に我慢しがたいくらいの寝心地の悪さを感じる事もある様です。
対応としてはこれこそ買い替えする他ないと言わざるを得ないのですが、
それはそれとして転居やリフォームなど、
今を耐えねばならない状況に置かれていながら自覚してしまう場合も少なくないと思われ、
その場合には何はともあれ延命が必要になってしまいます。
対応としては「2」に準じます。
但し改善への期待値は著しく減じます(寝心地は基本的に土台に依存するので)。
基本的には「整圧パッド」などのオーバーレイの方がベッドパッドよりも改善の可能性が高まるとは思いますが、
仮に要延命期間が一年程度なら手持ちの寝具で転居先へは連れて行かない毛布やダウンケットを敷いてしまうのも手です。
特にダウンケットや羽毛掛けふとんは下に敷くと(急激に消耗してしまいますが)意想外に気持ち良いもので、
私は使い潰した羽毛掛けふとんを捨てる前、暫くパッドシーツ扱いしています。
そうして手元の諸寝具で足掻いてみて、ダメだったら厚手のベッドパッドや整圧パッドの購入を考えてみる、
というプロセスでも良いのではなかろうかと思います。

以上、スプリングベッドマットレスの消耗段階に合わせた対応を考えてみました。
中でも最初にやってくる「詰め物の消耗」による寝心地の低下は消費者にとって想定外で、
原因と改善策を掴みがたい突然降って湧いた問題です。
こうした些細だが棘の様に無視しがたい違和感は店頭での相談でも見過ごされがちで、
敷きふとんからベッドへスタイルへ転向された方の中には、ここで諦めてふとんに回帰する方もある様です。
ベッドパッドはこうした鳥渡したワナへの対応としては良い働きを期待できます。
他にも妙に寝汗が多い場合の寝床内湿度調整機能などにも特にピュアウールのベッドパッドには期待され、
これは上手くはまれば寝返りの減少へ繋がる事も有り得ます。
一般にご自身お使いのベッドパッドの組成と分量を即座に答えられる使用者は先ず皆無と言われますが、
これを機会にベッドパッドにも意識を向けていただき、
楽しいベッドライフの質的向上に結び付けていただけたらと思います。

なお今回の記事はスプリングベッドマットレスを前提としております。
またその中でも特にマットレスの厚み(マットハイ)30cm以内のものを想定しております。
それ以上の厚みを持つふわふわ系の分厚いマットレスやノンスプリングマットレスについては、
別項にて触れたいと思います。ご了承下さい。


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