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寝具の情報・ニュースまとめブログ

元・寝具店経営者の視点からふとんの使い方・選び方を発信するブログです。

日刊SPAさんに記事を掲載していただきました(2)。

2017年11月15日 | 羽毛ふとんの選び方


こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、

先月、二度に渡って「日刊SPA」さんに記事を掲載していただきました。
「涼しい夜なのになぜか大量の寝汗が…原因は放置していた寝具の湿気」
「激安羽毛布団の良し悪しを簡単に見極める方法」
の二本です。

先ずは秋冬の寝汗について。

寝汗については意外な事に実は冬の相談が非常に多いです。
夏の寝汗は申すまでもなく非常にシンドイ存在なのですが、
一方で冬の寝汗というのも体調悪化に直結し易いだけに侮れない存在です。
相談は殆ど男性サイドのもので、
寝汗をかいてしまった結果、身体そのものが冷えてしまうのを防ぎたい場合と、
掛けふとんを剥いでしまって夜中目覚めてしまう、或いは風邪をひいてしまう場合が大半です。

この原因は複雑ですが、大きく分類すると、
 ・寝具のチョイスを誤っている場合
 ・寝室の環境が悪化している場合
の二つが考えられます。

今回の「日刊SPA」さんの記事では、
主に寝室環境の改善を、接触寝具のメンテナンスに絞って書いております。

一方の激安羽毛ふとんの記事について。

激安羽毛ふとんというのは定義が実は難しいのですが、
今回は純粋に価格が低いという意味で言葉を使用しています。

羽毛ふとんというのはマトモに作ろうとすると結構原価の想像がつきやすい品です。
なので一定の価格を下回った商品は、製造過程で複数の何かをバッサリ捨てています。

今回色々見て廻って購入してみたりした感じですと、
以前よりも間違いなく低価格帯の羽毛ふとんの造りは(表面上)上手になっています。
これは恐らく昔よりもより「コットン信仰」が薄れた結果です。
以前は寝具業界に於けるコットンへの妄信は強烈で、
どんなに質の良いポリエステル生地でも、裾モノそのものでしかないコットン生地にすら敵わないのだ、とされていたものです。
しかしやたらと重くて硬くて音がするコットン側生地で羽毛ふとんを作るより、
軽くて柔軟なポリエステル側生地で羽毛ふとんを作った方がいい、
という考え方もあり得る訳で、別に頑なになる必要は全然無いと思います。
そうした意味では最近の低価格帯羽毛ふとんはその辺りの割り切りが明快で、この点は非常にいいのではなかろうかと思います。
十年前に比べて原毛が高騰したまま高止まりしているので、ダウンの占める原価率も上昇したままですから、
コットン信仰を維持する事がそもそも出来なくなったというのが本当のところでしょうが、
消費者にとっては選択の幅が広がった面もあり怪我の功名と言えましょう。

長々と羽毛ふとんの側生地について書いてしまいましたが、
側生地をエステルに割り切った事で低価格帯羽毛ふとんは第一印象がよくなりました。
エステルは柔らくて軽く、更に言えば光沢等もあるので雰囲気は普通の羽毛ふとんとそう変わらなくなりました。

ところが中に充填されている主役のダウンはそうは行きません。
羽毛ふとんの原価はダウンがその大半を占めています。
そして使用感も原価に比例まではしないですがダウンの質に大きく依存します。
従って低価格帯で展開する場合には、メーカーがどこまで我慢できるかが勝負です。
我慢とは要するにメーカーの利益率ですが、
利益率に目をつぶればその分をダウンの質的向上に投資できるし、
儲けをしっかり確保すればダウンの質を下げるしかない。
でもダウンの表示自体は消費者のイメージしているダウン表示を逸脱する訳にはいかないので、
少なくとも「ダウン率85~90%」くらいには品質表示をしてしまうでしょう。
そのときに我慢しているかしていなかが商品の質を決しているのだろうと思います。

「日刊SPA」さんの記事ではそうした事を前提に、
低価格帯羽毛ふとんのダウンの質をチェックする方法を書きました。
もちろん中の見えないブラックボックスな世界ですから簡易簡便なものですが、
店頭で品を見る機会があるのならばやってみても損はないかなと思います。


「日刊SPA」さんから来て下さった方は下記の頁も御一読下さい。
何かの参考になれば幸いです。

羽毛
「羽毛ふとんの寿命は何年?」
「羽毛ふとんのオススメな選び方」
「春・初夏・秋に、薄めタイプの合掛け羽毛ふとん」
毛布
「毛布の暖かい使い方」
「暖かい敷パッドシーツの選び方」
パッド
「ベッドパッドの基礎知識」
クール
「クールパッドシーツの選び方」
「オススメできない「クールパッドシーツ」 ―脱脂綿と接触冷感―」

他にも西川のエアーなどについても色々記事にしております。
今後とも宜しくお願い申し上げます。



東京西川 羽毛肌掛け布団 シングル 洗える 抗菌防臭 やわらかな肌触り 無地(黒パイピング) SEVENDAYS KE07725589W
クリエーター情報なし
西川産業

5,686円(29/11/25現在)

東京西川 羽毛合掛け布団 シングル 洗える 抗菌防臭 防ダニ加工 やわらかな肌触り 無地(黒パイピング) SEVENDAYS KA07160592W
クリエーター情報なし
西川産業

12,453円(同上)

東京西川 羽毛布団 シングル 日本製 ウクライナ産 ホワイトダックダウン90% 1.2kg 「Cocoroシリーズ Satsuki(さつき)」ピンク 立体キルト 掛け布団 150×210cm
クリエーター情報なし
東京西川

29,800円(29/11/25現在)

東京西川 羽毛布団 シングル 日本製 ウクライナ産ホワイトダックダウン90% 抗菌防臭 悪臭を防ぐ衛生加工サニタイズ フレッシュアップ加工 ベージュ KA06003553BE
クリエーター情報なし
西川産業

20,300円(同上)




羽毛ふとんの買い方(グース・ダック・その他)。

2016年11月05日 | 羽毛ふとんの選び方


こんにちは、元ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前十時現在、気温十九度、湿度三十八%、
この頃はとりわけ朝晩になりますと随分肌寒くなりました。
昨日の私の部屋の室内気温は十七時現在で十九度を割っていました。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
上記の様な気象要件の為、最近は検索単語に羽毛関連のものが増えてまいりました。
そこで今回は改めて羽毛ふとんの選択の方法について簡単に書いてみたいと思います。

1、グースとダックについて
 検索単語を閲覧しておりますと、
 圧倒的に多数が二種類のダウンの違いについてのものでした。
 これは過去にも何度か取り上げておりますので、そちらも合わせてご参照ください。
 今回は簡単にまとめます。

 先ずダックとグースは同じく羽毛です。
 ただ鳥の種類が違います。あひる(ダック)とがちょう(グース)です。
 これはどれくらい違うかと言いますと、全く別物と考えてよいです。
 「羽毛ふとんに加工しやすい」という点だけが共通項と考えてもらっていいです。
 機能を比較しましょう。
  暖かさ グース>ダック
  快適さ グース>ダック
  寿命  グース>ダック
  価格  グース>ダック
 という感じです。
 グースの方が機能や耐久性に優れている一方で値段も高い、という感じです。
 よくグースとダックはどちらが暖かいですか? という質問を見かけるのですが、
 基本的にはグースの方が暖かいのですが、同時にただ暖かいだけではなくて、
 暖かさの質もグースの方が高いです。簡単に言えばグースの暖かさは「爽やかな暖かさ」です。
 近年はグースが本当に高騰してしまったので、
 十年前は「ダックなんて」と言っていた店も最近は「ダックも気持ちいい」と言い出してますが、
 機能には明瞭に違いがあると考えて良いです。(注1


2、冬ふとんを出す時期について
 最近天気予報では「冬ふとん温度」みたいな言い方がある様です。
 一般的には気温が十五度を下回ったら冬掛けふとんを出しましょう、と言われます。
 これは勿論室温の話でしょうが、正直なところ羽毛ふとんを切り替えるタイミングは、
 「個人差」です。
 私は気象計で一年間の数字を数時間ごとに部屋別で記録してますが、
 「寝室の気温が24℃を割り、湿度が45%を切る」と冬掛けです。
 これは機械的にそうしている訳ではなく、
 「あれ、そろそろ冬掛けが欲しいぞ」と思うとこの気象条件になっている感じです。
 これは恐らくかなり早いタイミングで冬掛けに移行している一例であろうと思いますが、
 体質的に必要と感じてしまうので致し方がないのです。
 またこうした寒がり暑がりの話だけではなく、
 仕事から何時に帰宅するか? 食事は睡眠の何時間前か?
 睡眠前は風呂? シャワー? 使わない? 住居の階数は? 
 何を着て眠るか? などなど、睡眠準備条件は多様すぎてお手上げです。
 なのでタイミングは個々に判断するのが一番かと思います。
 但しご主人やお子さんの手配までしなければならない方はそうも言えないでしょう。
 その場合は室温と湿度は一応の目安になります。
 基本的には室温20℃前後+湿度45%以下で冬掛けを意識するといいです。
 クールパッドを使用しながら冬掛けに移行する、
 あったかパッドを使用し始めて合掛けを維持する、
 パジャマだけやや厚手にして合掛けを維持する、
 など、上下の寝具や衣類の組み合わせは意識した方が調整し易いです。
 また大人の方に比べると子供の方が冬掛けへの移行は遅めになるのが一般的です。
 子供に冬掛け出そうか? と聞いても毎回いらんと言われる、という事例は少なくないと思いますが、
 これは大人と子供の体質の違いなので、焦れずに構えてみるのも悪くないと思います。
 最後に、冬掛けへの移行については大体のメモを残しておくと後年便利です。
 毎年案外同じ様なタイミングで移行してたりするものですし(時期ではなく室内環境的に)、
 もしも(生活態様の変更無く)急激な変化があったなら、何かの原因を模索するきっかけになるかも知れません。

3、ダウンの色の違いについて(シルバーとホワイト)
 これも検索頻度の高い項目です。
 羽毛ふとんを眺めていると、シルバーダックとか、ホワイトグースなど、色についての表記を見かけます。
 これはどういった違いをもたらすのでしょうか?
 実は基本的に色による機能の違いはないと考えて問題ないです。
 使用する上で、ホワイトだろうがシルバー・グレーなどの色つきだろうが、無視して平気です。
 但し、メーカー内部の事情は異なります。
 以下はホワイトとシルバーの羽毛をそれぞれ同一メーカーが製造した場合の話です。
 基本的に市場は色つきよりホワイトを尊びます。
 これはもうそういうものなので、置いておきます。
 従ってシルバーダウンよりホワイトダウンの方が販売価格は高いです。
 仮にA社の羽毛ふとんがX店で以下の様な価格で売られていたとしましょう。
 ・U国産ホワイトグース79,800円
 ・U国産シルバーグース65,000円
 1万円以上違いますし、上記の通り機能が同じで作りも同じなのであれば、シルバーの方がお得ですね。
 ならシルバーを買う方が正解、となりそうなのですが、現実にはそうはなりません。
 これは私の推測という事にしておいて欲しいですが、
 恐らくメーカーはホワイトダウンの方が良いスペックが出る様に調整しています。
 メーカーはどの様なジャンルの製造メーカーであれ、自社製品が均一の品質を保つ様に調整しています。
 一部商品だけの性能がよく、一部商品は性能が悪いのでは話にならないので当然ですね。
 これは車の様な機械製品に限らず食品も同じで、もっと言えば玄米などの一次生産品でも同じです。
 そのために業界には(公的或いは内密に)基準が設けられており、大体の価格水準も決まっています。
 これは羽毛ふとんも同じでして、
 U国産かP国産かで価格が決まっているわけではなく、品質の水準で価格が決まっている訳です。
 もしくは「○○国産のダウンはこういう水準という事にしよう」という考え方もあると思われます。
 しかもダウンなどは加工品ですから、玄米などよりも調整は容易です。
 誤解を恐れずに言えば、
 今年はホワイトグースを79,800円で売ろう、というところから、
 産地の選定や側生地、中わた量などが(束縛はありますが)決まっていくのです。(注2
 従って何かの混乱がない限りは、ホワイトとシルバーで価格差がつけられている事には意味があります。
 基本的に79,800円の商品を798点の品質で作っていれば、
 65,000円の商品は650点の品質で作っているという風に考えて良いと思います。
 実際にはこれに販売戦略や在庫事情も加わるので、
 一概に価格差=性能差とは言えないのですが、
 この視点は購入の際に我々消費者が持っていて差し支えないものであると思います。

他にも検索単語には色々なキーワードがあり、興味深く見させていただいております。
検索頻度が高いと感ずるものは今後も引き続き取り上げてみたいと思いますが、
今回は肝要なところだけを纏めるにとどめさせていただきます。 

また今回は取り上げなかった要素も沢山あります。
「羽毛ふとんの選び方」というカテゴリを設けてありますので、
よろしければご一読ください。

注1、
 但し、比較する場合には加工が同一条件である事は大前提です。
 仮に名前を出してしまいますけれども西川産業が作ったダックダウン羽毛ふとんと、
 私がシャレで素材を集めて作ってみたグースダウン羽毛ふとんでは、
 間違いなく天地の差で前者の方が気持ちよいと誰もが確信できると思いますが、
 これは極端にしても羽毛ふとんはダウンの生産から仕上げまで数多の複雑な工程が絡みますので、
 謂わば手を抜こうと思えば抜けてしまえる過程も多く、この点は注意が必要で、
 カタログスペックに惑わされない消費者の感性が大事です(ただ此処が一番難しいです)。
 また羽毛ふとんが業界的に厳しくなってきているので、広告の煽りも強引さが増しています。
 私が最近見た広告では、
 「25年前に買った25万円の羽毛ふとんよりこの3万円の羽毛ふとんの方がずっと気持ちいい!」
 という類のものがありましたが、鳥渡ひどすぎますね。
 勿論嘘ではないのでしょう。
 25年経過した羽毛だと経年劣化してもうダメになっていますし(寿命はざっくり十年程度)、
 過程や管理が悪ければ更に使用に耐えなくなっている場合がありますから、
 25年前に25万円したものより新品の3万円のものの方が取り敢えず気持ちいいのは分かります。
 或いは25年前は羽毛販売手法が今よりももっと悪辣でしたから、
 正味1万円くらいの羽毛ふとんを25万円で掴まされていて、今回3万円のもので感激したというのでも分かります。
 分かるのだけれども、まるで3万円の羽毛に25万円の価値があるかの様な、
 事実誤認に誘導していく手法は疑問です。
 3万円なら3万円の羽毛ならではの魅力を伝えていけば良いと思うのですが、
 中々その様に業界が進んで行けていない部分があり、もどかしいです。
 一部西川ブランドで20万円の羽毛が今だけ98,000円とかも見かけますが、
 もうそういう手法も止めた方がいいし、我々消費者の側にも警戒心が必要です。

注2
 屡々店頭で、以前は「冬掛けは1.3kgなければダメ!」と言っていたお店が、
 最近急に「冬掛けは1.1kgこそ消費者本位!」とか言い出すのはメーカーが(その年は)そういう方針だからです。
 業界内ではそういう記憶の改変は突っ込む方が野暮という不文律がある雰囲気でしたが、
 消費者には関係のない事なので、過去の説明との食い違いはどんどん突っ込んで聞いてみるのもよいと思います。
 但し非常に煙たがられる可能性は高いです(特に質問だけが目的で購買意欲が無い人は漏れなく)。



東京西川 羽毛布団 シングル 日本製 ウクライナ産ホワイトダックダウン90% 抗菌防臭 悪臭を防ぐ衛生加工サニタイズ フレッシュアップ加工 ベージュ KA06003553BE
クリエーター情報なし
西川産業

22,783円(30/10/11/0830現在 以下同じ)

東京西川 羽毛布団 シングル ウクライナ産ホワイトダックダウン85% 日本製 増量タイプ ピーチスキン加工 抗菌防臭 テフロン加工(R)耐久性アップ セブンデイズ
クリエーター情報なし
西川産業

22,422円

昭和西川 掛けふとん ブルー 150×210㎝ 高品質羽毛布団グース使用 暖ふわっと 羽毛ふとんダウン90% Amazonオリジナル2018年度企画
クリエーター情報なし
昭和西川(Showa-nishikawa)

25,604円 充填量1.1kg


東京西川 羽毛布団 シングル グース 日本製 ウクライナ産 シルバーグースダウン93% 1.2kg 「Cocoroシリーズ Mizuki(みずき)」ブルー 立体キルト 側生地:綿100% 掛け布団 150×210cm
クリエーター情報なし
東京西川

39,800円

東京西川 羽毛合掛け布団 シングル グースダウン90% 羽毛が偏りにくい 西川プレミアム 無地 抗菌防臭 日本製 ブルー KA07375021B
クリエーター情報なし
西川産業

40,500円 キングまでサイズ展開あり

東京西川 羽毛布団 シングル ホワイトグースダウン90% 日本製 抗菌防臭 ピーチスキン加工
クリエーター情報なし
西川産業

46,447円


春・初夏・秋に、薄めタイプの合掛け羽毛ふとん。(2018年10月11日追記)

2016年04月15日 | 羽毛ふとんの選び方


こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前五時現在、気温二十度、湿度五十%、
もういつの間にか春も通り過ぎてしまいそうな数字です。

上記の通り、このところ東京は急速に初夏めいてまいりました。
そこで今回は羽毛の合掛け布団を取り上げたいと思います。
羽毛ふとんには一般的に三種類のボリュームがあります。
 ・厚掛け
 ・合掛け
 ・肌掛け
の三種です。
厚掛けは冬に掛ける、最も幅広く普及しているもので、中わた量は1.2~1.3kg(シングルサイズ以下同じ)です。
合掛けは春秋に掛ける中間的なもので、中わた量は0.5~1.0kgです。
肌掛けは夏と真冬に使うもので、0.2~0.5kgです。
普通のご家庭では大抵、厚掛けと肌掛けのご用意があると思います。
住居には収納の限界もありますし、先ずは夏冬の二種類があれば十分です。
では合掛けはどういった場合に必要とされるのでしょうか。
それは後半にまとめる事にして、先ずは羽毛合掛けふとんの定義です。

羽毛合掛けふとんの定義は、確立されている訳ではありません。
但し漠然とした共有はなされております。
即ち、
 ・中わた充填量は最大限広く取って0.5kgから1.0kg。
 ・立体キルトである。
この二点を備えていると合掛けという感覚です。
中わた量は厚掛け肌掛けの両者の中間であり、
しかしキルトは厚掛けと同じく立体キルト(但しマチ高は違う)を採用しています。
従って合掛けは厚掛けを薄くしたものと捉えるのが一般的な感覚です。

では合掛けふとんはどんなときに使うべきものでしょうか。
基本的には大きく分けて四通りの考え方があると思います。

1、春から初夏、秋から初冬にかけて中間的に用いる合掛け羽毛ふとん。
 東京における平均気温を見てみますと、
  三月: 8.7℃
  五月:18.2℃ 
  九月:22.8℃
  十月:17.5℃
  一月: 5.2℃
 とあり、申すまでもない事ながら、気温差は相当に大きいものとなっております。
 三月と五月のたった二ヶ月間の推移だけを見ても気温差は10℃近く、
 この時季に急速に気温が上昇している事がよくわかります。
 従って寝具ライフとしましては、この頃に厚掛けから肌掛けへ移行していくのですが、
 中わた充填量でいうと両者の間には大体800g程度の開きがありますので、
 四月・五月・十月・十一月あたりを中心とした頃には、
 厚掛けと肌掛けのどちらを掛けても不満に感じ易い夜が増えてくる訳です。
 服で言うとコートからいきなりシャツだけに切り替える様なものとすれば合わせ難いのも当然で、
 間を埋める合掛けの存在は中々重宝であるといえます。
 合掛けを持っていると、
 三月くらいになると厚掛けはもうしまってしまって、
 合掛けをメインで使いながら足元に肌掛けを潜ませておく、という様な使い方もあり得ますし、
 また合掛けを十二月くらいまで肌掛け併用で引っ張り、
 冬掛けの登場を年末あたりまで遅らせる展開もあり得ます。
 要するに各家庭の温度感覚に合わせたより多彩な環境の調整が可能になります。

 この用途で購入する場合の注意点は、合掛けをどの季節に合わせるか、という点です。
 厚掛けを肌掛けに切り替えるタイミングはご家庭ごとに大きな開きがあります。
 六月まで厚掛けを引っ張る場合もあれば、三月には肌掛けに切り替える場合もある訳です。
 非常に初歩的な話で言えば、
 厚掛けを引っ張る方は厚めの合掛け(例えばグースで0.8kg)、
 肌掛けを出すのが早い方は薄めの合掛け(例えばグースで0.6kg)、と考えられますが、
 あくまでも一般論です。

2、暖かいお部屋でメインとしての合掛け羽毛ふとん。
 最近は密閉度の高い集合住宅が増えてまいりました。
 また各種各様の遮熱機能を備えた住居も増えつつあります。
 すると従来に比して外気温の影響を受け難くなりますので、
 冬でも寝室が寒くない、というご家庭もちらちらある様です。
 そうなると厚掛けは暑すぎて中々掛ける機会がない、という事になります。
 そこで中間的な合掛けが推奨されます。
 この用途で選ぶ場合、大抵は厚手の合掛け(0.8~1.0kg)が選択されます。

 購入時の注意点としては、
 春秋に暑いくらいの密閉度であっても大抵真冬はやってくるという点で、
 やはり一、二月は寒く感じる場合も多いようです。
 そこで羽毛ふとんに活躍を期待する中心的な季節を事前に定める必要があります。
 冬の短いがしっかり寒い時期に合わせて厚めの合掛けにするのか
 (この場合は春秋に不便を感じる恐れがあります)、
 最も快適期間を長く取れるように中間的な合掛けにするのか
 (この場合は冬には重ね掛けを厭わない)。
 基本的に羽毛ふとんは中身を減らす事ができないので(可能ですが費用がかかります)、
 ボリュームに迷ったら重ね掛け覚悟で薄めのものを選択するのが正解である事が多いのですが、
 人は十月に購入する場合と十二月に購入する場合で全くマインドが違うので、注意が必要です。
 
3、子供用としての合掛け羽毛ふとん。
 お子さん、特に十代中盤ぐらいまでのお子さんは、発熱量発汗量がともに多く、
 大人が掛ける羽毛ふとんですとボリューム過多である場合が多いです。
 これは成人男性にも言える事ですが、
 ふとんを剥いでしまう、というのは大抵の場合は温度(或いは湿度)超過です。
 お子さん用に羽毛ふとんを検討している場合、
 冬用であっても合掛け羽毛ふとんを視野に入れた方が良いかと思います。

 購入時の注意点ですが、
 お子さん用となると中々金額的な制約も多くなってくると思います。
 ですがそもそも多湿な子供の体質を考えると、
 除湿力に優れたグースの方が本当は望ましいです。
 またダックはどうしても獣臭がつきものですが、
 それが過剰な湿度と相俟ってきつくなり、睡眠環境を悪化させます。
 その点でもグースの方が望ましいと言えます。
 ダックの場合は洗濯機などの制約はあれども、せめて家庭で丸洗いできるものが望ましいと言えます。

4、一年中・通年使うための合掛け羽毛ふとん。
 羽毛ふとん売り場にあって、それなりの頻度で問われるのが、
 一年中それだけで過ごせる羽毛ふとんはないだろうか、というものです。
 これはネットなどでのミスリードが起因している誤解と思うのですが、
 結論から言うと無いです。
 日本は夏から冬に掛けての気温差が20℃以上あるので、全てに対応する事は難しい訳です。
 但し敢えて一枚の羽毛ふとんで貫き通すとすれば、
 合掛け羽毛ふとんを選択するのが一番かも知れません。
 勿論機械空調には相当に頼る事になると思いますが、
 冬は毛布などを重用し、夏はタオルケットなどでしのげば、
 住宅環境次第では、我慢すればやってやれない事はないかとも思います。
 
以上、くどくどと合掛け羽毛ふとんについて書きました。
私は合掛けの最大のネックは収納にあるのではないかと思っていますが、
その点をクリアできれば非常に頼れる相棒になります。
睡眠時に様々な我慢が付きまとってしまう中で、
合掛けの存在は我慢の要因の一端を取り除き得ます。
ところで合掛けと肌掛けの最大の違いは、中わた充填量をともかくとすれば、
立体キルトであるかそうでないか、という一点です。
薄手だけれども立体キルトな羽毛ふとんというものは、
好きな人には本当にたまらない快適さを有しております。
この観点からも合掛け羽毛ふとんはオススメしたい品の一つです。

最後に一点補足いたします。
合掛け肌掛けの羽毛ふとんには、
時々二枚あわせでも使用できる様に、連結用ホックが付いているものがあります。
これは好き嫌いがありますのでホック付きモデルかどうかは確認した方がいいかも知れません。


※追記(2018年10月11日)
1、
上では気温変化に対する対応を主に掛けるもので考えましたが、敷くものも重要です。
例えば残暑から秋への移行期にはクールパッドやドライパッドを併用しながら掛けるものを厚くしていく、
冬から春への移行期にはあったかパッドを併用しながら掛けるものを薄くしていく、などです。
ここ数年ずっと敢えて季節外れの温冷パッドを敷いたまま上掛けを調整してみたりしていますが、
個人差はあると思われるものの、季節によってはオススメです。
例えば秋ならば、今年の様に長雨で高湿度な場合(昨晩の室内環境は気温22度、湿度75%)、
冷感パッドで寝床内湿度を抑制しつつ、ダウンケットを合掛けにボリュームアップして保温する、
という眠り方は割りと有効であると感じました。
この件についてはまた項を改めて考えてみたいと思いますが、合掛けの活用には重要なので思い付きのまま追記します。

2、
基本的に各ご家庭で冬・合・肌の三種の羽毛を揃えている方は稀です(特にマンション)。
ただ三種をそろえている方が便利なのは間違いないです。
そこでメーンとなる冬掛け以外はもうなんでもいいやで揃えるのもありかなとは思います。
リーズナブルで買い替えを躊躇せず使い切り感覚で合掛けや肌掛けを揃える作戦です。
使わないときはギュッと絞ってクローゼットに押し込んでも胸が痛まないものなら収納もやや楽です(圧縮はダメ)。
そろそろ買い換えるかと思ったらベッドの上に敷くと一冬とても気持ちよかったりもします。
注意点はニオイです。ニオイがキツイとどうしようもないです。要注意。


東京西川 羽毛合掛け布団 シングル 洗える 抗菌防臭 防ダニ加工 やわらかな肌触り 無地(黒パイピング) SEVENDAYS セブンデイズ KA07160592W
クリエーター情報なし
西川産業(Nishikawa sangyo)

13,205円

西川産業 東京西川 羽毛合掛け布団 シングル ウクライナ産 グースダウン90% 抗菌 防臭 綿100%生地 47235 ベージュ[BE] シングル
クリエーター情報なし
西川産業[東京西川]

32,399円

西川産業 東京西川 羽毛合掛け布団 シングル ウクライナ産 マザーグースダウン93% DP430 抗菌 防臭 46479 ベージュ[BE]
クリエーター情報なし
西川産業[東京西川]

43,199円 西川産業のマザーグース!

「西川450周年 西川大感謝祭 クイズに答えて金のふとんを当てよう」(3/12追記)。

2016年03月06日 | 羽毛ふとんの選び方


こんにちは、ふとんや元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前九時現在、気温十六度、湿度四十九%、
いよいよ春、という感じの気候です。

今年は西川さんの創業四百五十周年に当たるという事で、
恐らく様々な企画が興されると思いますが、
その第一弾として中々インパクトのある懸賞が始まりました。
 題して
「クイズに答えて 450万円相当 金のふとんを当てよう!」
 というものです。
とても分かり易くて面白味のある企画なのではないかと思いますが、如何でしょうか。
アイスランディックアイダーダウンを、
「重要文化財の修復の金箔を手がけてきました『箔座』の金箔を使用して」
コーティングした側生地で加工し、眠るというのは、
売ろうとしても買おうとしてもそう出来る事ではないですし、
また「金箔が剥がれ」る事があると明記されている様に、
実用性の点では鳥渡どうかと思われる点も、
ひとつの洒落として完成されていて非常に面白味があると思います。
毎年秋に行なわれるふとん購入キャンペーンで当選する宿泊券とかよりも、
寝具メーカーらしくて良いのではないでしょうか。

以前も3千万円だったかの羽毛ふとんが話題になりました。
これは確か京都西川さんの品だったと思いますが、
全国を展示キャラバンしたときには既に売約済みだったと聞いたような。
今回は450万円ですが、
450万円の羽毛ふとんというのもそれなりに現実味が薄くてネタには程よいと思います。

気になる応募ですが、
上記の450年記念サイトより行なえます。
応募期間は
 「2016年3月1日 12:00 ~ 5月31日 23:59」。
パソコンまたはスマートフォンより行なえます。
当選者総数は1名。
また応募資格として、
 「今後、西川グループからキャンペーンなどの案内を差し上げることにご同意いただける方」
という項目がありますのでご注意ください。

因みに私はもう応募しました。
昔からよく耳にする話なのですが、
寝具業界の各種応募キャンペーンというのは非常に地味で無名な存在で、
毎年行なわれているにもかかわらず応募総数は低迷していると言われます。
従って私は当たった事はありませんでしたが、
業界の人間が結構いい景品をあててるよ、なんて噂も聞かれたものです。
と言う訳で或いは金のふとんも確率は比較的低くないかも知れませんので、
皆さんチャレンジされてみては如何でしょうか。
使い勝手はともかく、取り敢えずの話題にはなりましょう。

<追記>
 仕様についての情報を追加します。
  サイズ  :150cm×210cm(SL=シングルロングサイズ=最も一般的な一人用サイズ)
  中わた重量:1.2kg(冬ボリューム、アイスランディックアイダーとしては大め)
  側生地  :絹100%(金箔でコーティング)
 以上です。
 製造メーカーを聞き忘れてしまいましたが、アイダーだから西川産業かなと思います。
  (金箔加工だから京都西川という事もありえますが)

食べる金箔 金沢特産 【ミニ金箔花】 お祝い 慶事 製菓材料 バレンタイン チョコレート トッピング
クリエーター情報なし
稲葉仏壇店

980円
意外に「金箔」はヒットが多くて驚きました。


羽毛ふとんの価格相場の一例(271215)。

2015年12月15日 | 羽毛ふとんの選び方


こんにちは、元店長です。
本日は手元の気象計によりますと、
午前十二時現在、気温十四度、湿度五十五%、
それほど寒く感ぜられないのは、湿度が高いせいでしょうか。

先日、少し行き先で時間が余りましたので、
立川駅に近い百貨店二店、IとTを見て参りました。
折角なので一部を掲示しようと思います。
皆様の相場観の形成の一助となれば幸いです。

掲載した価格は飽くまで参考です。
サイズは全てシングルサイズ、価格は全て税込です。
また、誤りがある可能性がございますのでご容赦ください。

I百貨店
  ※すべて西川産業さんの羽毛ふとんです。
 1)
   原毛:フランス産ダック
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.2㎏
   価格:37,800円
    ダックに興味が薄いせいで側やダウン率の確認を怠ってしまいました。
 2)
   原毛:ハンガリー産ホワイトグース90
   側 :TTC(P85C15)
   色等:白、無地
   量 :1.2㎏
   価格:43,200円
    価格訴求で側を犠牲にしたモデル。TTCにしては気を使われてはいましたが……。   
 3)
   原毛:ウクライナシルバーグース90
   側 :リヨ70P30
   色等:ピンク、無地
   量 :1.2㎏
   価格:64,800円
    余った原反を使って価格訴求したものだろうか。この頃の産業は側の加工が良かったです。 

Iさんには他にも色々ありました。
もっとじっくり見ればよかったと思います。

T百貨店
  ※すべて西川産業さんの羽毛ふとんです。
 1)
   原毛:ウクライナ産シルバーグース90
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.2㎏
   価格:54,000円
 2)
   原毛:吉林省産シルバーグース90
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.2㎏
   価格:62,640円
    側はC70P30かなんかだった気がします。曖昧で申し訳ないです。
 3)
   原毛:ロシア産シルバーグース
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.2㎏
   価格:75,600円
    90だったか93だったかも曖昧で……。
 4)
   原毛:吉林省シルバーマザーグース93
   側 :C65P35
   色等:ガラモノ
   量 :1.1か1.2㎏(曖昧です)
   価格:84,240円
    ラムコエアキープみたいな感じのいい側でした。
 5)
   原毛:ウクライナ産シルバーマザーグース93
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.1か1.2㎏
   価格:108,000円
 6)
   原毛:ロシア産シルバーマザーグース95
   側 :
   色等:ガラモノ
   量 :1.1か1.2㎏
   価格:151,200円

Tさんは結構無地が強い印象だったのですが、
立川ではガラモノしか取り扱いがなく、結構ショックを受けました。

以上、セール品ばかりを取り上げました。
こんな感じか、と相場観を作っていただければ幸いです。


東京西川 羽毛布団 シングル ウクライナシルバーグースダウン90%
クリエーター情報なし
西川産業

65,641円。

東京西川 羽毛布団 シングル ウクライナシルバーグースダウン90% グリーン
クリエーター情報なし
西川産業

54,115円。淡いですがガラモノです。

西川産業羽毛掛布団〔ハンガリー産マザーシルバーグースダウン95%〕(MS2520)SL ブルー
クリエーター情報なし
布屋商店

77,777円。