
東京西川の日本睡眠科学研究序より、
このたび「東京西川睡眠白書2018」が公開されました。
pdfで72頁に及ぶ調査結果報告です。
web上で簡単に読めますので是非見てみて下さい。
基本的には関心のありそうな項目だけの拾い読みで十分だと思います。
ただ業界の方は全部目を通した方が望ましいかと思います。
見ていて単純に面白いのは第1章の第4項、第5項辺りでしょうか。
都道府県別や職業別の睡眠時間が出ているので「へ~」ってなります。
以下元店長が内容をザックリ紹介していきますが、
自分用のメモの様なものですので余り読み手の方の事を考えていないかも知れません。
構成としては全6章より成っており、
第1章 睡眠の基本調査
第2章 寝具の基本調査
第3章 現代人の睡眠特徴
第4章 寝室環境と睡眠
第5章 「健康」の維持向上と「睡眠」の関係1
第6章 「健康」の維持向上と「睡眠」の関係2
というものです。
なお調査方法についてはpdfに記載されている通りです。
バイアスがどの程度掛かっているかは各々でご判断下さい。
第1章の基本調査では日本人の睡眠に関する現況を概観しています。
先ず
「不眠大国 日本! 約半数が不眠症の疑い」
と大胆に日本に於ける不眠の蔓延を謳っています。
この調査は「アテネ不眠尺度」という不眠判定方法に基づいて行なわれています。
アテネ不眠尺度自体はピッツバーグ睡眠質問票などと並び定評ある調査方法の様です。
調査を見ると20代~40代の現役世代で不眠の疑いが強い。
ただ当調査を自分でやってみるとわかるのですが、この調査だと不眠症の疑いのある者が多く出るのは必然でしょう。
現代日本の労働環境や通勤環境を考えると、特に勤め人が睡眠時間を確保出来ないのは当然ではないかとも思います。
また現代社会は非常に小回りを求められる構造であり、昔の労働者に比べて労働密度は明らかに高いと思われ、
これは不断の緊張を強いるものであるから、精神的な疲弊感が蓄積するのもまた当然です。
アテネ不眠尺度による不眠症多数派の形成はこの様な社会環境の影響が大きいと考えて良いでしょう。
こうした改善の難しい環境に寝具はどの様に寄与していけるのか、考えさせられる調査結果です。
第1項では総体として根本的な睡眠時間の不足が指摘されています。
睡眠時間に満足している人は7時間50分もの時間を取っている一方、
全く足りていない人は5時間46分しか時間を取れていないという結果が出ています。
特に子育てをしている女性の睡眠時間の確保の難しさが浮き彫りになっています。
第2項では平日と休日の睡眠時間の違いが指摘されています。
休日の寝溜めの実存が改めて明らかになっています。
第3項では若年層(20~40代)の睡眠に焦点を当てています。
特に2時間までが有効圏内とされる寝溜めを3時間以上行なってしまっている現状に警鐘を鳴らしています。
第4項は「都道府県別の睡眠調査」です。
睡眠時間が最も長いのは
「滋賀県」7時間18分
睡眠時間が最も短いのは
「大分県」5時間55分
大分県は睡眠時間が短すぎませんかね…? 思い当たるところはありますか?
全都道府県の睡眠時間がランキング化されているので見てみると面白いかも知れません。
第5項は「職業別睡眠時間」です。
職業別の就寝時間と起床時間は興味深い。最も朝が早いのは「会社勤務(管理職)」。
「会社経営・役員」も意外と朝が早く、重役出勤など今は昔という感じでしょうか。
そして「派遣社員・契約社員」も朝が早い。加えて上記の2つに比べて明らかに夜も遅い。苦労が偲ばれます。
第6項は睡眠時姿勢について。
寝入り時、仰向けと横向きは半々、うつ伏せは少数。
仰向けと横向きが半々というのは割と意外です。横向きが多数派と言われていましたので。
第2章
第1項は寝具の基本調査。
ベッド使用が56.2%。これはイメージ通りでしょうか。
しかし驚いたのは「自分の使っている敷寝具を知らない人=27.1%」という数字。
これは思いの他皆さん自分の寝具を把握しているな、と感じました。
15年前なら50%は堅かったと思います。それだけ敷寝具に対する関心が高まったという事なのか。
それとも調査自体にバイアスが掛かっているのか。後者かなという気もします。
特に使用敷寝具の分類でボンネルとポケットが分かれている点に驚かされます。
項目を見るとスプリングマットレスを使用している方の4割がスプリング2種から選択している訳で、これは凄い。
自分はここ数年、取材先でボンネルとポケットの違いを把握している人に出会った事がないのですが…。
他にも使用枕の素材、掛寝具の使用方法の比率、シーツの比率など興味深いです。
第2項は寝具の満足度調査。
敷寝具及び枕への不満層は19%、満足層は51.5%。
敷寝具と枕を一緒に調査するのは奇妙なので次回からは分離すべき。
掛寝具及びシーツへの不満層は9.5%、満足層は63.1%。
何度も何度も読み返したのですが、掛寝具とシーツが一緒に調査されています。
どうしてこんな調査方法を取ったのか、ここは真剣に問いたいです。
正直これだと何の参考にもならないのでは?
仮にこの設問に対して不満層が5割いたとしたらどう分析するのだろう? 再調査必至では?
それは兎も角として全体的に寝具に対する不満が低いですね。
第3章 現代人の睡眠特徴
第1項は体型別睡眠時間満足度について。
「痩せ気味」の人は「肥満気味」の人以上に睡眠満足度が低い。原因は不明。
第2項は現代のお昼寝・仮眠状況について。
仮眠を取る人は全体の50%。男女差無し。
主婦・無職・フリー・在宅は仮眠率が高い。
派遣・契約・社員・経営・学生は仮眠率が低い。
同じ勤め人でも外勤に比べ内勤の方が仮眠率が低い。
仮眠の8割が自宅。
女性より男性の方が職場で仮眠が出来る。
いずれも想像していた状況と全く同じと言って良いと思います。
第3項は配偶者との関係性と睡眠について。
睡眠時室内人数は1人が最多で59.5%。2人が30.9%。
同じ部屋で寝ている人は配偶者が81.6%、子供が33.9%。
同じ敷寝具で寝ている人は配偶者が32.8%、子供が15.4%。
全くの余談ですが同じ敷寝具で寝ている人に「子供(大学生)」という項目があり0.2%あり、
どの様なシチュエーションでその様な状況になっているのか鳥渡まだ思い付きません。
夫婦関係が円満だと睡眠に満足し易い。これは当然と思います。
「寝具の満足度が夫婦関係に影響」というのは流石に言い過ぎと思いますが、
中には配偶者が勝手に買ってきた寝具が心底合わないので配偶者に不満を溜めるケースもあります。
寝具店時代、この様な例は割と頻繁でしたので、購入を検討している方は先走りに注意した方がいいかも知れません。
あとは「シングル2つに分離したいけど旦那が同意してくれない」という悩み(不満)も多かったですね。
第4項は眠りの阻害要因について。
「将来」「金」「健康」についての悩みで眠れなかった経験を持つ人が59%。
低い、と思いましたがこんなものなのでしょうか。
第5項は眠る前の習慣について。
1位テレビ、2位パソコン、3位スマホ、4位読書。
第4章 寝室環境と睡眠
第1項は寝室環境調査。
寝室をワンルーム・1Kなどの人を除くと寝室を有する人は89.7%。
寝室に設置されているものでは1位エアコン、2位扇風機、3位テレビ。
エアコンは59.4%で低い様に思えますが、寒冷地などの存在を考えれば妥当でしょうか。
そのエアコンの地域別設置率も出ています。
設置率は北海道7.6%、東北41.8%。これらは分かるのですが、
その他の全ての地域でエアコン設置率が70%に達している地域は無し。
マンションと一軒家などで環境は違うとは言え、真夏はどうされているのか? と改めて考えさせられます。
第2項は寝室環境の満足度調査。
項目別に行なわれており、温度・湿度・静穏性・同室人のいびきや寝相・騒音・光など調査対象となっています。
不満の最多項目は矢張りというかいびき・寝相。次いで湿度。
湿度は同衾しているかでかなり回答が変わりそうなので、そこの数字も欲しいところです。
なお寝室環境の不満点では騒音がダントツで1位。
第5章 健康の維持向上と睡眠の関係1
第1項は健康グループ分析。
表題を見ただけで関心が薄れる章と思いますが、趣旨は、
「一般的な人々が健康に対して睡眠をどう位置付けているか調査」したのが本章との事。
調査の結果、健康に対する態度から7つのグループに分類したという。
・第1群「運動・ケア」 若年中心でスポーツその他に積極的、健康に大なる問題がない集団。
・第2群「健康自己診断」健康・体調の管理調査志向が強く、60代以上にやや偏在。アンチサプリ・アンチスポーツ。
・第3群「健康バランス」食生活・運動・ケアなどにバランスよく積極的。遍く存在する。アンチサプリ。
・第4群「睡眠満足」 十分な睡眠、寝具・寝室にも配慮。正しい生活習慣至上。生活習慣の維持以外には否定的。
・第5群「食生活意識」 健康的な食生活を意識。健康診断やサプリに対しては懐疑的。
・第6群「サプリ活用」 サプリが大好き。運動はしない。40~70の女性にやや偏在。
・第7群「健康あきらめ」奔放な食生活と荒れた生活習慣を愛する。20~50の男性中心。
グループ分けした上で各集団の健康と睡眠への志向や満足度を調査している。
参考程度という印象。
第6章 健康の~2
第1項は健康の維持向上に於ける睡眠の位置づけ。
睡眠を健康三大要素「栄養」「運動」「休息」のうちの休息と考えた上で、
その考えが実際に一般の人々の考え方とどの様に適合しているのかを調査したものという。
参考程度。
以上、睡眠白書を概観しました。
結構面白い調査内容もあると思いますので、業界の外の方も見てみてもらえると良いと思います。
特に家庭内での話し合いの礎石にはなるのではないでしょうか。
というのも睡眠というのは他の人の不満が中々見えてこない、気付けない、そんなジャンルですので、
配偶者や父・母、子供たちなどが、こんな風な不満・不足を抱えているのではないか?
という想像力を涵養するのに大いに役立つと思います。
睡眠や寝具の改善について家庭内の全ての方どころか、複数の方が関心を有している事さえ稀な中で、
睡眠環境の改善・変更の際に、問題共有化の一助となり得る調査であると思います。
販売店でもスタッフさんのミーティングやオリエンテーリングで利用すると面白いかも知れませんね。
寝具需要の掘り起こしに下からの面白い提案が聞けるかも知れません。
![]() | 【快適さを極めた羽毛布団】 東京西川 羽毛布団 シングル 日本製「CocoroNatureシリーズ Kagerou(かげろう)」 ピンク ダウン90% 1.2kg 立体キルト フレッシュアップ加工 サニタイズ衛生加工 抗菌 防臭 掛け布団 冬用 150×210cm シングルロング |
クリエーター情報なし | |
東京西川 |
19,800円(30/11/08/0830現在、以下同じ)
![]() | 【快適さを極めた羽毛布団】 東京西川 羽毛布団 シングル グース 日本製「CocoroNatureシリーズ Seseragi(せせらぎ)」 ブルー ジーリンホワイトグースダウン90% 1.2kg 立体キルト フレッシュアップ加工 サニタイズ衛生加工 抗菌 防臭 掛け布団 冬用 150×210cm シングルロング |
クリエーター情報なし | |
東京西川 |
29,800円
![]() | 東京西川 羽毛布団 日本製 ブルー シングル ウクライナマザーシルバーグースダウン93% ゴールデンナイト KA08007062B |
クリエーター情報なし | |
東京西川 |
42,900円
![]() | 東京西川 羽毛布団 シベリア産マザーグース シングル |
クリエーター情報なし | |
東京西川 |
45,000円