
冬に需要が増す商品が寝具業界には非常に多いのですが、
そのうちから敢えて羽毛枕を取り上げてみたいと思います。
羽毛枕は本当は通年気持ちよく使用できる品なのですが、
ふっくらしたイメージがあるせいか、寒い季節に問い合わせが多くなります。
今回は羽毛枕を選ぶポイントを押さえつつ、
オススメ商品を紹介していきたいと思います。
なおダウンピローに関する前回記事はこちらです。
・羽毛枕とは
先ず最初に羽毛枕の定義なのですが、
基本的に中にダウンやフェザーが入っていれば広義の羽毛枕です。
ここには用語上の正確性の問題は抜いておいて、
ダウン率が50%未満の羽根枕(フェザーピロー)も含まれる事が多いです。
また表面がダウン(フェザー)で裏面がそば殻やパイプなカセットピローも含みます。
ただフェザーピローは触った感じが正しくバッサバサなので、
あの感覚を狙って欲しい場合のみ選択肢に入るものかと思います。
基本的にはクッションか業務用(宿泊施設等)で登場する存在です。
二層式のカセットピローは昔、ホテルスタイルを家庭に持ち込むのが流行ったときに最も流通しました。
現在では「ホテルスタイル即ち善」という公式はほぼ滅亡しましたので、
一般家庭に流通する量は微々たる物で、基本的には業務用と考えていいと思います。
本来は「ダウン率が50%以上でダウン及びスモールフェザー以外の中わたがないもの」だけを羽毛枕といいます。
もっともルール上は50%以上でダウンピローですが、
普通に羽毛枕と言われて誰もが思い浮かべるのは、
概ね80%以上のダウン率を有するダウンピローであろうと思います。
ダウン率50%程度の羽毛枕は感触が羽根枕に近く、多分イメージとずれます。
当記事ではふっくらして柔らかくて包み込まれる、という羽毛枕らしい羽毛枕を前提に考えていきたいと思います。
・羽毛枕を選ぶ前に
近年、枕が健康に直結するという考えが以前とは比較にならないほど定着しました。
首や肩の疲れをより軽減できる予算内の枕を求めて彷徨った経験の持ち主は少なくないでしょう。
その延長線上でダウンピローの購入を検討されている場合、まず止めた方がいいです。
ダウンピローは率直に言って、より良い寝姿勢を得る為のものではありません。
羽毛枕は飽くまでも趣味の品であり、好きだから使うものであって、
効率的な睡眠であるとか、睡眠姿勢の改善であるとか、そうした事には一切かかわりないです。
現在ダウンピローを継続的に使用している家庭は恐らく1%に満たないと思われます。
一部のマニアに支えられている嗜好品である事は踏まえておいて良いでしょう。
・羽毛枕を選ぶポイント
ダウンピローを選ぶ際に重要なポイントは2点です
先ずニオイが極めて重要です。
何しろ枕ですから鼻の位置が近いので、ニオイが気になる場合は致命傷となります。
なのでもし可能なら店頭で確認した方が望ましいです。
ダウンにはご存知の通りダックとグースの二種類がありますが、
ダックは安価な代わりに本質的に獣臭が強いので、本当は避けるべきです。
この頃は原毛価格の高騰に伴いそれなりの値段がしてもダックダウン充填の羽毛枕が多いですが、
本来はダウンピローはグースダウンが適しているものであると思います。
また羽毛のニオイは洗浄に大きく左右されます。
勿論各社「洗浄はちゃんとやってます」と言うに決まってます。
そこは信じるしかないのですが、結果に差があるのは事実です。
もし店頭で確認できるのであれば、店頭展示の品ではなく、
パッケージに包まれている密閉状態の実販売在庫商品で確認した方が良いです。
密閉空間にあり続けた商品は当然どれだけ洗浄されたものでもニオイを持っていますが、
開封直後の商品のニオイはかなり強調されている分、程度の差を確認するにはもってこいです。
洗浄程度の良いものであれば「やっぱダウンだしニオイはあるな~」くらいですが、
ものによっては反射的に顔を背けてしまう事になります。
なお在庫商品のニオイは部屋干し等で大きく和らぐ可能性もありますが、
店頭展示されている羽毛枕のニオイはもうそれ以上やわらぐ事はほぼ無いと考えていいと思います。
従って店頭展示品ですらニオイに不快感を覚えた場合は避けた方が無難です。
次に側生地が重要です。
側生地とはダウンを包んでいる布の事です。
最初に多くの方が気にされるのが側生地の組成です。
綿100%、綿ポリ混紡、ポリエステル100%、レーヨン混、等々色々あります。
一般的には綿100%が一番いい、という事になっているだろうと思いますが、
この点は余り気にしなくとも大丈夫、好き好きです。
ピローには枕カバーが必須ですので、例えば綿100%でないと、という場合でもカバーで調整がききます。
またポリエステル100では静電気が心配…という場合でも基本的には枕カバーで調整可能です
(人毛とポリエステルは静電気の発生を促しますが綿カバーで包んでしまえば問題なし)。
なので側生地の組成は気にせず、触ったとき・抱いたとき・頭を乗せたときの感覚優先でOKです。
正直なところ綿100%の方が価格の割に感触が固くバサバサした感じになる事も少なくないです。
では側生地の何が重要なのでしょうか?
実はダウンピローには中のダウンの吹き出しを防ぐ為、二重袋になっているものがあります。
この二重袋の内袋にはタフタというポリエステル100の生地を使用する事が多いのですが、
これを使用すると使用感が非常に悪くなります。
と言うのもタフタ自体が結構しっかりしたものなので、感触が固くなります。
また袋を二重にする訳ですからそれ自体も固さを強いものにさせてしまいます。
そして音も難点です。
タフタそのものもシャリシャリした音を発生させますが、
二重袋ですから内袋と外袋がスレて、そのカサカサした音も侮れないです。
ダウンピローは耳元で使用しますから、些細な音も非常に害悪です。
そこで二重袋の弊害を防ぐためには側生地を一重にする必要があります。
ダウンピローを選ぶ場合、側生地が一重であるか二重であるかは非常に重要です。
また側生地が一重の場合も注意点があります。
特に側生地にダウンプルーフ加工してあるかは大事です。
ダウンプルーフ加工は通気性を確保しつつダウンが出てこない様にする所謂目止め加工で、
この加工を適切に行なっていれば蒸れ感なく吹き出しもないダウン製品が出来上がります。
羽毛掛けふとんと同様ですね。
同加工は側生地の組成に関わらず、基本的には一重であるならば施されているものです。
但し外国製のダウン製品には目止め加工の概念が外国(特に欧州)では極めて希薄な為、
未施工の事も多々あり注意が必要です。
また側生地の縫いにも注意が必要です。
ダウンピローの外周を見てみますとミシンで縫われているのがよく分かります。
その縫いが単線なのか複線なのかは確認した方が無難です。
単線ですと爆発の危険がないとは言えないので普通は複線です。
纏めますと、
ダウンピローを選ぶ際、ニオイと二重袋かどうかの確認が大切です。
通販の場合はお手持ちの羽毛ふとんのニオイを基準に業者を選ぶ手もあります
(但し手元の羽毛ふとんとダウンピローの工場や原毛ロットが異なれば全然違う結果もあり得ます)。
・ダウンピローの寿命
寿命は一年です。
こまめに室内で陰干しなどをして湿気を飛ばす事で多少の延命は可能です。
また一年で全くダメになってしまう訳ではなく、
最初のふっくらしたボリュームは経年で減耗していくものの、柔らか味はなお継続します。
ボリュームが不足したら薄~いパイプ枕などを下に敷くベースピローにするのもお勧めです。
・羽毛枕に必要な中わた量
個人的には薄めのダウンピローが好きで、新品当初から上記のベースピローを併用したりする日もあります。
その場合は枕サイズ43cm×63cmでグースダウン90を250gも入れてあれば十二分です(50×70で350)。
ダウンピロー単体で使用する場合はやはりもう少し中わた量が必要になると思います。
その分量は本当に好みの範疇と言うほかはないのですが、強いて言えば、
女性で43×63ならグース300g前後、50×70ならグース400~450g程度、という感じでしょうか。
ダックならそこに100~200g増しあたりで考えるところかと思います。
・オススメの羽毛枕
以上を前提に漸くですがオススメのダウンピローをご紹介したいと思います。
駒込にお店を構える「寝具専門店ふじはし」さんが運営する「自然睡眠館」のオリジナル枕、
「ホテルサイズ羽毛まくら」です。
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![]() 【ホテル仕様】羽毛まくら中身が700gのたっぷりした羽毛マクラです。羽根枕ではありません。【送料無料】 |
スペックは、
・ホワイトグース90%を充填(500gと700gの2種)
・超長綿100%(60番手サテン)の一重、ダブルステッチ国内縫製
・シックな無地
と非常に好ましいものになっています。
実際に夏の終わり頃に購入してみて2ヶ月程度使用しておりますが、現状満足しています。
私は羽毛枕フリークで、以前寝具店を運営していたときにはオリジナル羽毛枕を企画販売していました。
それは完全に自分の趣味で作っていたものなので同等のものは世に存在せず、
近い品質ならなんでも…と探してもなお見付けられず、店を閉じて以降ダウンピロー難民だったのですが、
ひょんな切欠で上記商品を知り、やっと購入したい羽毛枕を知る事が出来たとホッとしています。
この商品が長く続いて欲しいので今回ご紹介する次第です。
具体的な使用感を少し記しますと、
先ずダウンですが羽毛掛けふとんと同品質のホワイトグースを使用しているだけあって、ふくよかな弾力感が好感触です。
自分が購入したのは低い方の500g充填のものですが、十分すぎるほどです。
ニオイは洗浄状態が良好と見えて、購入直後からほぼ無いと言って良いと思います。
一応五人集めて検臭もしましたが結果は良好でした。
側生地は60番手ですが同じ60番手でも加工が良い60番手です。
60は超長綿の入り口に当たる存在なのでかなり加工状態に開きがあり、
60超長綿サテンを名乗っていても首を傾げてしまうものにぶつかる事も少なくないものですが、
当商品の60は超長綿を恥じる事なく名乗れる仕上がりと言って問題ないと思います。
という訳で、羽毛枕に興味がおありの方に一度は検討していただきたい商品です。
<上記オリジナル羽毛枕を販売されているお店のご紹介>
寝具専門店ふじはし
〒113-0021
東京都文京区本駒込1-1-16
TEL/ 0120-71-2484
※地下鉄南北線・本駒込駅徒歩1分、同三田線・白山駅徒歩5分
以上、今回は羽毛枕について考えるとともに個人的なオススメ・ダウンピローを紹介させていただきました。
羽毛枕ファンの皆様の一助となれば幸いです。
※最後に蛇足になりますが、枕のサイズにはご注意下さい。
最近は枕の寸法が多様化しております。
枕を購入する際にはお手持ちの枕カバーのサイズをご確認下さい。
大抵は枕の入れ口のあたりにタグが付いていて確認できます。
![]() | ホテル仕様・枕羽根まくら(羽根枕)(フェザーピロー)43×63 フェザー100%(1.2kg)使用 ph-03 |
クリエーター情報なし | |
グッド・リビング・パートナー |
1,836円(29/11/28/1744現在)
![]() | 東京西川 枕 ダウン&フェザー 70X50cm ふかふかリッチ仕様 日本製 ホワイト EH26787010W |
クリエーター情報なし | |
西川産業 |
7,980円(同上)
![]() | まくら 枕【東京西川】ダウンピロー(羽毛枕)~ホワイトダックダウン85%(70×50cm)★日本製、軽量高級生地★CQ6242 |
クリエーター情報なし | |
東京西川 |
16,200円(同上)
![]() | 昭和西川 国産 羽毛 枕 50×70cm グース ダウン 90% ラグジュアリー ピロー 羽 まくら ホワイト |
クリエーター情報なし | |
昭和西川 |
19,440円(同上)