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中学家庭科に「和装教育」復活…浴衣の着方紹介

2015-02-20 16:56:31 | キャリア・教育
中学家庭科に「和装教育」復活…浴衣の着方紹介 
  • <noscript></noscript>和装教育国民推進会議が作成した教師向けの「きもの読本」
  •   中学校の家庭科で着物などの和装に関する授業が「復活」している。

      学習指導要領の改定で2012年度から必修化され、伝統文化に触れることが目的だが、最近は和服になじみのない教師も増えた。着物関連の団体などが中心となり、着付けの体験授業を行ったり、教師向けの指導本を作ったりして、「和装教育」に一役買っている。

    NPOが着付け体験授業

     

      「日本人の誇りを持ち、きちんと着方を覚えて自分の宝にしてください」。10月27日、岐阜県大垣市立北中学校で行われた浴衣の着付けを体験する授業。講師役で、岐阜市内で着付け教室を主宰する安田多賀子さん(78)が呼びかけた。

      授業を受けたのは、2年生約40人。安田さんらは広げた浴衣を見せながら、江戸時代、木綿の普及で湯上がり着として流行した歴史や、長さ約12メートルの布を無駄なく使い仕立てられることなどを説明した。

      その後、生徒たちは男女別に分かれ、用意された色とりどりの浴衣に袖を通し、浴衣の丈の調整や帯の締め方などの指導を受けた。浴衣を着るのが初めてという生徒もいたが、「帯がきれいに見えるようにシワを伸ばして」などと教わりながら、真剣に取り組んでいた。

      「襟を正して、姿勢を正して。みんな格好良くなりましたね」と安田さんに声を掛けられると、男子生徒たちは照れた表情。正座の仕方なども学び、田中哲也君(14)は「作法も教えてもらい、日本の伝統文化の良さを知ることができた」と喜んでいた。

      体験授業は、着物の小売店や着付け教室、有識者らでつくるNPO法人「和装教育国民推進会議」(京都市)の岐阜県支部が行った。同校の家庭科教師、高橋常子さんが「教科書で学ぶだけでなく、実際に浴衣に袖を通し、伝統的な和装の良さを肌で感じてもらいたい」と授業の実施を依頼した。

    90年代に廃止…「和服の知識ない」教師向け研修会も

     

      中学校の家庭科では、1970年頃まで浴衣製作などの和裁を学んでいたが、学習指導要領の改定で、90年代には、和服の特徴を学ぶ授業もなくなった。その後、「着物文化が衰退する」との危機感から、業界団体などが復活を要請していた。

      2012年度から実施されている学習指導要領では、「和服の基本的な着装」が必修となり、現行の教科書では、浴衣の着方などを紹介している。

      1996年に発足し、全国の中学校でモデル授業を行ってきた「国民推進会議」には、「和服の知識がない」「着付け方がわからない」といった教師からの相談が寄せられている。2009年からは、家庭科教師らを対象にした研修会も実施している。

      今年5月には、授業での指導に役立ててもらおうと、教師向けの小冊子「きもの読本」(22ページ、税込み300円)を作成。着物の歴史や製造過程、着付けのポイントなどをイラストや写真を交えてわかりやすく解説している。同会議の中崎良文・事務局次長は「教師をサポートし、子どもたちに伝統文化を伝えていきたい」と話す。(石井正博)


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