ふくと考えるネコと生活

ネコの生活・食事・健康・病気などについて。

『ペットフードを考える』(その2)

2008年01月14日 20時13分44秒 | 食事と栄養
2008年1月14日(月)

 米国には、AAFCO(Association Of American Feed Control Officials=米国飼料検査官協会)という半官半民の団体が存在する。「アアフコ」と読むそうだ。
そのAAFCOはペットフードに関する色々なデータを我々消費者に広く伝えるために、フードの原材料や含有栄養素などのガイドラインを定めている。犬用、猫用のペットフードの栄養所要量の策定などを行っていて、今や世界的な栄養基準表示の権威となっている。

ところで、このAAFCOは栄養基準の指針を提供するだけであって、それぞれのフードや企業に対して、認定や承認などを行う機関ではないとのこと。だから「弊社のグレイト・キャットフードはAAFCO承認の栄養満点のフードで、全世界的にペットオーナーの皆様から愛されております!」などという宣伝文句はあり得ない。

日本では、『ペットフード公正取引協議会』という団体がペットフードの表示に関するガイドラインを定めており、日本語で次の9つの表示項目を記載しなければならないそうだ。

①ドッグフード又はキャットフードである旨
②ペットフードの目的
③内容量
④給与方法
⑤賞味期限又は製造年月日
⑥成分
⑦原材料名
⑧原産国名
⑨事業者名又は名称及び住所

例えば、今我が家に置いてある日本ヒルズ・コルゲート社の『サイエンス・ダイエット<プロ>ヘアボールコントロール』のパッケージを見てみよう。

「成猫用1~6歳」「全身のトータルケア パーフェクトバランス」「内容量1kg(キャットフード)」「給与方法(体重別に表示)」「賞味期限2008年7月」「原材料」「保証分析値」「原産国アメリカ」「日本ヒルズ・コルゲート株式会社」とちゃんと記載されている。
そして、『総合栄養食』(この商品は、ペットフード公正取引協議会の承認する給与試験の結果、成猫用の総合栄養食であることが証明されています。)とも記載されている。
最後のとどめに『AAFCO(米国飼料検査官協会)の成猫用給与基準をクリア』との記載がある。

なるほど、ちゃんとガイドラインに則っているのね。
どんな企業が会員なんでしょうね。

アイシア株式会社、アイムス・ジャパン株式会社、アイリスオーヤマ株式会社、アース・バイオケミカル株式会社、株式会社アニマル・ワン、株式会社イトウアンドカンパニーリミテッド、いなばペットフード株式会社、イースター株式会社、エヌピーエフジャパン株式会社、株式会社キューディック、花王株式会社、九州ペットフード株式会社、現代製薬株式会社、株式会社コンビ、株式会社サン・クロレラ、株式会社サンライズ、シーズイシハラ株式会社、株式会社スドー、株式会社スマック、大日本インキ化学工業株式会社、デビフペット株式会社、ドキーマンハヤシ株式会社、日清ペットフード株式会社、ニッケペットケア株式会社、日本シャクリー株式会社、日本配合飼料株式会社、日本ヒルズ・コルゲート株式会社、日本ペットフード株式会社 、日本ペットフード株式会社 、日本メープルリーフフーズ株式会社 、ネスレピュリナペットケア株式会社、ノバルティス アニマルヘルス株式会社、はごろもフーズ株式会社、株式会社パーパス、ペットライン株式会社、株式会社ベッツ・チョイス・ジャパン、マスターフーズ リミテッド、株式会社森乳サンワールド、株式会社ヤマヒサ、八幡物産株式会社、ユニ・チャーム ペットケア株式会社、株式会社吉岡油糧、ライオン商事株式会社、レッドハート株式会社 、ロイヤルカナンジャポン株式会社 、株式会社わんわん

(ペットフード公正取引協議会 会員 平成19年5月現在 日本ペットフード工業会HPより)

良かった、良かった。我が家のふく助が食べているミオCOMBO(日本ペットフード株式会社)さんもリストにちゃんとあるではないか。
これでひと安心。

あれ?ところで、この『ペットフード公正取引協議会』というのは『ペットフード工業会』の会員さんともダブっているのね。そういえば、HPも共有だし。では、そのHPから工業会さんの概要を引っ張ってみよう。

<ペットフード工業会の概要>
ペットフード工業会は、国内でペットフードを製造または販売する企業66社で構成され、ペットフード市場の90%以上が会員社によってカバーされています。
ペットフード工業会会員社は、わが国におけるよりよいペットライフの実現に貢献すべく、弛まぬ努力を重ねています。

『ペットフード工業会』
設 立 1969年10月
会員数 66社
(正会員43社、賛助会員23社 200711月1日現在)
事務局所在地  〒104-0028 東京都中央区八重洲2-6-10 豊屋ビル4階
TEL03-3281-0155 FAX03-3281-0156

つまり、国家機関では、ペットフードの品質規制をする担当局がないので、ペットフードを販売している同業者の方々で『ペットフード工業会』なるものを発足させ、AAFCOのように一定の基準を設け、品質を管理していくために『ペットフード公正取引協議会』を作った、というわけかな(?)ガイドラインは、先輩のアメリカが作ったっていうから、それをそのままお手本にしてしまったということ(?)

しかしですよ。米国のAAFCOとは決定的に異なるのは、この公正取引協議会が日本をリードするペットフード会社の団体であるという点。

AAFCOのメンバー構成は、全米51州とカナダ&コスタリカの飼料検査官、分析センターの技師、アメリカ農務省(USDA)、食品医薬品局(FDA)等のスタッフたちであり、AAFCOの中のペットフード委員会には委員長以下10名足らずの正式メンバーに加え、ペットフード協会(PFI)、米国動物病院協会、米国及びカナダの獣医師学会、国家研究協議会(NRC)などの代表も連絡員や調査員という資格で参加している。(『動物看護のための小動物栄養学』阿部又信著 ファームプレスより抜粋)

要するに、日本のようにより多くペットフードを世に広めて、どんどん売っていこう!という利害関係で一致している民間団体に任せておいて果たして大丈夫なんだろうか?という疑問が起こってくる。
「ドライフードは動物たちの健康にあまり良くない」とか「手作り食のオススメ」などという発想は生まれないだろう。生まれてとしても、そんなこととても言うことは出来ない。だから、同工業会が独自に行っている『ペット栄養管理士認定委員会』などというものも頭から信じてしまうわけにはいかない。工業会寄りの講師たちが次から次に出てくるのは目に見えているではないか。
(つづく)

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『ペットフードを考える』 (その1)

2008年01月14日 01時25分09秒 | 食事と栄養
2008年1月14日(月)

ネコにとって、僕たちが一般にあげている便利ないわゆる”カリカリ”(ドライフード)とは一体どういうものなのだろう?
人間界でいうとどのような食物にあたるのだろうか?
パッケージから出してすぐに食べられるもので、かつ長期保存の利くもの。しかも、色々と栄養バランスなどが考慮されている人間用のドライフード。ひとつしか思い当たらない。

『カロリーメイト』(大塚製薬)

他にも類似品があるとは思うけれど、これが一番イメージに近い。では、人間は毎日毎日、朝から晩までカロリーメイトと水を与えられていれば生きていくことができるのか?良く分からないが、とてもではないがそんなこと出来そうにない。
ドライフードを与えられているネコたちはどうだろうか?

ペットフードメーカーたちは、ネコのライフステージ(成長段階)に合わせたフードを開発している。成長期の仔猫たちには高たんぱく、高カロリー、家で暮らす成猫にはあまり太り過ぎないように脂肪を抑えたヘルシーな調整、老猫には消化の良いものや弱ってくる腎臓にあまり負担をかけないようなものが用意されている。
これらのフードのようにネコの特性をよく研究して、必要な栄養素を詰め込んだフードを総合栄養食というのだそうだ。フードのパッケージにも記載されているので分かりやすい。

基本的には、この総合栄養食だけを与えていればネコたちは、健やかに育っていくはずである。少なくとも、必要な栄養分が摂れずに栄養失調になったりはしない。
スーパーなどで売っている、特売の袋に入ったタイや中国などで作られている安物の輸入品などは論外として、下手な手作りごはんなどをあげるよりも、ある意味よほど安全で健康的な食べ物と言えるのかもしれない。「毎日、同じ食事ではかわいそうだなぁ」と思うのは雑食でグルメな我々人間側の勝手な思い込みなのかもしれない。

実際、立派なフードメーカーたちはそれなりに歴史のある会社ばかりで、それぞれ独自に研究機関を持ち、商品開発に力を注いできている。アイムス、ピュリナ、ヒルズコルゲート、ウォルサムなどはその代表的な会社だろう。これらの会社が生産しているフードを与えながら、その他にも勝手気ままに色々なフードを与えると、彼らの計算した栄養所要量バランスが崩されてしまう場合もある。基本的には決められた量を守りながら与えることが推奨されている。

しかしながら、そのようなペットフードの内容や出来るまでの工程をちょっと深く見てみようとすると様々な疑問が沸いてくる。
例えば、ネコは肉食のはずなのに発砲加工を行うために本来は摂取の必要がないトウモロコシ粉や小麦粉のような穀類が多く入っていたり、エトキシキンという人間の食べ物に使用することが禁じられている抗酸化剤が平気で使われていたり、使用される肉の品質が人間用のものと比べものにならないくらい低レベルのものであったり、5%しかマグロが入っていなくても『ネコちゃん大喜びマグロ缶!』というような商品を作ることができたりする。

確かに人間界の飲食物にもそのような粗悪なものは存在する。果汁1%のレモンウォーターだってある。スーパーの商品棚にはたくさん置いてある。100%リンゴでジュースを作ったら採算が合わないから、そこに半分水を入れて薄めてみる、当然色も味も香りも半分に薄まるから、人工着色料、人口香料、人口甘味料を添加せざるを得ない。トロッっと感を演出するために増粘安定剤などもちゃんと入れてくれる。長持ちさせるために保存料も忘れてはいない。

 しかし、そのような食品を選択するのは人間の自由であって、子供や動物たちは飼い主や両親の選択の下に生きていくしかない。
人間は自分たちの大切な子供に毎日カロリーメイトと水しかあげないようなことがあるだろうか?
(つづく)

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