2017年3月30日
妊娠7カ月の台湾人観光客の女性(20)が沖縄旅行中の3月30日に、出産が早まり、急きょ南部医療センター・こども医療センター(南風原町)で884グラムの子を出産した。同病院や受け入れ先では中国語での対応ができず、母親とのコミュニケーションが困難で、現在、県内の台湾出身者らがボランティアで通訳している。県内の一部医療機関では多言語への対応や外国人患者に向けての医療サービス環境の構築を進めているが、まだ十分でないのが現状だ。
夫(23)と3月29日に来沖した女性は、30日午前4時ごろに破水。那覇市の沖縄協同病院に緊急搬送された。赤ちゃんの体重が1500グラム以下と推定されたため、南部で唯一未熟児の特別医療措置が受けられる南部医療センターに再搬送された。女性と家族は現在、離島や北部地域から病児や家族を受け入れる「がじゅまるの家」に宿泊している。
女性の夫は「赤ちゃんの健康状況や医療費用の支払いなどに非常に悩んでいるが、これまで助けてくれた医者らに感謝したい」とも述べた。
がじゅまるの家で活動するNPO法人こども医療支援わらびの会の儀間小夜子理事は「緊急医療などを受けた外国人患者の心のケア態勢がまだできていない」と指摘した。
赤ちゃんは南部医療センターで特別医療措置を受けており、医療費用は最低でも約600万円かかるという。しかし、出産は海外旅行保険の補償対象外のため、夫婦は医療負担に追われている。
県内在住の台湾出身者でつくる「琉球華僑総会」は夫婦に約100万円を寄付する予定で、張本光輝会長は「無事に帰国できるよう支援がほしい」と寄付を呼び掛けた。問い合わせは同会(電話)098(862)9153。(呉俐君)
その後
善意相次ぎ1200万円に 余剰金、県に贈呈へ 早産の台湾女性支援
張本光輝会長(中央)に寄付金を託す大阪大学同窓会の宮里達也さん(左端)と
沖縄第一病院の宮城信雄理事長(同2人目)=21日、那覇市久茂地の琉球華僑総会
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妊娠約6カ月の台湾人女性(20)が沖縄旅行中の3月30日に沖縄県内で早産したという本紙報道を受け、出産などにかかる医療費支援を呼び掛けた県内在住の台湾出身者でつくる「琉球華僑総会」(張本光輝会長)には21日までに支援金が続々と寄せられた。同会によると、寄付金は21日午後6時現在、約1200万円に達しているという。出産は海外旅行保険の補償対象外で、費用は最低でも約600万円かかるとみられていた中、予想を上回る善意に張本会長は「多くの人の協力に感謝したい」とお礼を述べた。
女性の夫は「皆さんからの恩恵を忘れず、今後社会に還元したい」と感謝し「赤ちゃんが元気に成長できるよう祈っている」と、話している。
同会は余剰金について、県に贈呈し今回のような事案への対応策や、さらなる医療機関の多言語対応、外国人患者向け医療サービス環境の構築などを求める予定という。
この日は大阪大学同窓会や浦添市の家族ら7組が那覇市久茂地の琉球華僑総会事務所を訪ね、寄付金を託した。20日には東京都の男性が開設した口座に500万円を寄付していた。関係者らは「とても感謝している。日本、沖縄と台湾のいい関係が改めて確認できてうれしい」と話した。