パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

劇作家大会熊本大会(3/20)シンポジウム「喜劇・コント 笑いの方法」

2005-03-31 | 劇作家大会2005熊本大会
出演者が別役実・土田英生・ラサール石井・渡辺えり子という何かありそうなメンバーのためか、開演前からコンサートホールは長蛇の列。

男三人おんな一人という微妙な雰囲気の中で、シンポジウムが始まった。
自らコント講座も実施しているという別役は、短く笑いもあるコントはストレート芝居よりも現代の状況を描きやすい。シナリオが書きやすく若い人向きだという。その分アイデアが勝負というところがあり、芝居は突出したアイデアがなくとも書けると土田。喜劇といえどもあえて笑いをとりに行くことはない、時間が圧縮されているのがコントだという石井。演劇出身の彼は下積みからやっと主役を勝ち取れる演劇よりもすぐに主役になれるコントの道に進んだのだという。
芝居とコント、結局のところ明確な違いはよく分からなかったのだが、実際に客席からの希望者に舞台に上がって貰い、ラサール石井が口立てでコントの演出をするというコーナーになると大いに盛り上がり、観客席は大爆笑。
観客の呼吸をコントロールし、爆笑シーンの前には笑いを抑え気味にして吸い込んだ息を吐く瞬間に爆笑が起こるという説明をラサール石井がしたあとに実演。ただ舞台に上がって内輪話をじゃらじゃらと喋っているように見えるコントだが、ちゃんと観客に受ける型というのがあるらしい。舞台中央で喋ること、つっこみのタイミング、キャラクターに合った口立ての台本作り・・。
素人だから面白いというところもあるだろうが、石井のダメだしでぐっとコントらしくなるのが客席で見ていても分る。

さて出演者の4人も客席からお題を貰ってコントをしようということになったのだが、主婦が文化をだめにしたという発言が引っかかったようで渡辺えり子が別役実に絡む。
おんなだからと(おとしめた)特別扱いに日ごろ傷つくことが多いらしい。
劇作家業界(?)は圧倒的多数で男が多い。(売れているかどうかは別だが)

渡辺は、「本の読者も映画も芝居の観客もほとんどが女性じゃないか。
その中にも主婦も多い。いまや文化を支えているのは女性なのに、
女性のための舞台は少なく、劇作家はいまだに男の観客を想定した芝居を書いている」と嘆く。
別役が「また渡辺さんに叱られちゃいました」と言うと、
人が真面目に言っているのに茶化すのはやめてくださいと憤慨。
いま男は文化的にすごく低い状況にいて・・・と素直に認める別役。
この様子だけでも、まるで現代喜劇を見ているみたいで観客席は大喝采である。

渡辺えり子は「短編戯曲コンクール公開審査会」でも憤慨して席を蹴立てて出て行ったそうな。
お騒がせなのに憎めないキャラクターなのだ。
渡辺えり子の芝居、また観に行きたいね。

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